第一話 「最新PvPゲーム《ジャストマッチアタック》をしよう!」
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「なんで!!!今のが!当たってるんだよ!」
「はい〜。〔豆電球〕の負けだな!」
VRゴーグルをつけながら椅子に座りながら暴れる一人の男の子がいる。この物語の主人公である高田煇だ。
VRゲームが技術力を増し、嗅覚・味覚に留まらず、脳直接に情報を得るようになってきた日本2035年。現代はAIのみが飛躍的に技術を増し、街並みといったら10年前となんの大差もない。ただ、VR技術は超進化してたのである。この男の子もVRゲームに熱中しているごく普通の。そして少しだけゲームが得意な男の子であった。
「今のはどう見ても判定おかしいだろ!!!〔P5〕さんよぉ!」
「ゲームがそう言っている以上、それが正しいのだよ。悪足掻きはやめたほうがいいよ。〔豆電球〕君?」
俺、煇は今ネットで知り合った友達〔P5〕とVR格ゲーをしているところだ。俺はseriousnet gamegroup。略して《SNG》という集団に所属している。別にプロなわけでもないから、みんなで楽しくゲームしてるだけだ。
そして先ほどから名前の上がる〔P5〕とは、俺の仲の良いネッ友であり、戦略系のゲームを得意とする【SNGの司令塔】と呼ばれるほどの腕前の持ち主である。28歳らしいが、高校三年生の俺を煽る時点で性格は最悪だ。
「はー、キャラ性能で差がありすぎんだろコレ。」
「豆電球君のピックキャラが悪いよ。なんだよ強攻撃が全体50Fって。」
「ゲーム性は良いんだけども運営の調整が下手すぎるな。」
高校二年生最初の長期休みである夏休みを、朝から晩までゲームで堪能している煇は〔P5〕と噂のゲームを手当たり次第触っている。
「あれ?〔ハセシュン〕ってまだ来ないのか?」
「アイツは遅れだよ。〔カイトンカツ〕はオンラインだけど参加しないだろう。」
俺たちは一区切りつけ、次なるゲームを探す。
「あ、そろそろ新ゲームの公開動画投稿されるし、ヤーチャーブ開いたことーぜ。」
新ゲームとは《ジャストマッチアタック》という次世代のTOP作品になると期待されている新作ゲーム。
「だな、画面共有しまーす。」
ヘッドホンをつけ、VR上に配信画面を出す。P5のネカマアバターと合流したところで配信が始まる。
『こんにちは!今回のゲーム開発代表「佐藤」です。今回は我が社開発の新作ジャストマッチアタックを紹介します!!!』
最新ゲーム《ジャストマッチアタック》…!!!
最大一つのサーバーに10万人が同時にサバイバルをし、バトルを行うPvP MMOとサバイバルを組み合わせたゲーム!!
自身の拠点を作るのも、限られたワールドの資源を奪い合うのも、ただただ敵を倒しまくるのもこのゲームの醍醐味!!!ゲーム史上最高の自由度。【種族】と【武器】を選ぶことによって広がる無限大のバトルスタイル。新型VR対応ゲーム。本日発売!!!
「…面白えのかね?ほんとうに」
「正直こういう宣伝してきたゲームは幾度となく見てきた…が!最高の自由度と掲げている割にはバグが多すぎたり、無限大のバトルスタイルと掲げるが環境キャラしか使われなくなってしまったり…!」
アバターのP5と豆電球は腕を組む。
「ま、発売まではなんとも言えんな。」
「あぁ、建築要素もあるっぽいし、限られたエリアの中でどれだけ勢力を上げられるかって感じだろうな。」
こうして《ジャストマッチアタック》の考察は早朝4時まで続き、その20時間後。ついに発売時刻がやってきた。
「はい〜、豆電球ちょうど20時間ぶり〜。」
「うぃー、ついに始まるな。《ジャストマッチアタック》!」
「次であった時は、豆電球。僕たちは敵かもな?まぁ、それは慣れてることか。」
アバター姿のP5が俺を小突いてくる。
「じゃ、次会う時はワールドで。」
「はいはーい。」
『《ジャストマッチアタック》にようこそ。このゲームでは限られたワールド内でPvP MMOをしてもらいます。現実世界と時間は共有されており、東京の時刻を基準としています。ワールドイベントなどで強い武器・ドロップを獲得!最終的に一番勢力…キル数を稼いだプレイヤー、およびギルドの勝利となります。まずキャラクターを作成し、【種族】と【武器】を決めてください。』
キャラクリはとことん拘るぜ。まず、雰囲気は現実世界に合わせたいから…目はグレー寄りにして…身長は普通よりちょっっっと高め?で。
【種族】は人間・魔人・アンデット・鳥人・魚人・妖精…マジで無限にいるな!ま、最初のプレーは人間でいいでしょ。
おっと、同時にステータスも振り分けられるのか!
最初に振れるのが20だから。ま、無難に超スピード特化…いや、敢えてタンク系もありか?ソロプレイなら前者の方が…んー。
ま、幸運に全振りしよ!!!
初期武器は普通にグローブでいいや。序盤から火力は必須…。よし!これでいいか!
『新たなる挑戦者よ。世界の秘密を解き明かし、闘争と本能に従い、自らを開花させよ…!』
「さぁ、ゲームスタートだぜ!!!《ジャストマッチアタック》!!!」
光に包まれた《豆電球》は、目を開けると広い荒野が広がっていた。
「うひょー、グラフィック二重丸!自然な風、環境音。太陽の暑さも感じられる!」
……いやマジで暑いな!!!人間の初期装備くっそ鎧着てて死ぬほど熱籠る!!!
「早く脱がないと焼け死んで終いだぞ!」
俺は急いで鎧を外している瞬間、胴体に一本の槍が貫通する。
『miss!!!』
「あひゃー、まさかのステータス《幸運》に振ってる?せっかくの奇襲が無駄になったじゃないかー。」
目の前から歩いてくる人間に、俺はすぐさま拳を構える。
(始まって早々戦闘開始かよっ!マジでまだ動きとかもわかんねぇんだけど!)
VRゲームの操作の基本!基本的に体は現実世界と同じ動きができ、身体能力とかが意味わからんほど伸びる!だから現実と少し違和感が生じる!!!
「もっと温厚にできないのか!槍使い!!!」
突然と現れたプレイヤーに引けを取らないよう、精一杯強者を演じる。
「グローブとか格闘ミーかよ!?って…豆電球…?名前変!!!」
「クッ………余裕かましてろ!!!」
このゲームはサバイバル・戦略系には珍しく、スキルの概念が存在する。
初期の武器や種族によって取得できるのも変わるが、俺の今のスキルは三つ!!!
スキルの発動条件は確か…【声に出す】のと【正しい動作】!!!
豆電球は荒野の中高く舞い上がる。目の前のプレイヤーも飛ぼうとするが、すでに遅い。
「初期スキル【我楽多】!!!」
刹那、グローブに黒い影が包まれ、そのまま殴ると同時に爆発する。
その攻撃によって、相手のプレイヤーを遠くまで弾く。
「スキル攻撃ダメージの30と落花ダメージ10…!初期HPが100だから、HPに振ってない限り相手の残りHPは60か!」
「…くっそ、スキルを前に使ってきたせいで技が出ない!!!」
敵槍使いプレイヤーは被弾後すぐさ回復瓶らしきのを
出すが、それを石の投擲で破壊する。
「敵と適切な距離をとってから回復!これ、死にゲーの基本だぜ!」
さっきから現実の動きとなんら大差ない!違和感の感じられない操作感!
「ここで負けるわけにはいかない!殺す!」
そう意気込んだ相手プレイヤーに俺は質問をする。
「君ってステータス何に振ってるの?」
「あ?防御と…攻撃だな。」
豆電球はその言葉を聞き、拳を構え笑顔を見せる。
「幸運最高ぜんぶり格闘家に…攻撃が当たるとでも?」
豆電球は一気に間合いをつめ、【我楽多】の爆発によって相手を飛ばす。
(この《豆電球》ってプレイヤー!幸運に振っているせいで攻撃しても『miss』になる!そしてそれを前提とした攻めた立ち回り!厳しい戦いだ!!!)
「ぶつけてみろよ!その槍!!!」
豆電球が低く構えたのに合わせ、槍を突く。
距離を離しながら、槍使いの得意な中距離の間合いに持ちかける。そして、相手プレイヤーは槍を振り回して翻弄させ、その隙に豆電球の心臓部分を狙う。
「ダメダメー!!幸運のステータス効果で《miss》だよ!!!!」
心臓部分に槍が刺さるも俺が相手を煽りながら拳を振り上げた。瞬間、機械音が流れる。
『クリティカルヒット 100ダメージ』
「「え?」」
…豆電球の視界は真っ暗になった!!!
「幸運ステータスって20振っても、攻撃回避率10%なの!?」
戦いの後、リスポーンがまた荒野になった俺は《ラザルザ》と名乗る槍使いと会話をしていた。
「幸運を初期で全振りするのはあんまいい策とは言えないな。ただ、ドロップ確率・回避率・イベント発生率とか…まぁ、色々あるしさ?」
「いやー、なんで始まった時点でそこまでわかってんだよ。キャラクリに1時間かけたとは言え、リリースから2時間だぞ?まだ。」
俺は体を慣らしながらラザルザに文句をいう。
「ま、リリース前から考察勢が大量に居たからね。なんせこのゲーム、ただのPvP MMOに見えるけどストーリールートがあるとかないとか…。」
「まぁ、MMOな限りストーリーはあってもおかしくないがな。」
俺達が話をしていると、また機械音が流れる。
『フレンドの申請が届きました。《リスト》と声に出すと、インベントリや設定を見ることができます。』
「フレンド申請送っといた。ま、俺はこのゲームで誇り高き槍使いに成り切る気だし、目標は勢力を上げた組織の護衛隊に入ることだな。」
「目標か、考えてもなかったな…。」
成り行き、《SNG》の中で話題になってたから始めただけだし、ゲームの中でも仕事に就きたいなんて思わない。
「ま、普通に強いプレイヤーと戦うかな。てか、なんなら一位目指すぜ、俺!」
そんなことを話しているとまたフレンド申請が届く。
「豆電球、次は誰からだ?」
「ん?あぁ、俺のネッ友。ちょっくら会いに行くことなったわ。」
俺はフレンド申請を承諾し、P5の位置情報をもらう。
「そこは…崩壊都市バラボロシティだな。歩いていっても3時間で着く。」
豆電球は話しながら身支度を済ませ、貰った回復瓶を飲み干し、笑顔を見せる。
「てことで、あんたとはここでお別れだな。助かったぜ!色々教えてくれて。」
「そうだ豆電球、これ持っていきな。」
渡されたのは青色のオーブであった。
「ちょうどこの荒野の廃坑で見つけた。そのオーブは死にそうになった時に割るとHPが全回復する。ま、緊急用だな。」
「何から何までありがとよ!」
そうして俺は崩壊都市目指して歩き出した。
「ゲームルールを見てると…対プレイヤーのバトルゲーム。あっ、モンスターとかは居ないわけね。スキルはクールタイムがあり、技によって異なる。《グローブ》が初期武器の場合、序盤スキルは三つか。」
荒野は開けており、プレイヤーを先に見つけた場合、身を潜めやすい。ただ、気温まで共有されるこのゲームでは熱で死にかける。
「さてさてー!どっかに強いプレイヤーいないかな〜?」
俺が荒野を抜けると、暗い霧が俺を覆う。
「なんだこれ…こんなところもらった地図にはないぞ?まさか未開拓地?」
霧で前が見えない豆電球はスキルで霧を晴らす。
【我楽多】
空中に向かって放った我楽多の爆発が、何かと衝突する。
ッドン!!!っと鉄の壁に拳をぶつけたような音。鈍い音と共に拳が痺れる。
「なんだ…壁?」
俺が拳を広げ、その壁に手をつけようとした時、怪物の咆哮のようなものが聞こえる。
「怪物のような…いや、怪物か!?」
その瞬間、霧から“手”が現れる。その手は俺を掴み、高く上へと投げた。
「おいおいルールブック嘘だらけかよ…!!」
豆電球は目の前にいる…居ないはずの馬鹿デカいモンスターに喜んでいた。
「いいぜ!怪物狩りだ!!!」
『レベル21の傲慢の亜鬼と対峙しました。』
ご丁寧に専用ボイスまで…これは確実に明かされていない仕様!
「俺の拳の餌食になりな!!!」
空中の俺を叩きに来た亜鬼に対して俺はパリィを成功させる。
「空中パリィは判定がむずいな!おっと!!!」
パリィで敵が硬直している隙をみて、安全に着地。すぐに体勢を整える。
(霧で見えなかったが、ここは地図上にもあった“迷い森”!!!足元が全てツルで出来てておもしれぇ!)
まず、なぜモンスターがいるのか…!ストーリーと関係しているのか…!俺がレベル1……このレベル差を埋めれるのか!
「そんなのどうでもいいでしょ!」
こいつも倒す為にはクリティカルが必須!そして、攻撃の被弾を最小限抑え、仕方がない被弾は、運で【Miss】を引き当てる!
このゲームのクリティカル判定は二つ!まず一つ目はランダム的要素。クリティカル上昇武器などがあるように、攻撃を当てた時、初期値1%の確率でクリティカルとなる!幸運にステータスを振っている俺は大体5%ってところか!
そして、次が大重要。プレイヤーの急所に当たった場合に発動もする!さっき〔ラザルザ〕が心臓を狙ってきたのもそれ!この亜鬼にも急所はあるはずだ!
「オラァ!喰らいやがれ!【我楽多】!!」
亜鬼はその攻撃を顔面からヒットし、巨大な体が揺れる。
「クリティカル出してやる!スキル発動【スカイウォーカー】!!!」
【スカイウォーカー】はオプションスキルといい、種族・武器関係なしに、幾つかの有能なスキルから一つだけ最初に選べるレアスキル。空中を面で捉えて、足場のように走ることができる。正直空怖い。
亜鬼はその予想不可な攻撃に警戒する。
「うっひょー!空中機動力高すぎる!格闘タイプじゃねぇだろこれ!!!」
俺がそのまま亜鬼の真上まで行き、拳を握りしめる。
「ぶっ倒れろ!我楽ーーー」
「グォオォォォオオオオ!!!!!」
俺が顔面に拳を打ち込もうとした瞬間、巨大な亜鬼が叫ぶ。
(また咆哮!?動けない!!!)
てかまずまず対人ゲームの筈なのにモンスター凝りすぎだろ!こいつ倒したからじっくり調べてやるからな!
飛んできた拳は【miss】になったが、地面に叩きつけられたのには落下ダメージ判定でHPが減る、
今ので32ダメージ……元々あったHPが92だから。拳は残り一発で即死…落下ダメージも受けれて三回ってとこだな。
「前にやってたゲームにな。攻撃力無限の敵がいたんだよ。」
俺は過去の理不尽ゲーへの怒りを思い浮かべ、そのまま【スカイウォーカー】で空を駆け、また上をとる。
「だからお前みたいな真面目な敵がありがたいくらいだぜ!!!」
豆電球は自身のグローブを付けた手を、亜鬼の頭上に乗せる。そして、全身に力を入れて、こう叫んだ!
「【アタックインパクト】!!!!」
俺が頭上でスキルの発勁を放つことによって、『クリティカル』の表示が浮き出る。それと同時に亜鬼は大きく転倒した。
【アタックインパクト】は多段技攻撃であり、一度の攻撃で五回の当たり判定がある。
そして、亜鬼の弱点…頭上をたまたま当てた豆電球の攻撃は、クリティカルが三回発動。攻撃力不足でも相手を倒すことができた。
『傲慢の亜鬼を討伐。経験値1→11』
俺はまた地面へ落下しダメージを喰らうが、大声で叫ぶ。
「おっしゃーー!!!レベル1でよくわからんモンスター倒したぞーー!!!!」
約20分の戦闘でHP1になった豆電球は回復しながら崩壊都市へむかう。
豆電球が亜鬼と対峙しているころ、現実世界で…。
東京都渋谷区ある一角のビルにて
「《ジャストマッチアタック》……表向きじゃあ、単にシステムの凝ったPvPゲーム。」
「ハハッ、笑えるわ。それ。」
ある二人の男女がパソコンを眺めながら会話をする。
「〔豆電球〕と言うプレイヤーが一番最初にモンスターと対峙したようだな。」
「いよいよわたしたちの計画が始まる!!その名も《エクスパンド・トゥルース・エンド》……!!!」
最初に一度投稿したんですが、納得いかないのが多かったんで再投稿。




