NEWアプリはロマンの塊
「おはよう」
少し気まずそうにそっぽを向いているお荷物に声を掛けた後、マツキヨさんを起こして出発の準備を始める。
朝はマツキヨさんからパンを貰って飲み物は自前でコーヒー牛乳を用意した。
昨日爆睡をしていた人はもう知らない。
朝ご飯抜いて少しは反省すれば良いのだ。
馬を繋いでマツキヨさんが乗り込む。海斗は昨日と同じようにマツキヨさんの横に乗り、お荷物は幌の中に乗り込んだ。
出発して1時間、地図と蒼鳥で索敵をしているので中々に快適である。
後ろの幌の中を除いては
たまに引っかかる魔物には幌の上に乗ってスナイパーで一撃必殺。
SCに切り替えて瞬動で魔石やドロップを取りに行くを繰り返して、マツキヨさんから驚かれていた。
「いやぁ、海斗さん凄い優秀な冒険者なのですね!専属になって頂きたい位ですよ」
いや、流石にそれは遠慮したい。
マツキヨさんによると、金額の高い冒険者はパーティ制が多くて魔法を使える人や気配を察知出来るくらいの騎士は少ないみたいだ。
人数が多い分高くなるし、ワガママな人も多くなるそうだ
プライドが高くなるのかな?
まあ、実際に使えない人よりはマシだと思うけどね
後ろで酔ってる女の子は座っているのも限界そうだ。
街道の先、地図の端っこに人のマークが付いた。
調べてみると人と山賊の2種類だ。
このまま行けば相対するだろう。
マツキヨさんに情報を伝えてどうするか聞いてみる。
依頼人の意見が優先的だからね。リスクは回避したいだろうし。
「何してるの!うっぷ・・早く助けに行かないと!」
話を聞いていたのか、後ろからサーニャが助けに向かおうと言ってきた。
何故にそうなる?君は護衛だろうよ?依頼人の利益と生命を守るのが護衛の仕事だよ?
依頼人の意見を無視するどころか、危険に晒してどうする
マツキヨさんは逡巡した後、
「取り敢えず方向は変えられないのでこのまま行ってみましょう。海斗さん、盗賊の人数的に大丈夫でしょうか?」
まぁそうなるよね。でもちゃんとこちらの戦力の確認をしてくるくらいだから無茶は言わない人だと思う。
「私なら盗賊なんてイチコロよ!・・うっ!?」
酔いながらそんな事言われても説得力無いよ?
戦力としては除外して
「数えると15人ですね。これくらいなら大丈夫だと思います。けど慎重に行きましょう。」
マツキヨさんは頷いて少し急ぎ目に馬を走らせた。
その影響で馬車の後ろにマーライオンが降臨してしまったのだが、見なかった事にしよう。
マークの付いた所に近づくと目視で確認できるようになった。
ズームで確認すると商人の乗る馬車では無く貴族が乗るような立派な馬車だった。
離れた所で馬車を停めてもらい海斗だけが行く事を提案する。
するとなんとか生きてたサーニャが私も行くと身を乗り出した。
馬車から降りるとサーニャの足は震えている。武者震いかと思ったら酔っていた影響だった。
サーニャを小脇に抱えてSCをセット。瞬動で襲われている馬車の近くにあった岩場の陰に移動する。
取り敢えず現状を確認しようと覗いているとサーニャが飛び出して行った。
「そこまでよ!悪党を見逃すほど私は甘くは無いわよ!・・うっぷ!?・・偉大な魔法の前に大人しくやられなさい!」
何だコイツーーー!?
バカか!馬鹿なのか!?ポンコツにお荷物で馬鹿なのか!?
救いようがねぇー
何故行き当たりバッタリで行くんだよ!人質取られていたらどうするんだ!?
相手が自分より強いかもしれないって頭はないのか?
何でもっと考えて行動出来ないんだよ!
頭痛が痛いってこういう事を言うのではないだろうか?
あー、寝不足で変なテンションになっている。
案の定馬車の中から高貴そうな女の子を人質に取って出てきた。
「ひっ卑怯者!そんなか弱い女の子を人質に取るなんて!正々堂々とかかって来なさいよ!」
あーもう!盗賊に正々堂々って何だよ
ダメだコイツ
スナイパーを用意して、人質にとっている男の手にポインターを合わせる。
風の抵抗も無く、弾道計算もしなくていい。
ただ合わせれば良いだけなのだ。
ズームで確認してから撃ち抜いた。
「うぎゃぁぁぁあ!」
持っていたナイフごと穴が開いて男は絶叫し、地面を転げ回った。
「「「えっ?」」」
転げ回る盗賊を見て全員が呆然とする。
そして何故かサーニャまで呆然としていた。
呆れ返りSCに切り替える。一瞬で女の子の所まで到着し、抱えてサーニャの所まで戻る。
サーニャは急に現れた海斗にビックリして開いた口が塞がらない状態だ。
「サーニャはここでこの子の保護をお願いね」
それくらいはして欲しいものだ
返事を聞かずに前へ歩きだす。
「な、な、何もんだ!?」
盗賊の1人が武器を構えて聞いてきた。
徹夜明けのテンションでハイになっていたのだろう。そして、少しのイライラも入っていた。
後、このシチュエーションはNEWアプリの出番じゃないのか?という気持ちと1度は夢見た事が現実に出来る喜びでおかしくなっていた。
決して、少しストレス発散の成分が入っていた訳ではない。
「何者かって?通りすがりのライドさ、覚えておけ」
「何だと?何を言っているんだ?」
NEWアプリ
CD(カードライド ディオウ)
日曜日の朝早くから子供から大人まで虜にしてしまった某番組。
それのアプリ版が出ていた。
世界の未来を守るために、色んな世界や時代を駆け巡り、過去にテレビで流れていたライド達の力を集めてカードにしていく。
主人公は過去のライドの力も使えるので昔見ていた大人達も懐かしんで観ていた番組だ。
そうゆう海斗も小さい頃からテレビの前で変身ポーズを決めていて、今回アプリになったディオウも毎週欠かさず観ている。
早速アプリを立ち上げた。
お腹に光の粒が集まりだし、変身出来る装置が現れた
うぉぉぉぉおお!
海斗のテンションが爆上がり中である。
変身の構えをすると突き出した手の中にカードが現れた。
やっばい!!楽しい!
「変身!」
カードを装置に翳すと変身装置から半透明なカードの映像が現れる。
そして何処からともなく音楽と変身音が流れてきた。
『最強!最高!時代を駆け抜ける王!
崇めよ!
カァードライドォ、ディオォウゥ!』
カードの映像が海斗に向かって通り過ぎてるとディオウの衣装を身に纏っていた。
思わず身体中を確認してみる
「おおお!すっごい!ヤバい!キタコレーーー!」
テンションがおかしな方向に向かっていった。
いきなり変身した海斗に驚愕しながらも1人興奮し続けている海斗に無視されている事に気付き、武器を構え直す。
「き、急に変な武装しやがって!どうせ見掛け倒しだ!やっちまえ!」
「フッ、それはどうかな?」
もうノリノリである。
ディオウの力なのか力が漲っている。確か公式ではパンチ力4t、キック力8tだったっけ
相手の攻撃を避けながら軽くパンチをしてみると紙のように舞い、錐揉みしながら飛んで行く。
キックをすると武器を破壊しながら大きく弧を描いてグシャリと音を立てて落ちた。
そして出来上がったのが阿鼻叫喚の図である。
残り2人となると顔を真っ青にしながら逃げていった。
あっ!せっかくコンプしたのに全然使わなかった
結局ノーマルバージョンのまま倒してしまった海斗であった




