☆生存から生活へ
一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。
完結してる作品なので、完結は必ずします。
配信。
平日は朝6時に1話配信。
土日祝は夜20時に1話配信。
「」人のセリフ
()心の声
『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。
※私の小説のルールです。
楽しんでもらえると嬉しいです。
惑星アークスからの移住が完了。間もなくして、二つの会議が開かれる。
二一億人が生き延びるだけでなく、この星で“暮らす”ための準備が、すぐに必要だったからだ。
ジュラシックアースは、生命力に満ちた星だった。
だが同時に、人類にとっては何も整っていない、完全な未開の地でもあった。
そこで移住直後、統合評議会は迅速に判断を下す。
人類は二つのチームに分かれることになった。
ひとつは、
住居、医療、インフラ、都市機能を整え、この星に「街」を築くための街づくりチーム。
もうひとつは、
先住民である恐竜たちの生態を調査し、衝突を避け、共存の道を探る恐竜対策チーム。
これは、
開拓ではない。支配でもない。
人類が、他者の星で生きるために下した、最初の選択だった。
――街づくり会議
◆ジュラシックアース・臨時統合庁舎(仮設)
円形のテーブルを囲み、ホログラムが立ち上がる。
地形図、人口分布、簡易住居の配置図。
どれも“応急処置”という言葉が似合う光景だった。
アーク大統領が重々しく口を開く。
「改めて確認する。移住完了人数は約二一億。命は守れた。だが“生活”には、まだ程遠い」
ゼファー大統領は腕を組み、低く息を吐きながら言った。
「医療施設の不足が深刻だ。地下都市基準で考えていた私が甘かったよ。地表は別物だ」
ノヴァ大統領も続ける。
「軍と技術部隊が基礎インフラを支えているが、限界は近い。このままでは“街”ではなく、巨大な野営地だ」
ホログラムが切り替わり、赤い警告表示が点灯する。
アストラが静かに告げる。
『簡易住居の耐用年数は最大で三年。医療リソースは、現在のままでは一年以内に破綻します』
結依が腕を組みながら言った。
「つまり、猶予はないってことね。“急いで、でも間違えずに”街を作らなきゃいけない」
黒髪のルビィが少し前のめりになり、勢いよく言う。
「なら、区域ごとに役割を分けましょう!医療特化区、居住区、研究区。全部一気は無理でも!」
バルンが低く頷く。
「方向性は正しい。だが、問題は資材と人材だ。二一億分の“日常”は、数字じゃ割り切れん」
サイモンが手を挙げ、おずおずと口を開く。
「えっと……壊れない街、作ればいいんですよね?なら、最初から“直しやすい街”にすればいいんじゃ?」
一瞬の沈黙。
アーク大統領が興味深そうに目を細めた。
「…ほう?」
サイモンは続ける。
「完成形を目指すと間に合わない。なら、未完成前提で、ずっと成長する街にするんですよ」
ゼファー大統領が小さく笑う。
「相変わらず、発想が力技だな」
アストラが即座に分析する。
『合理的です。可変構造都市…段階拡張型の街づくり』
結依が腕を組み直しながら言う。
「“完成しない街”か。でも、それなら人も未来も、ちゃんと入り込める」
ノヴァ大統領が頷いた。
「決まりだな。完璧を目指さない。生き続けられる街を作ろう」
アーク大統領が宣言する。
「では宣言しよう。ジュラシックアース第一都市計画目標は“生存”ではない。“生活”だ」
ホログラムが静かに確定表示へと変わる。
ルビィは小さく拳を握った。
「よし、街を作りましょう」
その言葉に、誰も反対しなかった。
――恐竜対策会議
◆ジュラシックアース・生態研究棟(仮設)
壁一面に映し出されるのは、恐竜たちの行動ログ。移動ルート、縄張り範囲、群れの分布。どれも、人類の居住区と不自然なほど近かった。
ダイヤが静かに口を開く。
「まず結論から言うね。恐竜たちは、人類を“敵”とは認識してない」
クラウドが肩を揺らしながら補足する。
「正確には、“侵入物”だねぇ〜。排除対象ではあるがけどぉ〜、捕食対象じゃないしねぇ〜」
レオがホログラムを見つめたまま言う。
「縄張りへの執着が異常に強い。一歩でも越えれば、即座に排除行動を取る」
ホログラム上、赤い線が幾重にも引かれる。
ゼンが腕を組みながら続けた。
「でも、殺し合いは起きてないっす。恐竜同士の間の話しっす」
アンが顎を引き、指差す。
「理由は、これだすな」
映像が切り替わり、巨大な草原。恐竜たちが、黙々と植物を食べている。
フェザーが目を細めた。
「全種、草食……だと?」
ゼンが即答する。
「はいっす。歯の構造、消化器官、腸内細菌。肉食に必要な要素が、どこにもないっす」
クラウドが大げさに身振りを交えて言う。
「あの見た目でぇ〜、肉食じゃないのぉ〜?」
「じゃあ、つまりぃ〜〜」
アンが静かに言った。
「個体数が、減らないだすな」
ゼンが補足する。
「中には雑食寄りの恐竜もいるっす。でも、全体の八割が草食っす」
レオが低く言う。
「やはり、そうか――だから、数が増え続けている。縄張りが限界まで膨張している理由か」
ダイヤが続ける。
「しかも、草木の成長速度が異常」
クラウドが楽しげに言う。
「夜が存在しない影響もあるがぁ〜、それを差し引いても説明がつかないよぉ〜。植物が“休まない星”だねぇ〜」
フェザーが口元を歪める。
「なるほど。食糧が無限、捕食者がゼロ、寿命も長い……これは生態系じゃない」
ゼンがぽつりと続ける。
「人間もそれに近い生態系っす」
アンが頷く。
「問題は、陸地の半分を占拠したことだすな。恐竜たちは、残り半分に押し込められているだすな」
レオが静かに結論づける。
「このままでは、必ず衝突が起きる。意図せずとも」
ダイヤが前に出る。
「だから、選択肢は三つ」
ホログラムに三つの項目が浮かぶ。
《恐竜を排除する》
《人類が撤退する》
《共存のルールを作る》
フェザーが淡々と言う。
「一番簡単なのは一番上だ。だが——」
アンがすぐに続ける。
「それは、我々が“侵入者”だと忘れる選択だすな」
クラウドが肩を揺らす。
「その下も現実的じゃないよぉ〜。二一億人は、もう戻れないよぉ〜」
レオが短く言う。
「なら残るは、一つ」
ダイヤが頷く。
「恐竜の“縄張り”を理解して、人類側が踏み込まない線を引く」
ゼンが静かに言った。
「共存は、優しさじゃない。精密な線引きっす」
フェザーが口角を上げる。
「面白い。野生と理性の境界線を、我々が設計するわけだ」
ダイヤが静かに締めくくる。
「恐竜は、敵じゃない。この星の“先住民”なんだ」
しばし沈黙。
レオがゆっくりと頷いた。
「なら、我々は後から来た側として、礼儀を学ぶべきだな」
ホログラムがゆっくりと消える。
フェザーが腕を組み、次の方針を示す。
「私とダイヤとクラウドで、もっと恐竜たちを調査してみる、数が増えすぎないように繁殖のコントロールも必要だし」
誰も、それを否定しなかった。
ダイヤが短く答える。
「了解した」
クラウドが少し間の抜けた声で言う。
「え〜?俺もなのぉ~?」
――その後、恐竜調査には生物学者のアンとゼンの二人が加わり、さらに超能力ペアのカイトとエアロも参加した。
異なる分野の力が集まり、調査体制は大きく強化されていく。
こうして、恐竜対策は新たな段階へと進み始めた。
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明日は2話、朝と夜であげます。




