☆ジュラシックアース・街づくり現場①
一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。
完結してる作品なので、完結は必ずします。
「」人のセリフ
()心の声
『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。
※私の小説のルールです。
楽しんでもらえると嬉しいです。
明日も朝と夜で2話あげます
水道の配管が移住先の仮設住宅まで届かず、住民たちが水を求めてざわついていた。
子どもが空の容器を振り、大人たちが列を作り、誰かが「まだか」と声を上げるたびに、空気が少しずつ張り詰めていく。
そのすぐ横で――
軍人と科学者が、完全にヒートアップしていた。
アンデルが地面を踏み鳴らしながら叫ぶ。
「防衛用水路を先に通せば、住民への供給は二の次だ!万が一があったらどうする!」
バルン博士が腕を組み、眉間にしわを寄せて言い返す。
「いや、防衛よりも生活インフラの確保が先だ!安全を盾に人を困らせるのは非効率だ!」
アンデルがさらに一歩踏み出す。
「非効率でも守るのが軍だ!」
バルン博士も負けじと前に出る。
「守る対象が干からびたら本末転倒だろう!」
――どっちも正論で、どっちも面倒くさい。
グリムがその間に割って入るように口を開いた。
「いいから、まず水を出そう」
しかし、その冷静な一言は見事に無視された。グリムはほんの一瞬だけ目を閉じた。
(……やはり、現場は理屈だけでは動かない)
その頃。
サイモンはというと――
巨大な配管をひょいと持ち上げていた。
普通なら数人がかりで運ぶそれを、片手で持っている。
サイモンが配管を覗き込みながら言う。
「ここに刺せばいいんじゃね?」
そして、そのまま本当に刺そうとする。
結依が慌てて叫んだ。
「待って待って待って!それ方向が違うから!」
サイモンがきょとんとする。
「え、でも穴あるし」
「それ排水側!」
結依が即突っ込む。
現場は、混乱の極みだった。
そのとき――
ルビィが一歩前に出た。
黒髪のルビィが腕を組み、全体をゆっくり見渡す。
騒音、怒鳴り声、焦り、全部を一度受け止めるように。
そして、すっと口を開いた。
ルビィがはっきりと言う。
「待って、やり方は簡単よ!」
その声は、不思議とよく通った。
軍人も科学者も、思わず言い争いを止めて振り向く。
ルビィは一歩踏み出しながら続けた。
「まず、住宅ブロックごとに優先順位をつけます!」
指先で地面に簡単な図を描く。
「上流と下流、同時に配管を伸ばすんじゃなくて、順番に回すの!」
「一箇所ずつ“確実に通す”。それを繰り返せばいい」
アンデルが眉をひそめる。
「それでは防衛が――」
ルビィが即座に返す。
「水が来なきゃ、防衛どころじゃないでしょ?」
バルン博士が小さく頷く。
「……確かに」
ルビィは間髪入れずに指示を飛ばす。
そして、サイモンを指差す。
「サイモンさん、その配管はこっちよ。力仕事は全部お願いします!」
サイモンが嬉しそうに笑う。
「任せろ!」
ルビィが結依を見る。
「結依、流量データと接続順、チェックお願い!」
「了解」
結依がすぐに端末を操作する。
ルビィが振り返る。
「アストラ、配管の流れ、全部モニターに出して!」
アストラが即座に応答する。
『了解。配管経路、リアルタイム監視開始』
次の瞬間、ホログラムに水の流れが可視化される。
ざわついていた現場が、少しずつ静まり始めた。
ルビィが軽く息をつきながら言う。
「これで、混乱も喧嘩も減るわ」
アンデルが腕を組み直し、小さく呟く。
「……う、うむ。確かに、現場が回らなきゃ意味がないな」
バルン博士も頷いた。
「順番さえ決まれば、理論は活きる」
ルビィがニコッと笑う。
「科学的理論も無駄じゃないけど、順番が決まれば、効率は倍増よ」
その横で――
サイモンが配管を豪快に差し込む。
ガコン、と音を立ててぴたりとハマる。
サイモンが満足そうに言う。
「お、今度は合ってる」
「最初からそれやって!」
結依がすかさず突っ込む。
水が流れ始める。
最初は小さな音。
やがて、確かな流れ。
誰かが声を上げた。
「出た……!」
次の瞬間、歓声が広がる。
グリムはその様子を静かに見つめていた。そして、ほんのわずかに目を細める。
こうして、街の水道トラブルは解決した。
黒髪のルビィの判断は、現場の混乱を一瞬で収めただけでなく、後に公式の“ジュラシックアース都市ルール”として採用されることになる。
さっきまでの混乱が嘘のように、現場は滑らかに動き始めていた。
――まるで、詰まっていた水が、一気に流れ出したかのように。
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今夜、20時にも1話あげます。




