☆帰らない選択
一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。
完結してる作品なので、完結は必ずします。
配信。
平日は朝6時に1話配信。
土日祝は夜20時に1話配信。
「」人のセリフ
()心の声
『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。
※私の小説のルールです。
楽しんでもらえると嬉しいです。
――移住ミッション完了後。
◆ルミナール号・船内ラウンジ
外はいつもと変わらないジュラシックアースの濃い緑が広がっていた。
六人が、円形の簡易テーブルを囲んでいる。
最初に口を開いたのはレオだった。短く息を整え、全員を見回す。
「移住は完了した」
そして間を置かず、続けた。
「だから、俺たちの任務も一区切りだ」
黒髪のルビィが腕を組み、静かに頷く。
「私たちの選択肢は三つです」
結依が頷き、指を折りながら順に挙げていく。
「① アデーロス銀河の惑星探索任務に戻る」
「② リトス銀河の宇宙ステーションへ帰還」
「③ ジュラシックアースに残って、もう少し定住支援」
サイモンは椅子にもたれ、天井を見上げながらぼやくように言った。
「……どれも、現実的すぎて困るな」
少しだけ口元を緩める。
「五〇年も経ってて帰還したら、英雄あつかいかなぁ?」
結依がすぐに反応し、やや呆れたように言う。
「英雄?――もう、既にあなたたちは伝説です」
ダイヤとレオは沈黙したまま、視線だけを交わした。
アストラが淡々とした声で告げる。
『任務的には、一番合理的なのは①です』
『探索データの遅延は、すでに許容範囲を超えています』
レオが苦笑を浮かべ、小さく肩の力を抜いた。
「七八は相変わらず、ブレないな」
ルビィが軽く息を吸い、そのまま続ける。
「でも」
一度全員を見渡してから言葉を重ねた。
「②もありだよね。五〇年前のルミナス号を発見し救助している、一旦帰還するには十分過ぎる理由にはなる」
サイモンはふと何かを思い出したように顔を上げる。
「……なぁ」
視線をダイヤへ向けた。
「ルミナス号は?―― まさか恒星の爆発で?」
ダイヤは静かに首を振った。
「それは大丈夫」
その一言で、全員の視線が一斉に集まる。
ダイヤは落ち着いた声で説明を続けた。
「アストラが恒星の異変を検知して、みんなに伝えた時点で」
「ルミナス号は、オート操縦に切り替え、ジュラシックアース宙域へ向かわせた」
サイモンが目を細め、確認するように問う。
「……いつ?」
ダイヤは迷いなく答えた。
「恒星爆発の、二日前」
アストラがすぐに補足する。
『現在、ルミナス号は予定航路を維持中、あと二日ほどで、この惑星近傍に到達し、停船するはずです』
レオが小さく息をついた。
「さすがだな」
ダイヤは頷き、続ける。
「後日、ルミナール号でルミナス号を迎えに行きたい」
サイモンはようやく肩の力を抜いた。
「よかった。ルミナス号が無事で」
結依が小さく笑う。
「心配性ね」
サイモンは即座に真顔で返した。
「違う、愛着だ」
一瞬、空気が和らぐ。
ルビィが改めて話題を戻した。
「じゃあ、どうしますか?」
静かな沈黙が落ちる。
窓の外では、少し離れた草原を巨大な恐竜が何事もなかったかのように横切っていく。
ダイヤはその光景を見つめたまま、ゆっくりと口を開いた。
「私は③がいい。今は、ここを離れたくない」
全員の視線がダイヤに向く。
ダイヤは言葉を選びながら続けた。
「人々は、まだ“助かった”だけ」
少しだけ間を置く。
「“暮らせる”には、全然足りない」
レオが深く頷く。
「街も、ルールも、これからだからな」
ダイヤも頷き返す。
「そう」
そして、はっきりと言った。
「私たちは、移住計画は最後までやり遂げた。でも、まだ生活するには山ほど問題がある。それを途中で投げるのは違う気がする」
サイモンが顎に手を当てながら尋ねる。
「どれくらい?」
ダイヤは迷いなく答えた。
「そうだね、しばらく…三〜四ヶ月くらいかな」
「永住じゃない。でも、今じゃない」
ルビィも少し考え、ふっと笑う。
「うん。私も同じこと考えてた」
結依も頷いた。
「街づくりと恐竜対策、どっちも最初が大変だしね。でも、今抜けたら、後で後悔するやつ」
レオは深く息を吸い、静かに吐いた。
「多数決、取るまでもないな」
アストラが結論を確認するように告げる。
『結論を確認します』
『ルミナス号・ルミナール号のクルーは、ジュラシックアースに一定期間留まり、支援任務を継続』
ダイヤは小さく拳を握った。
「よし!」
サイモンが立ち上がり、軽く身体を伸ばす。
「じゃあ、決まりだ。探索者じゃなくて、しばらくは“住人側”だな」
窓の外で、恐竜が遠くへ歩いていく。
ルビィが小さく呟いた。
「忙しくなるね」
ダイヤは微笑む。
「うん。でも…」
一瞬だけ全員を見回す。
「ちゃんと、最後まで見届けたい」
その言葉に、誰も反論しなかった。
――こうして、六人はジュラシックアースでの定住支援に協力する意思を、三人の大統領へと示した。
それは任務の延長ではなく、“ここで生きる”という選択だった。
彼らはしばらくの間、“生活”を築くためのミッションへと身を投じることになる。
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