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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を見つけたら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼11万PV達成】  作者: 彩川準
【第零章】宝石(星)の伝説/ある天才少女の記録 Episode of Luminous−②

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★救難信号と空から来た手

このEpisodeは、【第一章】 継がれる名、選ばれし者のEp17.☆月影の救難信号(前編)とリンクしています。読み比べてもらえると嬉しいです。


今回でエピーソード オブ ルミナスは終わりです……が、酸性雨の惑星と、自然衛星ルナスの間に、もう一つ惑星に行ってる予定で、物語を作ってました。

後日に【断章①】にて、執筆します。

 ルミナス号のレーダーに映る、一つの光点。

 ゆっくりと――確実に、こちらへ近づいてくる。


 ダイヤが息を呑む。

「……来てる」


 サイモンが顔をしかめる。

「救難信号、ちゃんと届いたな」


 レオはすぐに外を確認する。

「だが、あの高度はまずい」


 ダイヤが振り向く。

「え?」


 レオは短く言う。

「あれ以上降りれば、“やつ”の縄張りに入る」


 サイモンも頷く。

「あのモジャモジャ、確実に落とすな」


 ダイヤがすぐに言う。

「無線で知らせる!」


 レオが即座に止める。

「……あ、ダメだ」


 ダイヤが固まる。

「え?」


 レオは淡々と言う。

「救難信号の修理に、無線の部品を使った」


 サイモンが顔をしかめる。

「詰んでるじゃねぇか」

 一瞬の沈黙。


 ダイヤはすぐに走り出した。

 サイモンが叫ぶ。

「ちょっ――ダイヤ!?」


 ハッチを開ける。

 ダイヤは外へ飛び出す。

 そして、両手を大きく振りながら、全力で叫んだ。

「近づくな、ここから離れて!」


 サイモンが呆れる。

「いや無理だろ、聞こえるわけ――」


 そのとき。

 光点が、止まった。

 三人の動きが止まる。


 サイモンがぽつりと呟く。

「……え?」


 ダイヤも目を見開く。

「止まった……?」


 レオが静かに言う。

「偶然か……?」


 ダイヤの視線が、船体に向く。

 小さく書かれた文字。

 ダイヤが読み取る。

「Luminal……ルミナール」


 サイモンが振り向く。

「なんだって?」


 ダイヤがはっきり言う。

「リトス銀河の文字……同じ銀河の船だよ」


 レオの目が鋭くなる。

「……味方の可能性が高いな」


 しばらくして。

 その船から、一つの影が切り離される。

 背部に推進ユニット。

 女性が単独でこちらへ向かってくる。


 サイモンが感心したように言う。

「……あの怪物いるのに、よく来るな」


 レオはすぐに言う。

「重力と酸素の情報、伝えないと――」

 だが手段はない。

 女性は迷いなく接近し、そのまま――静かに、降り立った。


 レオはすぐに声をかける。

「この自然衛星……空気があるんだ」


 女性は軽く頷き、ハッチから入ってきた。

 一拍。


 女性が言う。

「救助に来た。動ける?」


 ダイヤは首を振る。

「この高度まで船を下ろすと……“あれ”が来るの」


 その瞬間。

 地面が、わずかに揺れた。


 サイモンが振り向く。

「……来たぞ」

 白い巨体が、ゆっくりと動き出す。


 女性はすぐに反応する。

 無線で何か話している。


 次の瞬間。

 上空から、別の影が飛び出した。

 バイク型のマシーン。

 高速で突っ込み、そのまま怪物の周囲を旋回する。


 女性が叫ぶ。

「おい、無茶ーー!」


 バイクは怪物の目前をかすめる。

 挑発するように。

 怪物の視線が、そちらへ向く。


 ダイヤが息を呑む。

「……引きつけてる」


 その隙に――

 もう一機。

 別のバイクが一直線に接近する。

 男性がルミナス号まで来て、指示を出す。

『助けに来ました、男性二人は私のバイクに乗ってください、三人でも構造上は大丈夫です』

 間髪入れず続く。

『ルビィさんは、女性を抱えオービタル・ムーバーで向かってください』

 女性が頷いた。

 そして、話し始める。

「私たちの仲間が怪物の気をそらしてる間に私たちの船に行きます」

 距離を測る。

 怪物は、まだバイクに気を取られてる。


 女性が叫ぶ。

「今!」


 レオが即座に動く。

「サイモン、行くぞ!」

 サイモンが飛び乗る。

「おう!」

 レオも続く。

 後部座席に乗り込み、男性の体に触れる。

(……ん?硬いな)

 一瞬の違和感。

 だが、考える暇はない。


 バイクが急加速する。

 背後で、怪物が動く。

 しかし――遅い。


 女性がダイヤを抱え、別ルートへ離脱する。

 交差する軌道。

 寸分の狂いもない連携。


 サイモンが思わず言う。

「……すげぇな」


 レオは短く返す。

「ああ」


 そして――

 三人は、無事に回収された。

 救助に来た船の格納ハッチが閉じる。


 静寂。

 ダイヤが息を吐く。

「……助かった」


 サイモンが笑う。

「ほんとにな」


 レオは静かに前を見た。

「……あの連携、ただ者じゃない」


 クレーターの影。

 壊れたルミナス号。

 そして――

 白い番人を残して。

 彼らは、新たな船へと移った。


 格納庫の中には、低く唸る機械音だけが満ちていた。

 天井の照明はところどころで強く光り、金属の床を明るくくっきりと照らしている。


 女性が振り返り、短く告げる。

「ブリッジはこちらです。ついてきてください」


 三人は無言のまま、先導する男女の後ろを歩き出す。

 足音だけが、やけに大きく響いた。

 やがて重い扉が開き、三人はブリッジへと足を踏み入れる。


 少し離れた場所では、助けに来た女性が背を向けたまま無線を続けていた。

 抑えた声の奥に、緊張だけがにじんでいる。


 その声を背に、三人は小さく息をついた。

 サイモンが声を潜めて言う。

「……なぁ」


 ダイヤが小さく返す。

「うん?」


 サイモンはちらっと外を見てから言う。

「あの三人、動きやばくなかったか?」


 レオも小さく頷く。

「ああ。判断も速い」


 サイモンが続ける。

「連携も完璧だしな。あの短時間で、あの動きは普通じゃねぇ」


 ダイヤは別の方向を見ていた。

 船内の装置。

 見慣れない機構が、いくつも並んでいる。

 ダイヤは小さく呟く。

「……すごい」

 二人が視線を向ける。


 ダイヤは装置を見たまま言う。

「ルミナス号って、最先端の塊みたいな船でしょ?」


 サイモンが頷く。

「まぁな」


 ダイヤは少し楽しそうに続ける。

「でも、この船……私の知らないものがいくつもある」


 レオが目を細める。

「……技術体系が違うな」


 ダイヤは静かに頷く。

「うん。全然違う」


 サイモンが苦笑する。

「助けられた側だけど、ちょっと悔しいな」


 ダイヤがくすっと笑う。


 その空気の中で――

 レオが低く言う。

「……もう一つ」

 二人が見る。


 レオは声をさらに落とす。

「さっきの男だが」


 サイモンが首を傾げる。

「バイクの?」


 レオは頷く。

「ああ。触れたとき……違和感があった」


 ダイヤが真剣な顔になる。

「違和感?」


 レオは短く言う。

「人間じゃない」

 一瞬、空気が止まる。


 サイモンが小さく笑う。

「いやいや、さすがに――」


 レオは首を振る。

「筋肉の硬さじゃない。構造が違う」


 ダイヤが静かに言う。

「……アンドロイド?」


 レオは続ける。

「あるいは、サイボーグ」


 サイモンが口を閉じる。

 軽い冗談の空気が、消える。


 ダイヤはもう一度、船内を見渡す。

「……納得」

 小さく呟いた。


「――了解、戻ってきて」

 女性の無線が終わる。


 しばらくの静寂。


 ほんの一瞬、張り詰めた空気が残る。


 そのとき――

 ハッチが開く。


 勢いよく入ってきた影。

 息を整えながら、その女性が言った。

「ただいま――って、何この空気」


 一瞬の間。


 そして――

 張り詰めていた緊張が、ふっと緩んだ。


―――――


 続きは、【第一章】 継がれる名、選ばれし者のEp18.☆月影の救難信号(後編)へ。


 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!


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零章はこれで完結です。


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