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★沈黙の数日と揺れる番人

一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿しました。


この章は【第零章】パート②です。前回、完結した時には作ってなかった物語です。


【第零章】の続きで、ダイヤたちのルミナス号が、ルビィたちのルミナール号に救助されるまでの空白の約2〜3ヶ月ほどの間のルミナス号のお話です。


配信。

平日は朝6時に1話配信します。

土日祝は夜20時に1話配信します。


「」人のセリフ


()心の声


『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。




※私の小説のルールです。




楽しんでもらえると嬉しいです。

 ルミナス号の中は、かすかに焦げた匂いが残っていた。

 ダイヤは機体の外装を見上げながら言う。

「……思ったより、ボロボロだね」


 サイモンが苦笑する。

「思ったより、で済ませていい状態かこれ」


 レオはパネルを操作しながら言う。

「動力系は生きてる。だが、航行は無理だ」


 ダイヤが振り返る。

「直せる?」

 短い沈黙。


 レオははっきり言う。

「無理だな」


 サイモンが頭をかく。

「即答かよ」


 レオは続ける。

「部品が足りない。最低限の復旧はできても、離脱は不可能だ」


 ダイヤは息を吐く。

「……そっか」


 だが、レオはすぐに付け加える。

「救難信号だけは出す」

 二人が顔を上げる。

 レオは淡々と言う。

「通信系統を切り離して再構築する。他のユニットから部品を抜く」


 サイモンが笑う。

「バラして直すってことか」


 レオは頷く。

「ああ。それなら可能だ」


 ダイヤが少しだけ笑う。

「さすが副長」


 そのとき、サイモンが窓の外を指さして叫ぶ。

「……あああ!!サンドランナーが粉々になってる!!」


 ダイヤが慌てて覗き込む。

「え、どこ――あ」


 少しの沈黙。

 かつてサンドランナーだった何かが、無残に散らばっていた。


 レオはモニターから目を離さず、淡々と言う。

「一発目が直撃したのは、あそこだ。格納庫ごと吹き飛んでる」


 サイモンが肩を落とす。

「マジかよ……結構気に入ってたんだけどな」


 ダイヤはしばらく見つめてから、小さく言う。

「……愛着、湧いてきてたのに」


 レオが一瞬だけ視線を外に向ける。

「まあ、いい働きはした」


 サイモンが苦笑する。

「最後は盾かよ」


 ダイヤがぽつりと呟く。

「……ありがとう、サンドランナー」


 ほんの少しだけ、静かな時間が流れた。


 その後、数日が経った。

 工具の音と、短い会話だけが続く時間。


 そして――

 レオが手を止める。

 レオは小さく言う。

「……繋がった」


 ダイヤが顔を上げる。

「ほんと!?」


 サイモンも身を乗り出す。

「マジか!」


 レオはスイッチに手をかける。

「出すぞ」


 ダイヤが頷く。

「うん」


 カチッ、と音がした。

 救難信号が、静かに宇宙へ放たれる。

 だが――

 外は、何も変わらない。


 白い怪物は、あの場所に“いる”だけだった。


 サイモンが窓の外を見ながら言う。

「……あいつ、ほんと動かねぇな」


 ダイヤは少し考えてから言う。

「興味ないのかもね、私たちに」


 レオが低く言う。

「俺たちがアイツの縄張りから外れたからだろう」


 サイモンが肩を回しながら言う。

「食料はあと半年分はあるけどな……ずーっとここってのもなぁ」


 ダイヤがぽつりと言う。

「……扉」

 二人が振り向く。

 ダイヤは続ける。

「あそこに人がいたなら、知的生命体がいる」


 サイモンが言う。

「交渉か?」


 ダイヤは頷く。

「うん。船、直してもらえるかも」


 レオはすぐに首を横に振る。

「甘いな」


 ダイヤがむっとする。

「なにが」


 レオは外を見たまま言う。

「あの怪物がいる限り、近づけない」


 サイモンが言う。

「確かに、あれは無理だな」


 レオは続ける。

「守っているのか、縄張りなのかは不明だが……侵入には確実に反応する」


 ダイヤは黙る。


 レオが結論を出す。

「コンタクト手段がない」

 静かな現実だった。


 さらに数日が過ぎた。

 変わらない景色。

 変わらない怪物。


 そのはずだった。

 サイモンがふと呟く。

「……なぁ」


 ダイヤが顔を上げる。

「どうしたの?」


 サイモンは窓の外を指さす。

「あの怪物の毛、もっと白くなかったか?」


 レオが一瞬だけ視線を向ける。

「光の角度だろ」


 サイモンは首をひねる。

「いや……なんか違うんだよな」


 ダイヤはじっと見つめる。

 そして、小さく言う。

「……違う」

 二人が振り向く。


 ダイヤははっきり言う。

「別の個体かも」


 サイモンが目を細める。

「分かるのか?」


 ダイヤは指をさす。

「耳の形。さっきのと違う」


 レオが黙る。


 ダイヤは続ける。

「私たちが寝てる間とか……入れ替わってる?」


 サイモンが苦笑する。

「番人は交代制かよ」


 レオが低く言う。

「……あり得るな」


 それから。

 三人も交代制で“扉”を見張ることになった。

 観測のため。

 そして――希望のため。

 怪物は、確かに変わる。

 色が、わずかに違う。

 だが、確証はない。


 ただ一つ、確かなことがあった。

 ダイヤが息を呑む。

「……いた」

 扉の前。

 一瞬だけ。

 人の影。


 サイモンが低く言う。

「やっぱりいるな」


 レオも小さく頷く。

「ああ」


 だが――

 それ以上、何も起きない。

 距離は遠く。

 手段はない。

 ただ、見えるだけ。


 ダイヤが呟く。

「……どうやって、話しかける?」


 誰も答えられなかった。


 そのとき。

 警告音が鳴る。

 レオが即座に振り向く。

「……レーダー?」


 サイモンがモニターを見る。

「反応……一つ」


 ダイヤが息を呑む。

「なに?」


 サイモンがゆっくり言う。

「……船だ」


 レオの目が鋭くなる。

「どこから来た」


 モニターに、光点が一つ。

 静かに――こちらへ近づいていた。


私からのお願い。

もしも、気にっていただけたら

★★★★★の評価と、ブックマークなどお願い致します。

感想などもお待ちしてます。


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