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★月の番人と最後の通信ログ

一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿しました。


この章は【第零章】パート②です。前回、完結した時には作ってなかった物語です。


【第零章】の続きで、ダイヤたちのルミナス号が、ルビィたちのルミナール号に救助されるまでの空白の約2〜3ヶ月ほどの間のルミナス号のお話です。


このEpisodeは、Ep.1の★最後の問い、とリンクしています。読み比べてもらえると嬉しいです。


配信。

平日は朝6時に1話配信します。

土日祝は夜20時に1話配信します。



「」人のセリフ


()心の声


『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。




※私の小説のルールです。




楽しんでもらえると嬉しいです。

 ルミナス号は推力を落とし、静かに自然衛星へと滑り込んでいく。

 視界いっぱいに広がるのは、灰色の大地と――

 白く、巨大で、もじゃもじゃした何か。


 ダイヤは操縦席から身を乗り出すように見つめた。

「……ねぇ」

 少し間を置いて、嬉しそうに言う。

「あの怪物、顔かわいくない?」


 サイモンが眉をひそめる。

「どこがだ」


 レオは淡々と観測データを確認している。

「感情の話は後だ。まずは距離と反応を――」


 ダイヤは笑いながら続ける。 「ほら、なんかこう……ぼーっとしてる感じ」


 サイモンが苦笑する。

「ただ動いてないだけだろ、それ」

 そのとき、スパコンが低く電子音を鳴らした。モニターに文字が出る。

《周辺環境解析――異常検出》


 異常検出で自動にリトス銀河中継地点への回線が開いた。

 それに気がついたダイヤが言う。

「……こちら、ルミナス号」

 ノイズ混じりの声が、リトス銀河中枢へ送られる。

「対象宙域、異常あり。予定通り、第三惑星の調査中に――」


 三人の視線が一斉にモニターへ向く。

《対象生物周辺にて、局所的な大気および重力の存在を確認》

 ダイヤが目を見開く。

「は?……待って」


 レオが即座にデータを展開する。

「数値、出すぞ」

《半径約一キロ圏内、地球基準に近い重力と大気を維持》

「なに?……待って数値が……」

「真空のはずなのに、センサーが大気を検知してる」


 サイモンが思わず声を上げる。 「いやいやいや、ここ宇宙だぞ?」


 ダイヤは食い入るように画面を見る。

「……なにこれ、ここ宇宙?」

「重力がある」


 レオが低く呟く。

「自然現象じゃないな」


 ダイヤが小さく笑う。

「見えない何かで包んでる?」


 サイモンが腕を組む。

「バリアみたいなもんか?」


 レオは首を振る。

「原理が違う。もっと……空間そのものをいじってる感じだ」


 ダイヤの目が輝く。

「なにそれ、めちゃくちゃ面白い」


 サイモンが呆れ気味に言う。 「まず危ないかどうか気にしろ」


 巨大な白い怪物は、こちらに気づいているはずなのに――

 まったく動かない。

 ただ、そこに“いる”。


 ダイヤが小さく言う。

「……もうちょい近づいてみよっか」


 レオは一瞬だけ考える。

「……慎重にだ」


 ルミナス号は推力をさらに絞り、ゆっくりと距離を詰めていく。


 サイモンが前方をじっと見つめる。

「……ん?」


 ダイヤが反応する。

「どうしたの?」


 サイモンは目を細めたまま言う。

「あいつの後ろ……なんかある」


 レオがズームをかける。

 映し出されたのは――

「ん?……扉か?」

 レオが思わず声を漏らす。


 白い怪物の背後。地面に半ば埋まるようにして、“明らかに人工物”が存在していた。


 ダイヤが興奮気味に言う。 「やっぱりこれ、何か守ってるんじゃない?」


 レオも視線を固定する。 「可能性はあるな」


 三人の意識が、一瞬で“扉”へと集中する。

 そのとき――

「――あ」

 ダイヤが小さく声を漏らした。

 白い怪物が、動いた。


 さっきまで微動だにしなかった巨体が――

 ゆっくりと、こちらへ向き直る。

 サイモンが叫ぶ。

「来るぞ!ダイヤ、下がれ」


 次の瞬間。

 白い塊が、一気に加速した。

「無理――」


 ――ドンッ!!

 衝撃がコックピットを貫いた。


 ルミナス号が大きく弾き飛ばされる。

 警告音が一斉に鳴り響く。


《機体損傷、左側外装に重大ダメージ》


 ダイヤが叫ぶ。

「ごめん!!扉見ててよそ見してた!!」


 サイモンが叫び返す。

「今それ言う!?」


 ダイヤはすでに操作に入っていた。

「出力上げて、船の体勢戻す!」

 激しく揺れる機体を、無理やり制御する。


 レオが必死にバランスを取る。 「くっ……!」


 ルミナス号は、なんとか体勢を立て直す。

 だが――

 レーダーが赤く染まる。


 サイモンは前方を指差す。

「――こっち見てる」 

「ここ、全部あいつの範囲だ」


 レオが低く続ける。

「テリトリーに入ったな」


 視界の中で、白い怪物が再びこちらを捉える。

 距離が、近い。

 圧倒的に、近い。


 ダイヤが息を呑む。

「……避けられる?」


 レオは一瞬の沈黙のあと、言った。

「無理だな」

 次の一撃まで――

 時間は、ほとんど残されていなかった。


 サイモンが後方を確認する。

「大きい……もう一回来るっ!」


 そのとき、扉に人影……。

 ダイヤが呟いた。

「あれ……人間?」


 ――バゴォンッ

 痛恨の一撃!!


 機体が軋み、視界が白く弾ける。ルミナス号は大きく弾き飛ばされる。


 レオが叫ぶ。

「姿勢――戻せ!」


 ダイヤが必死に操縦桿を握る。

「やってる!!」

 だが、反応が鈍い。

 機体はそのまま――

 クレーターの縁へ。


 ――ドォンッ!!

 鈍い衝撃とともに、ルミナス号は地表へ叩きつけられた。


 土煙が舞い上がり、機体はそのまま滑るようにして、クレーターの影へと沈む。


 やがて――

 静寂。

 警告音だけが、かすかに鳴り続けている。


 ダイヤが息を吐く。

「……生きてる?」


 サイモンが即答する。

「生きてる。たぶんな!」


 レオが短く言う。

「状況確認」


 ダイヤは自分の体を触って確かめる。

「頭、打ってない……手も動く……大丈夫」


 サイモンが腕を回す。

「骨は無事だな。ちょっと痛ぇけど」


 レオは操作パネルを見たまま言う。

「機体は……半壊だ。だが、致命傷じゃない」


 ダイヤが苦笑する。

「“致命傷じゃない半壊”ってなにそれ……」


 サイモンが小さく笑う。

「生きてりゃ勝ちだ」


 レオは短く頷く。

「ああ」


 そのとき。

 三人の視線が、ゆっくりと外へ向く。


 白い巨大な怪物。

 それは――

 何事もなかったかのように、ゆっくりと向きを変え。

 元いた位置へと戻っていく。


 サイモンが低く言う。

「……なんだあいつ」


 ダイヤは窓の外を見つめたまま呟く。

「……興味、ないのかもね」


 レオは静かに言う。

「縄張りから追い出しただけか」


 再び、静寂。

 巨大な白い存在は、もうこちらを見ることもない。

 ただ――そこに“いる”。


 ダイヤが小さく言う。

「……さっきの、見た?」


 サイモンが顔をしかめる。

「人影ってやつか?」


 レオはわずかに目を細める。

「……断定はできない」


 ダイヤは、もう一度だけ外を見る。

 クレーターの向こう。

 あの“扉”の方向を。

 今はもう、誰もいない。


「……でも」

 小さく、確かめるように。

「いたよね」


 誰も、否定しなかった。


私からのお願い。

もしも、気にっていただけたら

★★★★★の評価と、ブックマークなどお願い致します。

感想などもお待ちしてます。


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