☆見えているのは、過去
一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。
完結してる作品なので、完結は必ずします。
「」人のセリフ
()心の声
『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。
※私の小説のルールです。
楽しんでもらえると嬉しいです。
◆ヴェルデ共和国・ゲート前
最後の都市、リベルタ共和国の移住完了の連絡が入った。
残っているのは、ヴェルデ共和国のゲート前の市民 約八〇人。
移住は黙々と進む。
数分後。
ジュラシックアースに置いてきた左手首を経由し、アストラ本体へデータが送られてくる。
アストラが報告した。
『最終移住者八〇名、ジュラシックアースに到着を確認』
一瞬の静寂のあと、科学者たちの間から安堵の声が上がった。
アストラが続ける。
『惑星アークスの人間生命反応スキャン開始します』
数分後。
『人間生命反応、検出なし』
『惑星アークスの人類移住計画――完了』
一斉に歓声が上がった。
長い移住作戦が、ついに成功したのだ。
――しかし、その喜びは長く続かなかった。
惑星アークス上空。
恒星観測用ホログラムが、通常とは異なる光量を示していた。
恒星の観測データを映していたホログラムが、わずかに色を変えた。
アストラは、ほんの一瞬だけ処理を止め――
次の瞬間、静かに告げた。
『報告します。惑星アークスの恒星、爆発を確認』
その場の空気が、凍りつく。
「……は?」
最初に声を出したのはサイモンだった。
結依が思わず空を見上げる。
「いや、普通に光ってるけど? 何も変わってないよ?」
ダイヤ、ルビィ、フェザー、レオ、クラウド――
全員が同じように空を仰ぐ。
恒星は、いつもと変わらない。
丸く、安定して、静かに輝いている。
「爆発って……あの爆発?」
サイモンが手を大きく動かしながら言う。
「あの、ドカーンってやつ?」
「見た目は、確かに何も起きてないわね……光かっ」
フェザーがハッとする。
一拍。
レオが、静かに口を開いた。
「見えてるのは――おそらく約八分前の恒星だ」
「……あ、そっか」
結依の目が大きくなる。
アストラが即座に補足する。
『恒星から惑星アークスまでの光到達時間は、約八分二〇秒。現在、私たちが肉眼で観測している光は、爆発前の状態です』
「つまり……」
サイモンが呟く。
「もう、起きた後だ。“見えてないだけ”でな」
レオが低い声で静かに言った。
空は、まだ青い。恒星は、まだ丸い。
それが、逆に不気味だった。
ルビィが小さく息を呑む。
「……気づいた時には、手遅れってこと?」
アストラが答える。
『はい。爆発による余波は――あと、七分四〇秒後に到達します』
ホログラムに、新たな表示が重なった。
《恒星爆発波 到達予測》
《残り時間:〇七:三五》
数字が、一秒ずつ減っていく……。
「……なるほど。だから今、こんなに“静か”なのね」
フェザーが短く笑う。
ダイヤは、すでに前を向いていた。表情は引き締まり、迷いはない。
「避難計画、最終段階に移行。残ってる人、物資、全部洗い出して」
「あと、七分三〇秒」
ルビィが呟く。
「大丈夫。間に合わせる」
レオが言う。
「いや、短いって!」
サイモンが叫ぶ。
「文句言ってる暇ないでしょ!」 結依が即突っ込む。
アストラの声が、全体通信に切り替わる。
『全員に通達。惑星アークス恒星、爆発確認』
空は、まだ何も変わらない。
だが――
“終わり”は、もう確定していた。
カウントダウンは、止まらない。
アストラが淡々と続ける。
『恒星爆発により、光子・高エネルギー放射線が光速で惑星アークスに到達します』
ホログラムに、赤い円が広がる。
惑星へと迫る“見えない破壊の波”。
『到達予測まで――残り、七分〇九秒』
誰かが息をのむ音がした。
『防御不能。惑星表層、壊滅』
その場にいた全員が、同じ結論に辿り着く。
逃げるしかない。
「残っている科学者チーム、技術者、優先退避!」
レオが叫ぶ。
「名残惜しむ時間はない! 行け!」
フェザーが声を張る。
ゲート前では、霧状の保護膜がすでに展開されていた。
白い靄が、ゆっくりと入口に満ちていく。
アストラが補足する。
『ゲート通過後、保護膜は自動解除。再付与は不可。この恒星は、もう守るための光を持ちません』
その意味を、全員が理解していた。
科学者たちが次々とゲートへ向かう。
「機材データは!?」
「いい、命が先だ!」
「必ず続きはある!」
不安と覚悟が入り混じった声が飛び交う。
フェザーは最後尾に立ち、人数を数える。
「二七、二八……三〇。よし、全員通過!」
「行くよぉ〜! 次、俺たちだぁ〜!」
クラウドが振り返り叫ぶ。
フェザーは一瞬、アークスの空を見上げた。
異様なほど、静かだった。
「……後は頼んだ」
「向こうで待ってるよぉ〜」
そう言い残し、フェザーとクラウドはゲートをくぐる。
――そして、その直後。
残された者たちに、さらに過酷な選択が突きつけられる。
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