☆順調という名の前兆
一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。
完結してる作品なので、完結は必ずします。
「」人のセリフ
()心の声
『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。
※私の小説のルールです。
楽しんでもらえると嬉しいです。
――固定式ワープゲートと、量産型あちこちドア。二つの技術が本格稼働してから、およそ三ヶ月。
惑星アークスの市民たちは、想像以上の秩序を保ったまま、次々とワープドアを通り、ジュラシックアースへと移動していった。
あちこちドアは作られ、設置され、また次の場所へ。まるで雪だるまが転がるように、その数は指数関数的に増えていく。
結果として、あちこちドア数は、四七〇〇組(計九四〇〇枚)
約二一億人規模の惑星間移住は、当初の想定を大きく上回る速度で進行した。
一方、ジュラシックアース側は混乱の真っただ中だった……
簡易住居、仮設都市、エネルギー供給網、医療区画―― すべてが“引っ越し”と並行して整えられていく。
バルンが疲れた声で言った。 「フェザーさんに言われ、こっち残ったけど…」
アンが続く。
「忙しすぎるだすな…」
ゼンもぼやく。
「不眠不休っす、眠いっす」
完成を待ってから迎え入れるのではない。人が来る前提で作り、作りながら迎え入れる。
現場は常に人手不足で、叫び声と指示が飛び交い、それでも誰一人として足を止めなかった。
それは逃避ではなく、未来へ踏み出すための移動だったからだ。
アンデルが声を張る。
「簡易住居の建築手伝うぞ」
グリムが指示を飛ばす。
「エネルギー供給網でエラーだ、誰かバルンさんを呼んでこい」
シロッコが力を込める。
「…………重いなっ」
カイトが静かに言った。
「私が超能力で動かします」
その横に、エアロが寄り添っていた。
ガストが笑いながら言う。
「相変わらず、カイトは孫と仲いいな〜」
エアロが微笑む。
「私はバッテリーですから」
◆惑星アークス側
静かに忍び寄る異変を感知し、アストラは太陽観測データを解析し続けていた。
アストラが報告する。
『報告します。恒星内部において、エネルギーが急速に中心部へ集束し始めています』
ダイヤたちに、静けさが落ちる。
アストラが続ける。
『このまま集束が続いた場合、臨界点を超え――爆発に至る可能性があります』
一瞬、息を呑む音。
アストラが補足する。
『現在、エネルギーが中心に集中している影響で、惑星への電力供給、電波障害は解消されています。通信、インフラは正常です』
ルビィが眉をひそめた。
「……それって、良いことに聞こえるけど」
アストラが答える。
『はい。しかし――これは爆発前の前兆と推測されます』
ルビィは小さく息を吐き、ぽつりと言った。
「……嵐の前の、静けさってやつだね」
アストラが即座に応じる。
『地球由来のことわざですね。意味:一時的な安定状態が、より大きな変化の直前に訪れる現象』
ルビィが頷く。
「うん。今、まさにそれ」
アストラが続ける。
『補足します。当初予測では、この恒星の異常進行は最短でも五年とされていました』
アストラの視線が、次のデータへ移る。
『しかし、現在の進行速度は想定値を大きく上回っています』
沈黙。
その空気を破ったのは、フェザーだった。
「……つまり、“まだ先”って言葉が、もう使えないってこと?」
ダイヤは静かに頷く。
「うん。時間は、私たちの想定よりずっと前倒しで動いてる」
フェザーが問いかける。
「引っ越し、間に合う?」
ダイヤは一瞬だけ目を伏せ、 それから、前を見据えた。
「間に合わせる。間に合わせるしか、ないでしょ」
フェザーは小さく笑った。
「だよね。あんたが“無理かも”って言うわけない」
ダイヤが答える。
「無理かどうかは、やってから決める」
ルビィは、空を見上げた。
眩い恒星が、何事もないように輝いている。その“当たり前”が、どれほど脆いかを知っているからこそ――
「……お願い」
小さく、呟く。
(惑星移住が終わるまで。 どうか――爆発しないで)
静かで、忙しく、どこか不気味なほど順調な引っ越し。
誰もが感じていた。
この静けさは、 終わりではなく、何かの始まりの直前だと。
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