☆境界に立つ者たち
◆ジュラシックアース側/出口ワープゲート前
巨大な城門のようなワープゲートの前。金属のような骨組みで地面に固定されている。
シロッコとグリムが左右に展開し、最終確認を終えたところだった。
シロッコが報告する。
「……ワープゲート設置完了」
グリムが続ける。
「ゲート周辺、異常なし。いつでも開けられます」
その報告を受け、アストラが返答する。
『了解。各員、持ち場を維持。歴史的瞬間です』
その言い方がやけに堅いので、ガストが即座にイジる。
「おお、急に真面目モード。レアだぞ、今の」
アンデルが両手を振り上げる。
「歴史的瞬間だァァ!!」
結依が即座にツッコむ。
「声で歴史壊さないで!」
アンデルが興奮したまま続ける。
「話には聞いてたけど、ワープ空間って、やっぱヤバいんだろ?実際どうなるんだ?」
アストラが淡々と答える。
『初期テストでは、ゲートを通過した物体が二つに分裂したり、大きさが変化したり、爆発した記録があります』
シロッコがわずかに言葉を詰まらせる。
「…………ば、爆発?」
ガストが顔をしかめる。
「二つって……人間だったらどうなるんだよ。二人に増えるのか?それとも半分か?」
アストラが即答する。
『記録上、人間での実験は行っていません』
ガストがすぐに突っ込む。
「そこをさらっと流すな!」
アストラは変わらず続ける。
『その後、空間安定率は大幅に向上しました。現在は保護膜を展開することで、危険性は“かなり低い”と判断されています』
アンデルが眉をひそめる。
「“かなり”って言葉が一番信用できねぇんだけどな」
アストラが補足する。
『統計上の表現です』
アンデルが即座に返す。
「そうじゃねぇ」
バルンが補足する。
「理論上は、誤差は収束してる。問題はゼロじゃないが、制御はできている範囲だ」
ガストが即ツッコむ。
「だからその“ゼロじゃない”が怖いんだよ!」
アストラはさらに続ける。
『同一惑星内での動物によるワープテストは成功しています。ただし――別惑星間でのテストは未実施です』
ガストが一瞬固まる。
「未実施……?」
アストラが淡々と答える。
『はい。今回が初の試みになります』
ガストがすぐに手を上げる。
「じゃあ俺、留守番でいい?」
アストラが即答する。
『任務参加率:必須です』
ガストが天井を見上げる。
「ちくしょう、アンドロイドに拒否権奪われた」
ルビィはゲートを見上げ、静かに息を整える。
「大丈夫。成功するよ」
一拍おいて、柔らかく続けた。
「本当に、繋がるんだね。惑星アークスとここが」
クラウドが軽い調子で口を挟む。
「理論上は完璧ぃ〜。理論上はねぇ〜」
結依が即座にツッコむ。
「そこ強調しなくていいから!」
ゼンが自信ありげに言う。
「計算はばっちりっす」
アンが少しだけ濁す。
「たぶん……だすな」
結依がすかさず突っ込む。
「そこも濁さないで!」
エアロが小さく呟く。
「……これ、本当に通れるんだよね」
カイトが静かに答える。
「通れるように作ったんだ。信じろ」
エアロが少しだけ笑う。
「おじいちゃんが言うと、ちょっと安心する」
ガストがゲートを見ながら言う。
「なぁ、もしさ」
アンデルが反応する。
「なんだよ」
ガストが真顔で言う。
「いきなり恐竜出てきたらどうする?」
全員が一瞬固まる。
結依が即答する。
「それは撃退」
少し笑いが広がる。
アストラが静かに告げる。
『惑星アークス側、準備完了の信号待ちです』
ルビィが静かに言う。
「……来たら、絶対に受け止める」
結依が頷く。
「うん。何があってもね」
エアロがぽつりと呟く。
「……向こうにも、同じ空気が流れてるのかな」
その言葉と同時に、空気がわずかに張り詰めた。




