☆ミッション達成と副作用
一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。
完結してる作品なので、完結は必ずします。
「」人のセリフ
()心の声
『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。
※私の小説のルールです。
楽しんでもらえると嬉しいです。
明るすぎる空の下。
恐竜の気配は遠のいていた。
アストラが淡々と報告する。
『ミッション進捗:陸地確保率五〇%。――ルミナール号の任務条件、達成』
一瞬の静寂。
結依が軽く振り返る。
「終わった?」
ルビィが小さく息を吐く。
「終わった、って言っていいね」
アンデルが両手を突き上げて叫ぶ。
「よっしゃぁぁぁ!!ミッション成功だ!!」
その声に、あちこちから安堵の息が漏れる。
ガストが大きく伸びをする。
「いやー、生きてるって最高っすね。地面が揺れてないのがこんなに幸せだとは」
グリムも静かに頷く。
「同感だ」
その横で、シロッコが急に早口で話し始める。
「しかし、今回の布陣は理想的でしたね。前線と後衛の距離感、火力配分、誰が見ても――」
ガストが慌てて止める。
「ちょ、ちょっと待て」
結依が目を細める。
「……シロッコ?」
ガストが怪訝そうに覗き込む。
「急にどうした?さっきまで寡黙キャラだったよな?」
アンデルが指をさす。
「誰だお前!!」
シロッコが戸惑う。
「え?あ、いえ、任務が終わると、こう、緊張が抜けるというか――」
グリムがぽつりと言う。
「……素が出たな」
ルビィがくすっと笑う。
「ふふ、意外とおしゃべりなのね」
シロッコは照れたように咳払いをした。
そのとき、結依がじっと見る。
「……ガスト?」
ガストが振り向く。
「はい?」
結依が首をかしげる。
「……あんた、顔どうした?」
ガストがきょとんとする。
「え?」
ルビィも近づいて覗き込む。
「……あれ?ガスト、ヒゲなくない?」
ガストが固まる。
「は?」
慌てて頬を触る。
「……ない!!俺の立派なヒゲが!!」
アンデルが笑う。
「剃ったのか!?似合ってるぞ!!」
ガストが即座に否定する。
「剃ってねぇよ!!昨日まで確実にあったんだよ!!」
結依が冷静に言う。
「じゃあ、自然に?」
ガストが不安そうに呟く。
「……抜け落ちた?」
一瞬、沈黙。
グリムが結論を出す。
「薬の副作用、だな」
バルンが戸惑う。
「ひ、ひげが自然脱落……?」
ルビィが眉をひそめる。
「それ、人体的にセーフなの?」
ガストが叫ぶ。
「俺が一番聞きたい!!」
そこで、グリムが静かに口を開く。
「――実は、俺も」
そう言って、グローブを外す。
次の瞬間――
ルビィが目を見開く。
「……え?」
結依が身を乗り出す。
「……光ってる?」
グリムの爪が、淡く光を反射していた。
アンデルが叫ぶ。
「宝石か!?」
ガストがツッコむ。
「ちょっと待て、なんでそんなファンタジー副作用なんだよ!!俺はヒゲ消失だぞ!?」
グリムが指先を見つめる。
「触感は、特に変わらない……ただ、光る」
シロッコが真面目に言う。
「夜間作業に便利そうですね」
ガストが即ツッコミを入れる。
「フォローになってねぇ!」
自然と視線がルビィに集まる。
ルビィが戸惑う。
「……なに?」
アンデルが聞く。
「あなたは?」
ルビィは小さく首を振る。
「……まだ、何も」
ルビィは無意識に自分の手を見る。
「……それが、逆に不安なんだけど」
バルンが冷静に補足する。
「副作用が“遅れて出る”可能性もありますからね」
ガストが顔を引きつらせる。
「やめろ!!その言い方一番怖ぇ!!」
アンデルが騒ぐ。
「次は何だ!?角が生えるのか!?」
ルビィが即答する。
「それだけはやめてください」
アストラが一歩前に出る。
『補足情報。薬の副作用は個体差が大きい。予測不能』
ガストが叫ぶ。
「一番言っちゃダメなやつ!!」
その一言で、場に笑いが広がる。
結依が小さく息を吐く。
「でも、全員動けてる。それでいい」
ルビィも頷く。
「うん。ミッション、ちゃんと成功したしね」
もう恐竜の咆哮は聞こえない。
確かに、“終わった”空気があった。
ガストが不安げに呟く。
「なぁ、ヒゲ……そのうち戻るよな?」
グリムが淡々と返す。
「……戻らなかったら、俺の爪で慰めてやる」
ガストが即座に返す。
「慰めにならねぇよ!!」
笑い声が、静かな大地に広がっていく。
――ただ一人、ルビィだけが。
まだ出ていない“自分の副作用”を、少しだけ気にしていた。
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