☆規格外、来襲
砂煙の荒野で、小型恐竜の群れが逃げ惑う中、超巨大恐竜の巨体が、空そのものを塞ぐように視界を覆った。
地面を踏み鳴らし、その振動がルミナール号まで伝わる。
尾を振るたび砂煙が舞い、小型恐竜たちは逃げ惑う。
結依が指示を出す。
「全員、配置につけ!超大型だ、油断するな!」
しかし、クルーたちの動きが追いつかない。
恐竜の圧力は圧倒的で、誘導作戦だけでは制御しきれず、群れの一部が前線に押し寄せてくる。
超巨大恐竜に気がついたカイトとエアロが前に出る。
エアロは肩を貸しながら、カイトを支える形で立つ。
エアロが不安げに言う。
「みんなが危ない……」
カイトが静かに答える。
「大丈夫、任せろ」
二人の意志が重なり、空間が歪む。
見えない衝撃が放たれる――
だが、超巨大恐竜の巨体にはほんのわずかの影響しか与えられない。
カイトが低く呟く。
「……大きすぎる」
尾を振り、牙をむき出しにして襲いかかる超巨大恐竜。
圧倒的な力で、誘導作戦で築いた前線が一気に崩される。
小型・中型恐竜も巻き込まれ、ルミナール号の周囲は混乱の渦に包まれた。
踏み鳴らすたび、船内に衝撃が走る。
その音に反応し、ルビィが目を覚ます。
「……何ごと!?」
目をこすり仮眠室を飛び出すと、アストラの左手首がルビィの腕に絡みつく。
ルビィが振り払うように言う。
「アストラ、後にして!」
そして、アストラには目もくれず、ルビィは外に飛び出した。
船内に残ったアストラの左手首は、ホログラムで文字を出していた。
《ダイヤからの連絡》
ホログラムの文字が静かに点滅していた……。
ルビィがハッチから出て、視界に映ったのは、一匹の超巨大恐竜が群れごと前線を押し潰す光景だった。
ルミナール号の外壁がきしみ、クルーたちは散開して耐える。
結依が低く呟く。
「ヤバイ…この一匹で、壊滅寸前だ」
カイトとエアロは必死に力を振るうが、超巨大恐竜を吹き飛ばすまでには至らない……。
荒野には砂煙と恐竜の咆哮、そして二人の超能力が放つかすかな衝撃波だけが、戦場の不安定な空気を震わせていた。
ルビィはカイトとエアロのもとへ駆け寄った。
二人の息があがっていた。
ルビィが声をかける。
「二人とも、少し休んで…ここは私たちで何とかする!」
慌てふためくクルーたちの声が飛び交う。
アンデルが大声で指示を叫び、
ガストは無鉄砲に突っ込み、
グリムは冷静に構え、
シロッコは恐竜の動きを確認しつつ距離を保つ。
ルビィは無線を取り、結依に状況を確認する。
「結依、副長!状況は?!」
結依の声が返る。
『前線が押されてます!超巨大恐竜が、もう…!』
その声には、わずかな諦めが混じっていた。
ルビィは即決した。
「クルー全員に命令します。被害を最小にするため、一度撤退しなさい。安全な場所で態勢を立て直します」
結依たちは息を呑むが、仕方なく撤退の指示を受け入れる。
視界の端で、恐竜の咆哮が大地を震わせる。
前線は崩れ、絶望感が戦場を包む。
――そのときだった。
空に銀色の影が現れた。
それは、ノヴァ中型戦艦。
ジュラシックアースの戦場に、突如姿を現す。
戦艦から人影が飛び出した。それは、飛行用装備とバトルスーツを纏った二〇〇人の精鋭軍人たちだった。
武器を構え、超巨大恐竜に向かって突進する。軍人たちの一斉攻撃で、超巨大恐竜は初めて後退し、力を削がれていく。
地面を蹴る足も、咆哮も次第に鈍る。
その隙に、再度カイトが前に出た。
エアロが肩を貸し、支えながら力を集中させる。
カイトが叫ぶ。
「いけーーー!!」
エアロが歯を食いしばる。
「うぅぅっ」
空気が裂けるような振動、見えない衝撃が超巨大恐竜の腹部に直撃。
轟音と共に、巨体が宙を舞い、地面に転がった。
戦場に、堰を切ったような歓声が湧いた。
ついに超巨大恐竜は押され、後退していく。前線の恐竜たちも、混乱の中で散開。
ジュラシックアースの荒野には、一瞬の静寂が戻った。
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