☆ざわめきの先に
一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。
完結してる作品なので、完結は必ずします。
「」人のセリフ
()心の声
『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。
※私の小説のルールです。
楽しんでもらえると嬉しいです。
砂煙が、乾いた風に押し流されていく。
荒野の中央。 ルミナールクルーたちは、半円を描くように展開していた。
「右列を少し広げろ、ガスト!詰まりすぎてる!」
結依の声が飛ぶ。
「了解っ!でもさ結依さん、これ“広げろ”って言うより“押し出せ”じゃね?」
ガストは軽口を叩きながらも、手元の散布装置を振り、忌避剤を広範囲にばら撒いていく。
その刺激臭に、小型恐竜たちが一斉に顔をしかめるように動きを乱した。
「文句言ってる暇あるなら手ぇ動かせ!」
結依が即座に返す。
「はいはい副長殿~」
軽い返事とは裏腹に、ガストの動きは正確だった。
アンデルが反対側から声を張る。 「忌避剤、右ライン完了! 次、左に回る!」
岩場を蹴り、素早く位置を変える。その足取りは重装備とは思えないほど軽い。
「頼む! あっち詰まり始めてる!」
結依の視線の先では、小型恐竜の群れが密集し始めていた。
その瞬間――
バンッ!!
乾いた音と共に、一体の小型恐竜が後退する。
グリムだった。
しなやかな動きで間合いに入り、無駄のない回し蹴りで進路をずらす。
「はいはい、交通整理なら任せな」
軽く肩を回しながら、次の個体へと視線を移す。
アンデルは少し離れた位置で腕を組み、全体を見ていた。
「右から圧がかかり始めてる。あと三十秒で崩れるぞ」
淡々とした声。
「早く言えよ!」
ガストが叫ぶ。
「今言った」
アンデルは表情を変えない。
「雑っ!」
結依が思わずツッコむ。
だが、そのツッコミの裏で、全員の動きは確実に連動していた。
忌避剤。 光。 音。
それらを組み合わせ、小型恐竜たちの進路を少しずつ変えていく。
完全に止めることはできない。 だが、“流れ”は作れる。
「よし……いい感じ」
結依が小さく呟く。
群れの先頭が、徐々に右へ流れ始める。
「このまま押せば、前線の圧力は分散できる…!」
結依のその声に、わずかな安堵が混じる。
ガストがニヤッと笑う。
「やればできるじゃん、俺たち」
アンデルも息を整えながら頷く。
「このままいける――」
そのときだった。
――ざわり。
群れの空気が、変わった。
小型恐竜たちが、突然落ち着きを失う。
互いにぶつかり合い、進路を乱し、無秩序に走り回り始める。
「…………なんだ?」
シロッコの眉がわずかに動く。
アンデルが叫ぶ。
「急に反応がおかしい!忌避剤効いてない!」
「違う!」
結依が即座に否定する。
「“逃げてる”」
一拍。
全員が、その言葉の意味を理解する。
逃げている。
――何から?
次の瞬間。
ドン……。
低く、鈍い振動。
足裏から、骨へと伝わる。
ガストが顔をしかめる。
「……今の、なんだ?」
ドン……ドン……。
間隔のある重い衝撃。
地面が、わずかに波打つ。
砂煙の奥で、影が動く。
シロッコの視線が鋭くなる。 「……何か……来るぞ」
結依が息を呑む。
「嘘でしょ……」
小型恐竜たちが、一斉に道を開ける。
まるで、本能的に“それ”を避けるように。
そして――
現れた。
砂煙を押しのけるように。
想像を絶する、巨体。
――超巨大恐竜。
まるで、山が歩いているかのようだった。
厚く重なった鱗が、太陽光を鈍く反射する。
一歩踏み出すたび、大地が沈み込む。
尾がわずかに揺れるだけで、周囲の砂が巻き上がる。
誰も、動けない。
ガストの口が開いたまま止まる。
「……いや、デカすぎだろ……」
アンデルが息を忘れる。
「大型……どころじゃない……」
シロッコが低く呟く。
「…………規格外だな」
結依の声が、わずかに震える。
「ち…ちょっ…とぉ、大きすぎっ……冗談でしょ……?」
だが、その目は逸らさない。
前を見る。
副長として。
そのとき、ふと後方に意識が向く。
ルミナール号。
そして――
ルビィは、まだ眠っている。
カイトとエアロが、外で見張りに立っているはずだ。
「……最悪」
結依が小さく呟く。
戦力が足りない。
圧倒的に。
超巨大恐竜が、ゆっくりと頭を持ち上げる。
その視線が、こちらを捉える。
空気が、凍る。
次の瞬間。
低い咆哮が、大地を震わせた。
ビリビリと空気が震動する。
耳鳴りが残る。
小型恐竜たちは、完全に統制を失い、四方へと逃げ散った。
――もう、“誘導”どころではない。
結依が歯を食いしばる。
「全員、戦闘態勢!」
その声で、全員が我に返る。
だが。
分かっている。
今までの相手とは、次元が違う。
荒野は、一瞬の静寂に包まれた。
次の一歩が踏み出される、その直前。張り詰めた空気だけが、灼けつく太陽の下で震えていた。
――来る!
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