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☆マッドサイエンティスト・フェザー

一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。

完結してる作品なので、完結は必ずします。


「」人のセリフ

()心の声

『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。


※私の小説のルールです。


楽しんでもらえると嬉しいです。


◆ルミナール号・ブリーフィングルーム

 能力者の話が一段落し、空気が少し重くなっていた。


 そのとき、ルビィが一歩前に出た。

「ひとつ、私からも謝罪があります」

 場の空気がわずかに引き締まる。


 アンデルが身を引き気味に反応する。

「え、まだ重い話続く!?」


 ガストが肩を回しながらぼやく。

「ちょっと水飲ませて?」


 ルビィははっきりとした口調で続けた。

「私が強くなった件です」

「あれはフェザーさんが調合した薬を服用して……」

 全員がぴくりと反応する。


 結依が首をかしげる。

「薬?」


 ルビィは頷く。

「はい。出航前、私だけが事前にフェザーさんから受け取っていました」


 グリムが目を見開く。

「……え?」


 ルビィは淡々と告げた。

「結果的に、私の身体能力が、急激に上昇しました」


 アンデルが身を乗り出す。

「急激どころじゃねぇよ!!さっき完全に別キャラだったぞ!!」


 ルビィは一歩下がり、頭を下げる。

「それを……黙っていて、申し訳ありませんでした」


 バルンが戸惑う。

「え、いや……」


 シロッコが穏やかに言う。

「…………そこまで謝らなくても」


 ルビィは顔を上げ、真剣に言い切る。

「いえ。戦闘に影響する情報を共有しなかったのは、私の判断ミスです」

「本当に、申し訳ありません」


 数秒、沈黙。


 ガストが首をかしげる。

「……で?」

 ルビィが瞬きをする。

「……?」


 ガストが真顔で続けた。

「次はいつ飲むの?」

 ルビィがわずかに戸惑う。

「え?」


 ガストが身を乗り出す。

「いやいやいや!俺も飲めるやつ!? あれ!?」


 結依が現実的に確認する。

「ちょっと待って、量産できるの?」


 ルビィは苦笑する。

「……そちらの話ではなく」


 アンデルが勢いよく割り込む。

「いや重要だろ!さっきのルビィ、ほぼ最終形態だったぞ!」


 グリムがおずおずと口を開く。

「わ、私……一瞬、敵かと思って……」


 ルビィが小さく否定する。

「それはさすがに言い過ぎです」


 バルンが腕を組んで頷く。

「でも、正直……。“あ、これがフェザーさんの薬か”ってマッドサイエンティスト」


 ルビィがじっと見る。

「どういう意味ですか」


 バルンが苦笑する。

「だって、説明なしで使わせるの、あの人らしいというか……」


 カイトも頷く。

「ええ。昔からフェザーさんは知っていますが、“あとで気づくだろう”というタイプですからね」


 ルビィが小さく息をつく。

「否定できません」

 アンデルが腕を広げる。

「つまり?」

 ガストがまとめる。

「ルビィが黙ってたんじゃなくて、フェザーさんに黙らされたんだな」


 ルビィは静かに首を振る。

「半分は、私の判断です」

 結依が聞き返す。

「半分?」


 ルビィは少しだけ目を逸らす。

「効果が……想定以上だったので」


 アンデルが指をさす。

「ほら出た!“様子見で使ったら世界変わった”やつ!」


 シロッコが小さく笑う。

「で、でも…………強くて、……かっこよかったです」

 ルビィがわずかに柔らぐ。

「……ありがとう」


 ガストがにやりとする。

「はい出た、照れ顔」

 ルビィが即答する。

「照れていません」


 アンデルがツッコむ。

「いや今、〇・五秒だけ口角上がった!」

 結依が面白そうに言う。

「証拠映像、あとで確認するから」

 ルビィが即座に返す。

「それはやめてください」


 グリムが微笑む。

「ふふ……でも、無事で何よりです」


 バルンも頷く。

「次はちゃんと教えてくださいね」


 ルビィは素直に答える。

「はい。次からは必ず共有します」


 アンデルが拳を握る。

「よし!じゃあ次は“強化ルビィ仕様書”作ろうぜ!」

 ルビィが即座に否定する。

「それは必要ありません!」

 小さく笑いが起きる。


 その空気が落ち着いたところで、ルビィが続けた。

「……それと、もう一点」

 全員がわずかに身構える。


 アンデルが顔をしかめる。

「はい来た!“もう一点”は大体ロクでもない!」


 ルビィは淡々と言う。

「薬は、あと二錠残っています」

 ガストが聞き返す。

「二錠?」


 バルンが冷静に問う。

「副作用のデータは?」

 ルビィは首を振る。

「まだ、確認できていません」

 空気が一瞬冷える。

 シロッコが声を漏らす。

「…………え?」


 ルビィが続ける。

「ただし――」

 ルビィはテーブルの金属カップに手を伸ばす。

 ――バキッ

 カップがひしゃげた。

 ルビィが固まる。

「……っ」

「すみません!!」

 慌てて戻す。

 ――ゴキッ

 机が粉砕した。


 アンデルが叫ぶ。

「ちょ、今の見た!?」

 ガストが後ずさる。

「それカップじゃなくてアルミ缶みたいに潰れたぞ!」

 結依が冷静に言う。

「……まだ継続中なのね」


 ルビィが観察するように答える。

「はい。どうやら…私の“超身体能力解放”は、まだ継続中のようです」


 グリムが整理する。

「つまり……」

 ルビィが結論を告げる。

「“いつ元に戻るかは、分かりません”」

 シロッコが震える。

「…………ひぃ」


 アンデルが混乱する。

「え、待って!?じゃあさっきの戦闘、まだ“途中形態”だったってこと!?」


 ガストが顔を引きつらせる。

「今がこれなら、完全形態どうなるんだよ……」


 結依がぽつりと言う。

「下手に肩叩いたら骨折れるね」


 ルビィが否定しかける。

「それはさすがに――」

 無意識に椅子を掴む。

 ――ミシッ


 ルビィが止まる。

「……」


 全員が固まる。

「…………」


 ルビィが小さく言う。

「……何も触らないでいます」


 アンデルが即座に返す。

「いやもう動かないで!!存在が凶器!!」


 カイトが苦笑する。

「フェザーさん…やっぱり、説明不足ですね…」


 バルンが頷く。

「でも……“効くかどうか分からないより、効き過ぎてしまう”のは、あの人らしいですね」


 ガストがまとめる。

「とりあえずさ」

「今のルビィ、“優しく触る”の練習から始めようぜ」


 ルビィが小さく息をつく。

「……善処します」

 その表情に、ほんのわずかな苦笑が浮かんだ。

 船内が、柔らかな笑いに包まれた。


 ――そのとき。

 アストラの手首がホログラムで文字を流す。それはフェザーからの追伸。内容は短く、しかし重かった。


《超身体能力解放薬》

《効果持続時間、最低六四時間。途中解除不可。個人差あり。副作用未確定》


 ルビィは、それを読んだあと、頭を抱えた。

「……六四時間……」


 結依が、静かに首を振った。

「……私は飲まない」

「でも、この力を後方で眠らせておく余裕はない」

 周囲の視線が集まる。

「六四時間、不眠不休で働くなんてごめんだし」


 一拍置いて。

 結依はルビィを見る。

「それに、もう強くなってるルビィが前線に立つ事になるなら、指揮を取るのは副長の私の役目でしょ」

 淡々とした口調だったが、薬の服用から避けたいのは誰の目にも明らかだった。


 アンデルがあっさりと切り出す。

「じゃあ、あと二錠は誰にする?」


 アンデルが即座に視線を向ける。

「さっきガストが飲みたいって言ってました」


 ガストが固まる。

「え?えぇ?えぇぇえ?」


 結依が迷いなく頷く。

「じゃあ、ガストは決まり。もう一人は……グリムが適任。脚技華麗だし、戦闘向き」

 結依はどこかほっとしたように付け加えた。

「副長命令です」


 グリムが少し戸惑いながらも頷く。

「あ、はい……」


 その後、グリムとガストも薬を飲んだ。

 グリムは静かに息を整える。

 ガストは震えながらも、無理に笑みを作る。

「……やるしかないっすよね」


 こうして――

 三人の“超人”が前線に立った。

 グリム、ガスト、そしてルビィ。


 そして――

 二人の“超能力者”。

 カイトとエアロ。

 二人は超能力の練習をし、“超人”三人に一日遅れて前線に加わった。


 超身体能力解放と超能力ペア。

 二つの異質な力が噛み合い、戦場は一変する。


 恐竜は殺さない。

 ただ、押し返す。

 吹き飛ばし、絡め取り、進路を変え、縄張りをずらす。


 人が踏み込める地面だけを、少しずつ、確実に増やしていく。

 そして、陣地は広がった。

 血ではなく、消耗と知恵によって。


 それでも――

 このやり方が、永遠に続くはずがないことを、ルビィは誰よりも分かっていた。

 しかし、六四時間は、あまりにも長い……。


私からのお願い。

もしも気にいってもらえたら、★★★★★の評価とブックマークお願い致しますm(_ _)m

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