☆フェザーの薬
一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。
完結してる作品なので、完結は必ずします。
「」人のセリフ
()心の声
『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。
※私の小説のルールです。
楽しんでもらえると嬉しいです。
珍しく、恐竜は四時間襲ってこなかった。
ルミナールのクルーは久しぶりに仮眠を取り、装備を整え、次の戦いに備える。
しかし――突然に。
いつもとは違う重く低い足音が、大地を打った。
振動が靴底から骨へと伝わる。
アンデルが叫ぶ。
「大型恐竜の群れ……その数、およそ一二……いや、一五だ!」
視界いっぱいに広がる巨影。
地面が波打ち、空気が唸る。
肺の奥まで震えた。
「来るぞ!」
結依の声と同時に、注射ライフルが一斉に火を噴く。
だが――
分厚い皮膚が、薬剤を弾いた。
一発、また一発。
確かに動きは鈍る。
だが、倒れない。
やがて弾は尽きた。
地面に伏した恐竜は九匹。
しかし――
まだ六匹が立っていた。
沈黙。
弾薬も、体力も、限界に近い。
大型恐竜たちが、距離を詰める。
ルビィは無意識に胸元を押さえた。
そこにある、小さなケース。
(このままじゃ、削られて死ぬ)
歯を食いしばる。
(皆の命は……私が預かってる)
迷いはなかった。
ケースを開け、一錠を取り出す。
そして――飲み込んだ。
瞬間。
身体の奥で何かが弾けた。
視界が研ぎ澄まされる。
空気の揺れ、地面の振動、恐竜の筋肉の動き――すべてが“遅く”見える。
(いける)
ルビィは地面を蹴った。
――消えたように見えた。
一匹目。
正面から突進してきた巨体。 本来なら避けるしかない質量。
だがルビィは、踏み込む。
低く潜り込み、前脚の付け根へ拳を叩き込む。
衝撃が骨を伝い、巨体がわずかに後退する。
「――下がって!」
もう一撃。
今度は肩口。回転を乗せた蹴りが、巨体のバランスを完全に崩す。
恐竜は踏ん張れず、数歩後退し――進行方向を変えた。
――一匹目、離脱。
間髪入れず、二匹目。
横から噛みつこうとした顎が迫る。
ルビィは一歩で懐に入り込む。
顎の内側に手をかけ、そのまま体重と勢いを乗せて――押し上げた。
軋む音。
巨体が少し持ち上がる。
「っ……!」
そのまま、捻る。
首が逸れ、視線が外れる。恐竜は体勢を維持できず、大きく後退した。
地面を削りながら距離を取る。
――二匹目、後退。
そして、三匹目。
真正面からの踏み込み。
ルビィはまたしても真正面から迎え撃つ。
拳ではなく――蹴り。
踏み込み、跳躍、回転。
全体重を乗せた一撃が、顔面に叩き込まれる。
鈍い衝撃音。
巨体が横へ流れ、足がもつれ、進行が止まる。
その隙を逃さない。
着地と同時に、もう一度踏み込む。
「退いて!」
追撃。
腹部へ打撃を叩き込み、完全に前進を止めた。
恐竜は低く唸り、やがて方向を変える。
――三匹目、離脱。
結依とシロッコが前衛に出た。
しかし、強くなったルビィに、誰もが驚きを隠せない。
他のクルーたちも続き、四匹目を足止めする。
だが――
四匹目は、他より少し大きい個体。
真正面から、動かない。
「……来るよ!」
結依が前に出る。
目が、すでに“入っている”。
シロッコが冷静に位置を取る。 「横からライフルて削る。正面は危険だ」
アンデルがライフルを構える。 「了解!」
ガストも続く。
「レーザーガンで動きを止めます!」
――連携。
アンデルの弾が脚部の関節に命中。 ガストが続けて同じ箇所を撃つ。
わずかにバランスが崩れる。
「今!」
結依が踏み込む。
加速。
身体能力が限界まで引き上げられている。
恐竜の振り下ろしを、ギリギリで潜り抜ける。
懐に入り――
連打。
一撃、二撃、三撃。
速い。
しかし、恐竜は止まらない。
足元を崩しにいく動き。
グリムが横から滑り込み、低空の蹴りで脚を払いにいく。
シロッコが叫ぶ。
「……押せ!」
全員の圧が集中する。
結依が最後の一撃を叩き込む。
「下がれぇ!!」
巨体が、ついに後退した。
地面を揺らしながら、距離を取る。
――四匹目、制圧。
だが。
まだ終わらない。
ルビィは、すでに次を見ていた。
五匹目へ――向かう。
そのとき。
残る六匹目が、突然進路を変えた。
狙いは後方。
ルミナール号。
「……ヤバイ、船が!!」
ルビィの声がかすれる。
結依たちも、すぐに異変に気づいた。
「まずい――!」
だが、遠い。
銃を撃つが止めるまでには至らない。
地面を揺らしながら、六匹目が加速する。
狙いはただ一つ。
無防備なルミナール号。
内部には、まだ戦えない者もいる。
(間に合わない――)
ルビィの思考が、凍りつく。
叫ぼうとする声が、出ない。
その瞬間。
巨体の影が、船体を覆う。
(――直撃する)
誰もが、そう確信した。
止めるすべが無い。
絶体絶命の沈黙がルミナールクルーを覆う。
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