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☆祖父と孫娘

一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。

完結してる作品なので、完結は必ずします。


「」人のセリフ

()心の声

『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。


※私の小説のルールです。


楽しんでもらえると嬉しいです。


 恐竜の襲撃は止まず、そのたびに“殺さず退ける”出動が続いていた。

 船内には、戦闘直後特有の落ち着かない静けさが漂っている。


 医療区画から少し離れた通路。

 エアロは足を止め、ベッドに横たわるカイトへ視線を送っていた。

 近づかず、離れもしない。

 その曖昧な距離が、不安をそのまま表していた。


「……おい」

 ガストが空気を読まない声を投げる。

「そんな離れたとこで見てねーで、心配なら側で看病してやれよ」


 アンデルもすぐに続いた。

「そうだ。祖父なんだろ? 遠慮する場面じゃない」


 エアロの肩がびくりと跳ねる。

 そのやり取りに、ルビィも気づいた。

 視線の先にあるのは――ベッドと、そこから目を離せずにいるエアロ。

(……祖父と孫)

 胸の奥が、わずかにざわつく。

(祖母ダイヤと、私……)

 記憶を探る。

 だが、そこには何もない。

 温度も、言葉も、思い出せない。


 その変化に、結依が気づいた。

「……ルビィ?」

 静かな呼びかけ。


 ルビィは少し間を置き、ゆっくりと口を開く。

「私……祖母のダイヤさんと、幼少期の思い出がないの」

 一度、言葉を切る。


「こういう時、なんて声をかけたらいいのか……分からなくて」


 結依は一瞬だけ真剣な顔になり――すぐに柔らかく笑った。

「それはね、考えなくていい」

 軽く肩を揺らすようにして続ける。

「私に任せて。もっと副長を頼りなさい、サイモンさんにも言われたでしょ」

「クルーのメンタルケアも医療担当の仕事だよ」

 一歩、近づく。

「あなたは、前を見る役目でしょ」


 その言葉に、ルビィの肩の力がわずかに抜けた。

 結依はそのまま、エアロの方へ歩いていく。

「ねぇ、エアロ」


 名前を呼ばれ、エアロははっと顔を上げた。

「次の戦闘は、あなたは船内待機」

 一拍。


「この星、出撃が多すぎる。休むのも仕事よ」


「でも――」

 エアロは反射的に言い返そうとする。


 その言葉を遮るように、結依が一歩踏み込む。

「人手が足りないの」

 視線をまっすぐ合わせる。

「だからこそ、あなたにはカイトさんの看病をしてもらう」

 わずかな沈黙。


「――それに」

 きっぱりと告げる。

「これは命令です」


 エアロは唇を噛み、数秒黙ったあと――静かに頷いた。

 

 窓際でアストラの左手首が淡い光が揺れる。

 ホログラムが展開され、小さな文字が浮かび上がった。

《現在の状況を整理します》

《戦闘頻度:高》

《エアロ:精神的負荷あり》

《ルビィ:軽度の動揺》

 少し間を置いて、表示が切り替わる。

《総評:雰囲気が重いです》


 ガストは突っ込みを入れる。

「今それ言う必要ある?」


《必要です》

《空気の可視化は重要です》


 グリムは小さく笑う。

「可視化って便利だな。見えないもんまで見せてくる」


 シロッコは呆れたように息を吐く。

「……余計なもんまでな」


《補足》

《シロッコ:不機嫌》

《グリム:余裕あり》


 シロッコは顔をしかめた。

「…………分析凄いな」


 グリムはくすっと笑う。

「当たってるから否定しづらいな」


 わずかに間が空く。

《提案》

《軽い会話を推奨します》


 シロッコは眉間を押さえた。

「…………言わなくてもいいよ」

 グリムは小さく肩を揺らす。

「でもまあ、間違ってはない」


 そのやり取りをよそに、ホログラムは静かに消灯した。


 ――少し離れた所。

 ルビィの背後から、落ち着いた声がかかった。

「ルビィ船長」

 振り向くと、白衣姿のバルンが立っていた。

 その表情は、どこか焦りを含んでいる。

「少し、いいですか?」


 ルビィは小さく頷く。

「どうしました?」


 バルンは周囲を一瞬だけ確認してから、声を落とした。

「恐竜の鎮静化薬剤ですが……生産が追いついていないです」


 一拍。

「連続出撃の影響で、消費が想定以上に早い。現時点での在庫は三二本です」


 ルビィの表情がわずかに引き締まる。

「……少ないですね」


「本来なら余裕を持って補充できるはずだったのですが、この状況です」

 バルンは静かに続ける。

「ただし、あと一五時間あれば、製造ラインが安定する。そこから一気に増産できる。少なくとも一〇〇本までは回復する見込みです」


 ルビィは短く息を吐いた。

「……一五時間」

 視線をわずかに落とし、すぐに戻す。

「それまで、持たせるしかないですね」


 バルンは静かに頷いた。

「無理はするな、と言いたいところだと思いますが……今はそうも言っていられませんし」


 ルビィは小さく笑った。

「分かってます」


 船内に、再び静かな時間が戻る。

 だが、その静けさの奥で、次の戦闘が近づいていた。


私からのお願いです。

もしも、気にっていただけたら

★★★★★の評価と、ブックマークなどお願い致します。

感想などもお待ちしてます。

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