☆制御不能
◆星間探索士官学校――制御区画
制御区画は、すでに半壊していた。
火花が散り、警告灯が赤く点滅している。
床には、破壊されたドローンの残骸。
「……やっぱり」
ルビィが低く呟く。
中央の端末。
そこに、異常なコードが走っていた。
「外部侵入……?」
結依が眉をひそめる。
「違う」
ルビィはすぐに否定した。
「内部から。しかも、かなり古いプログラム……」
その瞬間。
背後から、機械音。
振り向くと――
大型ドローン。
通常の三倍はある巨体。
重火器を搭載した、訓練用ではない機体。
「……最後の一体ってわけね」
結依が構える。
だが、ルビィは動かなかった。
「待って」
「え?」
「撃ったら、ここごと吹き飛ぶ」
確かに、距離が近すぎる。
爆発すれば、制御室は完全に崩壊する。
「じゃあどうするの?」
ルビィは一瞬だけ考え――
「私が引きつける」
「ここで誰かが死ぬのは嫌だから」
「は?」
「その間に、コアだけ撃ち抜いて」
結依の目が細くなる。
「簡単に言うね」
「できるでしょ?」
結依は、ふっと笑った。
「……でも、アンタが言うならやるしかないか」
「任せなさい」
即座にルビィが飛び出した。
ドローンの攻撃を紙一重で回避する。床を蹴り、壁を蹴り、軌道をずらす。
「こっちだ!」
挑発。
ドローンが反応する。
銃口がルビィを追う。
その一瞬。
結依が、静かに息を止めた。
(……今)
引き金。
――一発。
音が消えたような感覚。
ドローンのコアが、正確に貫かれていた。
巨体が揺れる。
そして――停止。
重い音を立てて、崩れ落ちた。
警報だけが、まだ鳴り続けている。
「……終わった」
結依が息を吐く。
ルビィも、ゆっくりと立ち上がった。
「うん」
そのとき、遅れて教官たちが駆け込んできた。
「無事か!?」
そして、目の前の光景に言葉を失う。
破壊された大型ドローン。
復旧された制御端末。
そして――
二人の生徒。
「……お前たちが、やったのか?」
ルビィは振り返る。
「はい。制御は戻してあります」
教官が端末を見る。
「……信じられん」
「……こんな対処、昔の“あの三人”以来だ」
本来なら、複数の専門班が必要な事態。
それを、二人だけで解決していた。
結依が軽く笑う。
「で、これって……減点ですか?」
教官はしばらく黙り、
そして、ため息をついた。
「……いや。特例だ」
ルビィと結依は顔を見合わせる。
小さく笑った。
だが――
ルビィの視線は、端末のログに残っていた。
見覚えがある。
母の研究室で、一度だけ見たことがある。
古いコード。
……昔、母の研究室で見たコードに似てる。癖のある書き方。
(……なんで、これがここにあるの?)
読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
謎の古いコード。
追々、回収予定の伏線です。
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