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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼14万PV達成】【平日月曜と金曜の朝6時更新】  作者: 準
【第四章】宝石(星)の系譜/移住計画始動

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☆最後のカード

 翌日――昼過ぎ

◆ルナストン市・第七研究区画 中央ミーティングルーム・円形の会議室

 壁一面に、人流とゲート構成のシミュレーションが浮かんでいる。

 淡い光が揺れ、静かな機械音が空間を満たしていた。

 すでにダイヤとフェザーは席についている。


 フェザーが資料に目を落としたまま切り出した。

「今日は他の人の意見を聞きましょう」

 ダイヤは軽く頷く。

「うん、そうだね」


 そのとき、扉が開いた。

 ゼファーと、もう一人の男性が並んで入室する。

 フェザーが顔を上げる。

「来たわね」


 ゼファーが隣を示す。

「彼を連れてきたぞ」

 男は柔らかく手を振った。

「お邪魔するよぉ〜」


 フェザーがダイヤへ視線を送る。

「ダイヤ、紹介する」

 ダイヤが姿勢を正す。

 フェザーは穏やかに続けた。

「彼はクラウド。ルナストン市で唯一、私と同じ速度で話が通じる化学屋」


 ダイヤの目がわずかに見開かれる。

「もしかして、地下都市入口の地表に重力と空気層を作った人ですか?」


 フェザーは満足げに頷いた。

「そうそう。あれはクラウドの仕事よ。凄いでしょ」

 クラウドが苦笑する。

「褒めすぎだよぉ〜」


 ダイヤは軽く頭を下げた。

「よろしくお願いします」

 クラウドも同じように応じる。

「よろしくねぇ〜」


 そのやり取りの最中。

 ゼファーが席に腰を下ろそうとして、ふと視線を落とした。

 フェザーの胸元。

 一瞬だけ、目が止まる。


 ダイヤがじっと見つめる。

「……大統領?」


 ゼファーが慌てて視線を逸らした。

「ち、違う!資料を見ていただけだ!」


 フェザーが淡々と返す。

「胸元を?」

 クラウドが肩越しにぼやく。

「またそんな服だからだよぉ〜」


 フェザーはさらりと答える。

「機能的よ」

 ダイヤが即座に切り捨てた。

「説得力ゼロ」

 軽い空気のまま、全員が席に着く。


 ホログラムが切り替わる。

 フェザーが指先で空間を操作する。

「昨日の続きからいくわ」

「二人の意見も聞きたい」


 空中に、問題点が並ぶ。

《ゲート数・人の渋滞・出口詰まり》

 フェザーが静かに宣言する。

「霧状膜は必ず私が完成させます」

 ダイヤが即座に応じる。

「頼もしい。保護膜と通過は解決だね」


 フェザーの視線が鋭くなる。

「でも、二一億人がゲートで詰まった」

 クラウドが首を傾ける。

「ゲートを増やす案はぁ〜?」

 ダイヤは即断した。

「却下」

 間髪入れず補足する。

「フェザーが二〇〇とか言い出したから」

「レオとサイモンが過労死」

 ゼファーが苦く頷く。

「それは避けたい」


 クラウドが軽く手を動かす。

「じゃあさぁ〜」

 新しい図が展開される。


 クラウドが指で円を描いた。

「大きなゲートは一つぅ〜」

 ダイヤが乗り出す。

「主幹?」

 フェザーが続ける。

「他は?」

 クラウドが笑みを浮かべる。

「小型ドアを量産んん〜〜」


 一瞬。空気が変わる。

 ダイヤの目がはっきりと輝いた。

 ダイヤが強く頷く。

「それ、いい」

「しかも分割式で、八〜一〇パーツ」

 フェザーがすぐに噛み合う。

「最小構成」

 ダイヤが指を鳴らす。

「アストラみたいにさ」


 わずかな間。

 ダイヤが続ける。

「バラして、誰でも迷わず組めるやつ」

 クラウドが感心したように息を漏らす。

「なるほどねぇ〜」

 フェザーが評価する。

「現場向き」

 ダイヤが続ける。

「壊れても一パーツ交換で済む」

 フェザーが補強する。

「量産に向いてる」

 クラウドがまとめるように笑う。

「大きなの作るより、よっぽど現実的だよぉ〜」


 ダイヤが分析する。

「大きいのは空間調整に時間がかかる」

「小さい方が簡単」


 フェザーが指を立てる。

「で、ここからが重要」

 ホログラムが再び変わる。

 小型ドアが増殖していくグラフ。


 フェザーが低く呟く。

「最初は遅い」

 ダイヤが頷く。

「慣れてないから」

 フェザーの目が細まる。

「でも――」


 ダイヤが言葉を引き継ぐ。

「慣れれば作業も早くなる」

「最初は首をかしげてた科学者も、手が止まらなくなる」


 クラウドが笑う。

「雪だるま式、だねぇ〜」

 フェザーが指を折る。

「一〇作れたら、次は二〇」

 ダイヤが重ねる。

「人も増えるし、スピードも上がる」


 試算が表示される。

《最終想定ドア数:約 八〇〇〇組》

 静寂が落ちた。

 ゼファーが息を吐く。

「……多いな」


 ダイヤが前を見据える。

「小型なら空間調整も早い」

「運搬も簡単なら、人の多い場所に直接置ける」

 フェザーが続ける。

「ゲートが一〇組あっても、人が集まれば詰まる」

「最初から“人の中”に置けるなら、流れは止まらない」

 クラウドが頷く。

「小型の方が現実的だよぉ〜」


 ゼファーが問いを投げる。

「だが、そんなにドアが多ければ、ワープ空間は混雑しないか?」

 ダイヤが即答する。

「大丈夫だと思う!」

 続けて説明する。

「ルミナール式はワープ空間のチャンネルが無数にある」

「霧保護膜があるなら、別経路も使える」


 クラウドが目を細める。

「別チャンネルのテストも必要になるねぇ〜」


 フェザーの視線が数値に落ちる。

「でも……霧膜がね……」

 別のデータが重なる。

 ネバネバ液の消費量。

 ダイヤが小さく声を漏らす。

「あ」

 ゼファーが問いかける。

「足りない?」

 ダイヤは首を横に振る。

「全然」

 フェザーが淡々と告げる。

「八〇〇〇組、霧状膜、ドア周囲、安定層」

「使い放題じゃない」


 ゼファーはしばらく考え、静かに告げる。

「なら、軍を出そう」

 ダイヤが目を丸くする。

「本気?」

 ゼファーは迷いなく続ける。

「巨大化させた虫からの採取だろう」

「安全なのか?」

 ダイヤが簡潔に答える。

「鎮静薬、効く」

 クラウドが半信半疑で笑う。

「そんなにぃ〜?」

 フェザーが肩の力を抜く。

「意外とね」

 ダイヤが付け加える。

「拍子抜けするくらい効いた」

 ゼファーが確認する。

「暴れない?」

 ダイヤが即答する。

「大人しい」

 クラウドが頷く。

「作業、楽になるねぇ〜」

 ゼファーが決断する。

「では、私の部隊に任せる」

 フェザーが小さく息をつく。

「助かる」

 ダイヤがふと呟く。

「『虫さん、ごめんねぇ〜』」

モコルが机の上で転がった。

 フェザーがやんわりとたしなめる。

「ダイヤ、やめなさい」


 クラウドは真似された事に気づかないまま、話をまとめに入る。

 クラウドが指を折る。

「大きなゲート一つぅ〜」


 ダイヤが続ける。

「小型ドア大量生産」

 フェザーが視線を上げる。

「ルナストン市民は?」

 ダイヤが答える。

「直接ドアで行く人」

「戦艦で隣の惑星経由の人」

 ゼファーが整理する。

「ハイブリッド移住だな」

 フェザーが続ける。

「ドアの量産は?」

 ダイヤが迷いなく示す。

「ヴェルデを拠点に」

「軌道に乗ったら六カ国へ展開」


 フェザーが頷く。

「ゲートが一つ繋がれば、ジュラシックアース組も参加」

 ダイヤが力強く締める。

「さらに人も速度も増える」


 再計算。

 ――想定移動期間:四ヶ月。


 静かに、全員が息を吐いた。

 ダイヤが前を見据える。

「量産速度が上がれば、四ヶ月以内も可能」

 ゼファーがゆっくり頷く。

「ようやく、道が見えた」

 フェザーが苦笑する。

「狂ってるけどね」

 ダイヤが小さく笑う。

「『いつものことだよぉ〜』」

 フェザーが吹き出す。

「ダイヤっ」

モコルが「きゅっ」と鳴いた。


壁は、まだある。

だが――今度は、登り方が見えた。

次は、実行だ。


 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!


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ここで第四章は終わりです。引き続き第五章もよろしくお願いします。

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