表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/98

☆遅れた五〇年と教育係

一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。

完結してる作品なので、完結は必ずします。


「」人のセリフ

()心の声

『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。


※私の小説のルールです。


楽しんでもらえると嬉しいです。


◆ヴェルデ自治共和国の中枢施設。

 白を基調とした広いホールに、レオ、サイモン、アストラが足を踏み入れると、すでに一人の男が待っていた。

 ヴェルデ大統領は、柔らかい笑みを浮かべて歩み寄る。 「久しぶりですね、レオ殿、アストラ殿」


 レオは軽く片手を挙げながら言う。 「変わってないですね」

 少しだけ目を細める。


「相変わらず、仕事が顔に出ない方ですね」

 ヴェルデ大統領は穏やかに返した。


「それは褒め言葉と受け取っておきます」

 短い握手が交わされる。

 形式ばらないが、互いの立場を理解した者同士の挨拶だった。


 ヴェルデ大統領はそのまま言葉を続ける。

「君たちが来ると聞いてね」

 ゆっくりと視線を巡らせた。 「各国から、今出せる最高の技術者と科学者を集めた。準備は整っている」


 レオは小さく頷く。

「それは助かります」

 アストラとサイモンに視線を送り、短く告げる。

「では、早速」


 一行は別室へと移動する。

 ミーティングルームには、所狭しと人が集まっていた。

 各国から招集された科学者、技術者、理論屋、現場屋――  分野も立場も違うが、全員が“ワープゲート”という言葉に引き寄せられている。


 説明は淡々と進んだ。

 現在想定されているゲート理論。エネルギー供給の問題。安全係数。失敗例と、その回避策。


 議論は活発で、質問も鋭い。

 一時間ほどが過ぎた頃。

 レオは内心で静かに評価を下していた。

(思ってたより、使える)

 少なくとも、基礎理解は高い。応用力もある。指示を出せば、形にはなる。


 ミーティングが終わり、人がはけていく。


 廊下に出たところで、レオとサイモンはチーム分けの話になった。

 レオは足を止めて言う。

「我々は三つに分かれた」

 そのまま振り返る。

「そしてうちのチームは、俺とサイモン、それから……七八だ」


 サイモンは眉をひそめる。

「なぜ、アストラを俺たちに?」


 その問いを待っていたかのように、レオは小さく笑った。

「ダイヤからの伝言だ」サイモンを見る。

「『いい? よく聞いてね〜』って前置き付きだった」

 サイモンは顔をしかめる。

「……嫌な予感しかしないな」


 レオは構わず続ける。 「俺たち三人は、ルミナールクルーより――」


 一拍置く。

「五〇年、遅れてる」

 サイモンは何も言わず、その言葉を受け止める。


 レオは淡々と並べた。 「技術も、医療も、政治も、歴史も」

「その五〇年分のデータを、全部七八が持ってる」


 アストラがわずかに首を傾ける。


 レオはそのまま続けた。

「ゲートを作りながら、空いた時間で勉強しなさい、だとさ」

 少しだけ口元が緩む。

「『追いつけとは言わないけど、せめて同じ地平には立ちなさい』」

「『じゃないと、話にならないでしょ?』って」

 ダイヤの声が、そのまま響いているようだった。


 サイモンは小さく息を吐く。 「つまり、教育係か」


 レオは即答する。

「そう」


 視線をアストラへ向ける。

「しかも、五〇年分まとめて」


 アストラは静かに告げる。

『必要であれば、優先順位を整理します』


 サイモンは苦笑する。

「逃げ場はないな」


 レオは前を向いたまま言う。 「最初からない」

 短く言い切る。

「だから俺たちは、このチームだ」


 その言葉に、わずかな重みが宿る。

 そして、三人は歩き出した。


 ――ヴェルデ自治共和国の巨大な研究施設。

 そこでは、ワープゲート計画という、厄介で、しかし誰も逃げられない仕事が待っていた。

 そして同時に――

 彼ら自身が、“追いつくための戦い”も始まろうとしていた。


私からのお願いです。


もしも、気にっていただけたら


★★★★★の評価と、ブックマークなどお願い致します。


感想などもお待ちしてます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ