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☆半世紀分の科学(前編)

一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。

完結してる作品なので、完結は必ずします。


「」人のセリフ

()心の声

『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。


※私の小説のルールです。


楽しんでもらえると嬉しいです。


◆ルミナール号船内

 ルミナールのハッチが閉じ、微かな振動とともに船内は静寂に包まれた。

 ダイヤはその場で大きく伸びをした。

「はぁ〜。やっぱ宇宙船が一番落ち着くね」

 その一言で、張り詰めていた空気がわずかに緩む。


 アストラが一歩前へ出た。

『では、改めて説明します』

『皆さんの認識と、現在の時間軸の差について』


 レオは腕を組み、低く問う。

「……何年だ?」


 アストラは迷いなく告げた。

『五〇年です』

 一拍の沈黙。


 ダイヤが瞬きをする。

「……五〇?」

 次の瞬間、その目が輝いた。

「え、ちょっと待って」

「五〇年分の科学進歩が丸ごとあるってこと?」


 レオも珍しく前のめりになる。

「基礎理論は?」

「おい七八、ワープ、重力制御、量子通信はどこまで進んでる?」


 アストラは視線を巡らせながら説明を始める。

『ワープ理論は二系統に分岐しました』

『重力制御は――』


 ダイヤが即座に割り込んだ。

「え、そっち採用したの!?」


 レオも食いつく。

「いや、あれは理論値が――」


 サイモンはそれを見て、のんびり言った。

「あとでまとめて聞くわ。今聞いても頭パンクする」


 結依は少し居心地悪そうに、その光景を見ていた。


 しばらくして、アストラが話題を切り替える。

『次に、血縁関係について説明します』


 ルビィが小さく息を呑んだ。


『出航前――あなた方の時代では、長期航行に備え、遺伝子細胞の提出が義務付けられていました』


 ダイヤは軽く頷く。

「うん、知ってる」


『その遺伝子から、アリエス・ミラノ博士により、あなたの子宮が人工生成されました』

 一瞬、空気が止まる。


 ダイヤはあっさりと受け入れた。

「……あ、そっか。アリエスかぁ」


 レオが声を上げる。

「ちょ、ちょっと待て!?」


 アストラは淡々と続ける。

『その結果、生まれたのが――サファイア・ミラノ・デズモンド』

『ミラノがミドルネームなのは、育てたのがアリエス・ミラノ博士だからと聞いています』


 ルビィが一歩前に出た。

「そして……私の母です」


 空気が凍る。


 サイモンが間の抜けた声を出した。

「……え?」


 ルビィは静かに続ける。

「ルビィ・デービスという名は仮名です」

「本名は……ルビィ・デズモンド」


 アストラが締める。

『ダイヤ・デズモンドさんの孫にあたります』


 数秒の沈黙の後――


「えええええ!?」

 サイモンが叫び、レオも目を見開く。


 ダイヤは数秒考え、あっさり笑った。

「へぇ〜。私、もうおばあちゃんなんだ」


 結依が思わず突っ込む。

「軽すぎません!?」


「いや、でも」

 ダイヤはルビィを見る。


 ルビィは視線を落とす。

「……正直、私たちも予想外でした」


 その頃、レオは聞き耳を立てながら別の資料を見ていた。

「……七八の設計図、これか……?」


『はい』


「この部分」

 レオの声が、明らかに楽しそうだった。

「関節が外れても、遠隔で制御できる構造」

「信号媒体が明記されてないな」


 アストラは首を振る。

『私自身も、仕組みを完全には理解していません』


 ダイヤが近づき、設計図を覗き込む。

 一分ほど、無言で見続けた。


『設計者はオリオン・ミラノ博士。レオさん、あなたの息子さんです』

 レオの動きが止まる。

『現在六〇歳。アンドロイド研究では、異才として非常に有名です』


 ダイヤがぽつりと呟いた。

「……これ設計したやつ、バカだね」


 レオが即座に反応する。

「おい!」


 ダイヤは笑う。

「いや褒めてるよ? バカと天才は紙一重って言うけど――完全に大バカ側」

 ケラケラと笑う。

「あの首チョンパ人形で遊んでた、オリオンがさ〜」


 結依が吹き出す。

「首チョンパ?」


 レオが苦笑した。

「出航前に買ってやったやつだ」「頭部を飛ばして遊ぶ人形があったんだ」


 サイモンも笑う。

「ははは!」


 ルビィも堪えきれず笑い、結依は大爆笑していた。


 そして少し時間が流れるが――


 ダイヤとレオは、すでに半世紀分の科学に没頭していた。


 結依は、その横顔を見つめる。

 設計図に食い入るように視線を走らせ、矢継ぎ早にアストラへ質問を投げるレオ。

(……こんな顔、初めて見る)

  胸が、少しだけ高鳴る。


 やがて、結依は意を決して口を開いた。

「……ごめんなさい」

 全員の視線が集まる。

「黙ってた。時間のことも、血縁のことも」


 ダイヤはあっさり言う。

「いいよ。結果オーライだし」


 レオも顔を上げずに続ける。

「今、同じ船にいる。それで十分だ」

 サイモンも笑う。

「ややこしいけど、面白いってことだろ」


 ダイヤはモコルを抱き上げる。

「そうそう」

「で、これからが本番」


 五〇年の時間差。

 血のつながり。

 半世紀分の科学。

 すべてを抱えたまま――

 彼らは、同じ未来を見始めていた。


私からのお願いです。

もしも、気にっていただけたら

★★★★★の評価と、ブックマークなどお願い致します。

感想などもお待ちしてます。

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