☆ダイヤから差す光
一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。
完結してる作品なので、完結は必ずします。
「」人のセリフ
()心の声
『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。
※私の小説のルールです。
楽しんでもらえると嬉しいです。
大統領ゼファーは、ゆっくりと椅子に深く腰を下ろした。
重い沈黙を抱えたまま、静かに口を開く。
「……ここまで話しておいて、まだ隠していることがあります」
側近たちが息を呑む。
ゼファーは目を伏せたまま続けた。
「ルナストンの人口は、“一億”と伝えてきましたが……」
一拍。
「正確には、八〇〇〇万人強です」
ざわり、と空気が揺れた。
「そして極秘裏に、惑星アークスにある国家と交渉を進めていた」
ゆっくりと視線を上げる。
「受け入れる人数は……最大で、四〇〇〇万人」
ルビィが思わず身を乗り出す。
驚きと焦りを隠せない声が漏れた。
「そんな……それじゃ、残りの人たちは?」
ゼファーは首を横に振る。
「残りは無理です。ルナストン市の維持限界を超えます」
その言葉には、諦めにも似た重さがあった。
「それでも、“全面戦争”よりはましだと判断しました」
結依は俯く。
レオは腕を組んだまま、何も言わない。
ゼファーは話を続ける。
「惑星側は七つの国家で構成されています」
空中投影が展開され、幾つもの領域が浮かび上がる。
「二つの大国と五つの小国。それぞれに統治者がいる」
「計、七名」
そして、ゆっくりと息を吸う。
「……太陽の寿命については」
一瞬、言葉を選ぶように間を置く。
「正直に言う。ワシは知りませんでした」
全員の視線がゼファーに集まる。
「アストラ殿の分析で、初めて知りました」
「だからこそ――もう、隠す意味はありません」
ゼファーは六人を順に見渡した。
「お主らは、高度な科学力を持つ異銀河の存在」
「このタイミングで現れたことを――」
一瞬、言葉を噛み締める。
「ワシらは、奇跡だと思っています」
静かに、頭を下げた。
「……どうか、助けてほしい」
その瞬間だった。
ダイヤが、椅子に座ったまま頬をぽりぽりと掻いた。
場の空気とはまるで合わない、軽い声が響く。
「うーん……なるほどね」
一斉に視線が集まる。
ダイヤは気にした様子もなく続けた。
「つまりさ」
「ここの九〇〇〇万人と、隣の二〇億人」
「しかも太陽は、あと数年でアウト」
少しだけ天井を見上げる。
「……うん」
「普通に考えたら、無理ゲーだね」
アストラが即座に反応する。
『その通りです。成功確率は――』
だが、その言葉を遮るように。
「でもさ」
ダイヤはにこりと笑った。
「“普通”で考える必要、ある?」
レオが低く声を落とす。
「ダイヤ……」
その視線を受けながらも、ダイヤは迷いなく言った。
「助けるよ」
一瞬、場の空気が張り詰める。
結依が思わず声を上げた。
「ちょ、ダイヤさん!正気!?私たちだけで――」
ダイヤは笑ったまま答える。
「正気だよ」
一歩も引かない声音。
「ただし、条件付き」
ゼファーがゆっくりと顔を上げる。
「……条件?」
ダイヤは指を一本立てた。
「まず一つ。ここの地下都市の科学・化学技術資料、全部」
「隠しデータ含めて、完全開示」
ざわめきが広がる。
二本目の指を立てる。
「もう一つ。惑星アークス――七カ国すべての科学技術資料も同じく」
空気がさらに張り詰める。
そして――
ダイヤの表情が、ほんの少しだけ真剣になる。
「最後に」
「九〇〇〇万も、二〇億も」
一拍。
「“選別”しない」
その言葉に、ゼファーの表情が変わった。
ダイヤは無邪気な口調のまま、はっきりと言い切る。
「この人数を助けるにはさ」
指を折りながら数える。
「七カ国の代表とアークスの市民」
「ここのルナストンの人たち」
「それから――私たち」
そして、結論を告げる。
「全員が、一丸にならないと無理」
静寂。
ダイヤはにっこり笑った。
「だから、ゼファー大統領」
「七カ国の統治者、全員集めて、正式な会合を開いてよ」
さらに続ける。
「人も、生き物も」
「星まるごと、引っ越す話をしよう」
誰も、すぐには言葉を発せなかった。
アストラが静かに首を振る。
『……非現実的です』
レオも低く言う。
「規模が大きすぎる」
サイモンは、ただ呆然としていた。
それでも――
ダイヤは楽しそうに笑っている。
「大丈夫」
「こういう時ほど、面白い案、浮かぶからさ」
その笑顔を見て、ゼファーはゆっくりと立ち上がった。
「……お主は」
「本当に、救世主ですね」
ダイヤは首をかしげる。
「んー、たぶん」
そして、仲間たちへ視線を向ける。
「でもさ。一人じゃ無理だから」
「ね?」
その一言に、すべてが詰まっていた。
――この瞬間。
世界の運命は、“無邪気な一言”に賭けられた。
面会室には、まだ張りつめた空気が残っている。
ダイヤは椅子から立ち上がり、軽く伸びをした。
まるで一区切りついたかのように。
「……よし」
全員の視線が集まる。
「助けるって決めたけどさ」
「正直、やること山ほどある」
指を折りながら、気楽に並べていく。
「情報の整理」
「技術の突き合わせ」
「人と資源の割り振り」
ゼファーが静かに頷いた。
「では、この面会は一旦ここまでとしましょう」
ダイヤはにこりと笑う。
「続きは、次のステージでやろ?」
そして、ゼファーを見る。
「惑星アークスとの正式会合は?」
ゼファーはすぐに答えた。
「六日後。遅くても一〇日後までにはセッティングする」
「場所は――」
言いかけたその言葉を、ダイヤが即座に遮る。
「向こうの惑星で」
迷いのない声だった。
「あっちも、私たちを“見て”判断したいでしょ」
ゼファーは一瞬驚き――
そして、深く頷いた。
「承知しました」
こうして――
大統領との面会は、幕を閉じた。
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