☆結依 VS サイモン (後編)
一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。
完結してる作品なので、完結は必ずします。
「」人のセリフ
()心の声
『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。
※私の小説のルールです。
楽しんでもらえると嬉しいです。
このエピーソードは再投稿した時に大幅にボリュームアップさせたお話です。
結依の腕は、後ろから完全に封じられていた。
サイモンの腕は鉄の檻のように固く、わずかな隙もない。
数秒――
もがく。
だが、外れない。
(力じゃ……勝てない、よし、それじゃあ)
結依の左肩が、わずかに揺れる。
次の瞬間――
ゴキッ。
鈍い音とともに、肩の関節が外れた。
サイモンが目を見開く。
「え!?」
締め付けていたはずの身体が、スルリと抜ける。
結依はそのまま体を沈め、右手を地面についた。
反動。
両足を一気に振り上げる。
ドンッ!!
強烈な蹴りが、サイモンの腹部へ突き刺さった。
完全に無防備だった。
まともに入る。
サイモンの体が、数メートル後方へ弾き飛ばされる。
結依は着地し、即座に振り向いた。
(よし……手応え、あった!)
その様子を見ていたレオが、目を見開く。
「……肩を外したのか」
ダイヤも驚きを隠さず、呟く。
「今の……お腹にクリーンヒットしたね」
だが――
結依の視界に入ったのは。
倒れずに立っているサイモンの姿だった。
「え……?」
(倒れてないの……?)
(怪物じゃん……!!)
サイモンが腹を押さえ、わずかに顔を歪める。
確実に効いている。
結依の表情が切り替わる。
迷いは消えた。
右手で自分の左肩を掴む。
グッ――
関節を押し戻す。
ゴキッ。
無理やりはめ直した。
そしてすぐに踏み込む。
一気に距離を詰め、跳躍。
ジャンピング左ハイキック。
サイモンが慌てて右腕を上げガードする。
ドゴッ!!
重い音が響く。
サイモンの表情が歪んだ。
(……重い! レオ並みか!?)
結依は蹴りと同時に、右脚で軽くサイモンの胸を踏む。
その反動で後転。
距離を取り着地。
間髪入れず、助走をつけて再び跳ぶ。
ジャンピング左ハイキック――二発目。
「やべぇ……!」
サイモンが焦り、ガード。
ドンッ!!
一発目より、さらに重い。
衝撃が腕を貫く。ガードしたサイモンの巨体が、衝撃だけで数センチ後退した。
再び、結依は軽く右足でサイモンを踏み台として蹴って距離を取り、後転して着地。
その様子を見ながら、アストラが淡々と告げる。
『現在、清水結依さんの身体能力は通常の三・二倍まで上昇しています』
サイモンが顔をしかめる。
「痛てぇ……」
腕が痺れている。
明らかにダメージが蓄積していた。
結依は止まらない。
再び踏み込む。
ジャンピング左ハイキック――三度目。
ルビィが思わず声を上げる。
「次を受けたら……サイモンさんの腕、持ちますか!?」
ダイヤとレオは、無言で見ている。
サイモンは歯を食いしばった。
(また来る……!)
(今度は――)
両腕でガードに入る。
だが。
結依の蹴りは――来ない。
左脚は膝を曲げたまま、ガードをかすめて着地した。
「え?」
サイモンの視界が一瞬、空白になる。
その瞬間。
結依の体が左脚を軸に回転し――
右後ろ回し蹴り。
無防備になった腹部へ。
ドゴォッ!!
鈍い衝撃。
(よし……!)
結依は表情を変えない。
だが確信していた。
サイモンの体が再び吹き飛ぶ。
今度は耐えきれず――
片膝をついた。
腹を押さえ、息を荒くする。
ダイヤが、楽しそうに笑う。
「今のフェイント良かったね」
「ゴリにぃが模擬戦で膝つくなんて、珍しいよ」
レオも静かに頷いた。
「ああ……初対戦でここまで追い詰めるとはな。清水、凄い」
結依は迷わない。
(今だ――)
一気に踏み込む。
低い体勢のサイモンへ。
顎を狙った、飛び膝。
その瞬間。
ダイヤの目が細くなる。
「……あ、罠だね」
レオも即座に同意する。
「ああ」
ルビィが驚いて二人を見る。
「え? 罠……?」
そのときには、もう遅かった。
サイモンは痛みを押し殺しながら、間合いを測っていた。
(来る……!)
踏み込み。
巨体とは思えない速度。
結依の目が見開かれる。
「あ――!」
サイモンの低い姿勢から――
「結依ちゃん、ごめん」
と叫びながら、突き上げる頭突き。
ドンッ!!
顎に直撃。
結依の体が宙に舞った。
「よし……浮いた」
サイモンが呟く。
結依は空中で体をひねり、なんとか体勢を整える。
だが――
結依の着地の瞬間。
サイモンはもう動いていた。
距離を詰める。
拳を握る。
ボディへのアッパー。
結依は反応する。
(避けられない……!)
腕をクロスしてボディをガードする。
だが。
サイモンはニヤリと笑った。
そのまま横をすり抜ける。
背後へ。
ガシッ。
クロスした腕ごと、後ろから拘束。
完全な制圧。
サイモンが息を吐く。
「もう、関節外しても抜けられない」
「……俺の勝ちだな」
結依の腕はクロスされたまま動かない。
数秒――
もがく。
だが、外せない。
やがて。
結依は息を吐いた。
「……参った」
サイモンはゆっくりと腕を離す。
結依が振り向く。
悔しさを残しながらも、笑っていた。
「強いね」
サイモンも笑う。
「そっちもな」
そのときだった。
中庭の入口から、穏やかな声が響く。
「皆さん」
カイトが立っていた。
足元では、モコルが一匹、ぴょんぴょんと跳ねている。
「そろそろ時間です」
戦闘の空気が、一気にほどけた。
結依は呼吸を整えながら笑う。
「ちょうどいい運動でした……サイモンさん、頑丈すぎません?」
サイモンは腕を回しながら苦笑する。
「結依ちゃんこそ、脚力やばいよ。いい運動だったけど……腕、痺れてる」
モコルが結依の足元に近づき、ぴたりと止まる。
ダイヤの目が輝く。
「……触っていい?」
ルビィが即座に制止する。
「ダメです」
小さなやり取りに、空気が和らぐ。
カイトが静かに歩き出した。
「こちらへ」
一行はその後を追う。
ホテルのロビーを抜け、正面の大きな扉へ。
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