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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼14万PV達成】【平日月曜と金曜の朝6時更新】  作者: 準
【間章伍】ゼロとの交渉と奪われた光/宝石の系譜

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✮深海の悪魔

◆海岸港・夜

 巨大な単眼が港を見下ろしていた。

 海面から現れた一五メートル級アビスモウ。

 その圧倒的な存在感に、その場の全員が言葉を失う。


 だが。

 テストが真っ先に叫んだ。

「大型は後ろだ!」

「まずは残ってる小型を退かせる!」


 全員が我に返る。

 確かにそうだ。

 二体同時は無理だ。

 まず一体。

 小型アビスモウを排除するしかない。


 アリスベルが前へ出た。

「サイモン!」

「もう一度やるぞ」


 サイモンが笑う。

「任せろ!」


 二人が同時に駆け出した。

 ――ドンッ!!

 港の地面が砕ける。


 小型アビスモウが触手を振るう。

 だが。

 アリスベルが蹴りで弾く。

 ――ガァァン!!


 その隙へ。

 サイモンが潜り込んだ。

「らぁぁぁぁっ!!」

 拳が炸裂する。

 ――バギィィィッ!!

 電流。

 青白い火花。

 アビスモウの巨体が大きく痙攣した。


「よし、効いてる!」

 サイモンが叫ぶ。


 レオも飛び込む。

 回転。

 そして。

 渾身の蹴り。

 ――ドゴォッ!!

 電流が走る。

 アビスモウが後退した。


 テストが叫ぶ。

「やっぱりだ!」

「電流が効いてる!」


 ケイトも飛び出した。

 鋭い蹴りが連続で炸裂する。

 ――ドガッ!

 ――バキィッ!

 迫る触手を次々と弾き飛ばした。


 その隙を逃さない。

 テストが一気に間合いを詰める。

 低く踏み込み――拳を叩き込んだ。

 ――ドゴォッ!!

 さらに追撃。

 重い打撃が連続でアビスモウの体を揺らした。


 サンチェスとアシュリーの援護射撃も続く。

 ――パンッ!!

 ――パンッ!!

 ――パンッ!!


 小型アビスモウは明らかに押され始めていた。

 あと少し。

 あと一押し。

 誰もがそう思った。


 その瞬間。

 海から伸びた巨大な影。

 ――ブォォォォォン!!


「なっ!?」

 アリスベルの表情が変わる。


 大型の触手だった。

 アリスベルとサイモンへ直撃。

 ――ドゴォォォォォン!!

 二人が吹き飛ぶ。

 コンテナが粉砕された。


「サイモン!」

 レオが叫ぶ。


 だが。

 大型アビスモウは止まらない。

 海からさらに身体を現す。

 巨大。

 圧倒的。

 まるで動く要塞だった。


 サンチェスが即座に射撃する。

 ――パンッ!!

 ――パンッ!!

 ――パンッ!!


 だが。

 弾丸は弾かれた。

「効かねぇ!?」


 アシュリーもレーザーガンを撃つ。

 ――ズガァァン!!

 光が命中する。


 それでも。

 傷一つ付かない。


「嘘でしょ……」

 アシュリーが青ざめた。


 次の瞬間。

 巨大な触手が振るわれる。

 ――バゴォォォォン!!


 ケイトが吹き飛ぶ。

「ぐっ!」

 続いて。

 テストも巻き込まれた。

 ――ドガァァァァン!!

「がはっ!」

 二人とも地面を転がる。


 そして。

 レオが前へ出た瞬間だった。

 巨大な触手が伸びる。

 ――ガシィィッ!!

「しまっ――」

 ――遅かった。


 身体を触手で掴まれた。

 レオの全身が締め上げられる。

 骨が軋む。

 ――ギュュュゥゥゥ!!

 さらに力が強まる。

 バトルスーツが悲鳴を上げた。

 ――バチバチッ!!

 火花。

 煙。

 ショート。

 黒煙が上がる。


「レオ!!」

 サンチェスが叫ぶ。


 誰も助けられない。

 距離が遠い。

 間に合わない。


 だが。

 飛び出した者がいた。

 サイモンだ。

「離せぇぇぇぇぇっ!!」

 拳が炸裂する。

 ――ドゴォォォン!!

 電流が流れる。

 超大型がわずかに揺れる。


 だが。

 触手は離れない。

 そのとき。

 アリスベルが腰へ手を伸ばした。

 銀色の柄。

 次の瞬間。

 光が伸びる。

 レーザー剣。

 ――ブォン!!

 青白い刃が夜を裂いた。

 アリスベルが跳ぶ。

 一閃。

 ――ズバァァァァァッ!!

 レオを掴んでいた触手が切断された。


 レオの身体が落下する。

「レオ!」

 サイモンが受け止めた。

「大丈夫か!?」


 レオは咳き込みながら頷く。

「なんとか……」


 だが。

 安心する暇はなかった。

 超大型が動く。

 切断された触手の根元が蠢く。

 まるで再生しようとしているかのように。

 全員の顔色が変わった。


「冗談だろ……」

 ケイトが呟く。


 その瞬間。

 再び触手が振るわれる。

 ――ドゴォォォォォォン!!

 ――アリスベルが!


 さらにもう一つの触手。

 ――バゴォォォォォォン!!

 ――サイモンが!

 二人が吹き飛ばされた。


 港の地面が砕け散る。

 誰も言葉を失う。

 強い。

 あまりにも強い。

 これまで戦ってきたどの敵とも違う。


 テストが歯を食いしばった。

 そして。

 ふと思い出す。

「待て……」

 全員が振り向く。

「誰か」

 一拍。


「発光弾は持ってるか?」


 サンチェスが眉をひそめた。

「発光弾?」

「そんなもん効くのかよ?」


 テストは答える。

「分からん」

「だが前にアイダが言っていた」

 全員が聞く。

「アイダが前に、アビスモウに襲われた時」

「武器も弾も尽きて」

「最後に発光弾を撃ったら撤退したらしい」


 ケイトが目を見開く。

「それって、たまたまじゃないのか?」


 テストは即答する。

「ああ、偶然かもしれん」

「だが」

 一拍。


「試す価値はある」


 沈黙。


 そして。

 アシュリーが手を上げた。

「私」

 全員が見る。

「発光弾なら一発だけあります」


 テストが叫んだ。

「アシュリー!!撃て!!」

「奴の顔面だ!!」


 アシュリーが頷く。

 震える手で発光弾ランチャーを構える。


 狙う先は――。

 深海の悪魔。

 一五メートル級アビスモウ。

 巨大な単眼だった――。



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