✮レヴロスト・改
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【毎週平日の月曜と金曜の朝6時】
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――B班。
◆荒野地帯・夜
最後の虫型サイボーグが倒れたあと。
荒野には静寂が戻っていた。
転がる残骸。砕けた装甲。そして、倒れた赤いレヴロスト。
アイダはその装甲を足で軽く蹴った。
「で?」
一拍。
「この赤いのは結局なんなんだ?」
アストラが赤いレヴロストの残骸をスキャンする。
『解析中』
青白い光が装甲をなぞる。
数秒後。
『解析完了』
全員の視線が集まった。
『この個体は通常のレヴロストではありません』
アイダが眉をひそめる。
「じゃあ、なんだ?」
アストラは続けた。
『内部構造を確認』
『全身の約四三パーセントが機械化されています』
「機械化?」
結依が首を傾げる。
『サイボーグ化されています』
ルビィが驚く。
「サイボーグ……?」
アストラが続ける。
『さらに、虫型サイボーグの内部構造との一致を確認』
『共通する改造技術が使用されています』
一拍。
『ハウンドのサイボーグ個体とも一致』
ダイヤが顔を上げた。
「つまり?」
『推定ですが』
『ネメシスが黒いレヴロストを回収し、改造した可能性が高いと思われます』
沈黙。
ルビィが小さく息を吐いた。
「やっぱり……」
一拍。
「アイオーンは休戦中で、赤いのはネメシスだったんですね」
結依は腕を組む。
「停戦は守られてるってことになるけど……」
「私は、あまりアイオーンも信用できないわ」
アイダが鼻で笑った。
「それは私も同じだ」
低い声で続ける。
「過去にアイオーンに殺された仲間は数え切れない」
「停戦だろうが何だろうが、簡単に信用できる相手じゃねぇよ」
ルビィも静かに頷いた。
その横で。
ダイヤだけが別のことに夢中だった。
「へぇ……」
しゃがみ込み。
砕けた装甲を眺める。
「面白い」
完全に科学者の顔だった。
「この構造初めて見る」
ダイヤは装甲の断面を指でなぞる。
「私の知らない技術が使われてる」
一拍。
「ねぇ、アストラ」
『はい』
「データ全部記録しておいて」
『了解しました』
結依がふと思い出したように聞いた。
「そういえば、なんでバトルスーツの電流が効かなかったの?」
アストラが即座に答える。
『推定になります』
『この構造から判断するに、元となった黒いレヴロストが電流対策済みだった可能性が高いです』
『電撃兵器への耐性を持つよう設計されています』
「ああ、それか」
アイダが納得したように頷いた。
「それは昔の戦争の名残だな」
全員がアイダを見る。
「初期のレヴロストは電気に弱かったんだ」
一拍。
「だから人類はスタンガンやテーザー銃の上位互換のような兵器を開発し、大量投入した」
「当時はそれで結構倒せたんだ」
ルビィが目を丸くする。
「へぇ……」
「だがアイオーンも馬鹿じゃねぇ」
アイダは赤いレヴロストを見る。
「すぐに対策した」
「それ以降のレヴロストは電撃じゃ止まらなくなった」
一拍。
「だから今は頭を壊して撃ち抜くのが一番確実なんだよ」
結依が苦笑した。
「なるほどね」
ダイヤは立ち上がり、服についた埃を軽く払った。
「いい勉強になったわ」
「虫は最悪だったけど」
アイダが苦笑する。
「だから虫の話はもういいって」
「あいつらはマグスだ。しかも肉食」
その説明を聞いたダイヤは、間髪入れずに答える。
「マグスね……もう二度と見たくないわ」
即答だった。
アイダは呆れたようにため息をつく。
「そこだけは本当にブレねぇな……」
ダイヤは真顔で頷いた。
「当然でしょ。私の中ではマグスの危険度は五割増しなの」
アイダは思わず額を押さえた。
「お前、敵の強さじゃなくて見た目で評価してるだろ……。
そのときだった。
――ウゥゥゥゥゥゥゥゥン!!
再びサイレンが鳴り響く。
全員が空を見上げた。
夜が終わる。
空の色が変わる。
アイダが空を見上げ、怪訝そうに眉をひそめた。
「……今回、夜が終わるのが早いな」
その直後だった。
空が一気に明るくなる。
数秒前まで夜だったとは思えない。
眩しい光が地面を照らし、崩壊都市の輪郭を浮かび上がらせた。
ルビィはフェザーを抱き上げ、そのままバイクに跨る。
「確かに」
「いつもより夜が短かったですね」
そして仲間たちを見回した。
「明るいうちに先を急ぎましょう」
フェザーが腕の中で小さく鳴く。
「きゅっ」
昼の訪れとともに、一行は再び走り出した。
◆前線基地周辺
荒野を。
一つの物体が移動していた。
アストラの手首。
人間のものによく似た機械の手。
五本の指が蜘蛛の脚のように地面を掴む。
カサ。
カサ。
カサ。
静かに前進していく。
目指す先は。
前線基地だった。
◆前線基地・監視塔
見張りの兵士が双眼鏡を覗いていた。
そして。
「敵影を確認!」
声を上げる。
その声に。
近くにいた兵士たちが振り返った。
「何だ?」
「敵か?」
ちょうど基地へ戻ってきていた第三部隊隊長、オースティンが足を止めた。
「敵は何体だ?」
見張りの兵士は困惑した顔になる。
「それが……」
一拍。
「蜘蛛型サイボーグかと思ったんですが」
「違います」
オースティンが眉をひそめる。
「じゃあ何だ?」
兵士が答えた。
「手首です」
沈黙。
「……は?」
「手首が一つだけです」
再び沈黙。
そして。
オースティンは吹き出した。
「なんだそりゃ」
ライフルを肩へ担ぐ。
「クレアさんには連絡するな」
見張りの兵士が目を瞬かせる。
「え?」
オースティンが続ける。
「手首一個だろ」
一拍。
「それくらい俺らが何とかしてやる」
そして振り返る。
「エディ、手伝え」
近くにいた口髭の若い兵士が立ち上がった。
「え?俺っすか?」
オースティンは歩き出す。
「いいから、ついて来い」
二人は基地の外へ。
ゆっくりと近づいてくる手首へ向かって――。
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