✮蒼き銀狼②
更新日を変更のお知らせ。
来週から
【毎週平日の月曜と金曜の朝6時】
次は24日月曜、28日金曜、31日月曜と更新していきます。
9月以降も週2話更新になります。
時間は変わらず、朝6時更新です。
今後ともよろしくお願いします。
◆崩壊都市外縁部・夜
――パンッ!!――パンッ!!
銃声が夜の街へ響く。
一体。また一体。
青いハウンドが倒れていく。
その中心にいたのはアリスベルだった。
闇の中を駆ける。
撃つ。
倒す。
止まらない。
青いハウンドが飛び掛かる。
だが。
――バンッ!!
頭部を撃ち抜かれ、そのまま地面へ転がった。
すでに周囲にはハウンドの残骸が幾つも転がっている。
アリスベルは次の獲物へ向かった。
その少し離れた場所。
――ブォォォォォォン!!
二台のセグダが群れの中を駆け抜ける。
テストとケイトだった。
黒いハウンドが飛び掛かる。
テストは身体を傾けながら拳銃を抜いた。
――バンッ!!
頭部を撃ち抜く。
同時に。
ケイトの蹴りが赤いハウンドを吹き飛ばした。
「右だ!」
テストが叫ぶ。
「命令するな!」
ケイトも怒鳴る。
しかし。
文句を言いながらも、きっちり右へ進路を変えた。
ハウンドの隊列が乱れる。
連携が崩れる。
二台のセグダは戦場を縦横無尽に切り裂いていた。
一方。
後方。
サンチェスとアシュリーが射撃を続けていた。
――ダダダダダッ!!
――パンッ!!
黒いハウンドが倒れる。
赤いハウンドが転がる。
青いハウンドの頭部が吹き飛んだ。
サンチェスが息を吐く。
「かなり減ったな」
一拍。
「残り四〇くらいか?」
アシュリーが苦笑する。
「ほとんどアリスベルさんが倒してますけどね」
サンチェスも苦笑した。
「違いねぇ」
そして。
サンチェスが反対側を見る。
「それより――」
指を向けた。
「あのサイモンって異星人」
一拍。
「怪物だな」
サイモンは一人で二体の赤いレヴロストを相手にしていた。
押されている。
だが倒れない。
拳を避け。
蹴りを受け流し。
反撃を繰り返している。
普通ならとっくに死んでいる状況だった。
アシュリーが別の方向に視線を向ける。
「レオさんは……銀狼と」
サンチェスが顔をしかめた。
「あの銀狼野郎か」
一拍。
「前線基地に来た時も、婆さまと睨み合ってたな」
◆崩壊都市外縁部・中央
レオと銀狼。
互いに動かない。
視線だけが交差していた。
その静寂を破ったのはレオだった。
「サイモン!」
大声で叫ぶ。
「一人で大丈夫か!?」
離れた場所から返事が来る。
「大丈夫じゃねぇ!」
――ガンッ!!
サイモンがレヴロストの拳を受け流した。
「こいつら速すぎる!」
一拍。
「二体同時は辛ぇぞ!!」
レオは小さく笑う。
「喋れてるなら、まだ大丈夫だな」
一拍。
「俺は少し時間がかかりそうだ」
サイモンが叫ぶ。
「えー!?聞こえない!」
「今なんて言ったー!?」
だが。
レオは返事をしない。
視線は銀狼から一瞬たりとも外していなかった。
そして。
拳銃を構える。
――パンッ!!
銃声。
銀狼は身体を少し傾ける。
それだけ。
弾丸は頬を掠めることすらできなかった。
レオの目が細まる。
続けて二発。
――パンッ!!
――パンッ!!
銀狼は歩くように避ける。
無駄がない。
まるで最初から弾道を知っているかのようだった。
そのまま。
レオが距離を詰める。
そして。
――ドォン!!
鋭い蹴り。
だが。
銀狼は紙一重で回避した。
レオが低く呟く。
「速いな」
一拍。
「ダイヤと模擬戦してるみたいだ」
再び踏み込む。
拳。
肘。
蹴り。
フェイント。
連撃。
しかし。
当たらない。
銀狼は全て避ける。
最低限の動きだけで。
そして。
不意に。
銀狼が動いた。
――ガッ!!
牙が迫る。
「ッ!?」
レオが反射的に身体を捻る。
牙が腕の横を通り過ぎた。
だが。
足場が悪い。
体勢が崩れる。
(まずい――)
その瞬間。
銀狼が目の前にいた。
蒼い瞳。
鋭い牙。
完全な好機。
だが。
銀狼は噛みつかなかった。
一歩。
後ろへ下がる。
その直後。
――パンッ!!
――パンッ!!
二発の銃声。
レオがいた場所へ弾丸が突き刺さった。
後方。
サンチェスとアシュリーだった。
「レオ!」
サンチェスが叫ぶ。
「大丈夫か!?」
「ああ」
レオは立ち上がる。
「助かった」
そして。
銀狼を見る。
(なんだ……)
一拍。
(今の動き)
(援護射撃に気付いていたのか……?)
普通のハウンドではない。
そんなことは分かっていた。
だが。
今ので確信に変わった。
こいつは。
考えている。
そのときだった。
銀狼が顔を上げる。
そして。
遠吠え。
――オォォォォォォン!!
夜の街へ響き渡った。
直後。
異変が起こる。
アリスベルやテストたちと戦っていたハウンド。
サンチェスたちへ向かっていたハウンド。
それらが一斉に動きを変えた。
方向転換。
まるで命令を受けた兵士のように。
全てが。
レオへ向かう。
「なんだ!?」
テストが目を見開く。
群れが突然離れていく。
ケイトも気付いた。
そして叫ぶ。
「バカ!」
「狙いはあっちだ!!」
「追うぞ!!」
二台のセグダが急旋回した。
その頃。
レオの背後。
黒いハウンド。
赤いハウンド。
青いハウンド。
合計三五体。
凄まじい勢いで迫っていた。
レオは振り返る。
そして。
再び銀狼を見る。
銀狼は動かない。
ただ見ている。
まるで。
指揮官のように。
レオは眉をひそめた。
「そうか」
「お前は指揮官タイプか」
その瞬間。
別方向から凄まじい速度で駆ける影があった。
アリスベルだった。
銀狼も気付く。
蒼い瞳がわずかに細められる。
夜の戦場。
新たな局面が始まろうとしていた――。
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