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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼14万PV達成】【平日月曜と金曜の朝6時更新】  作者: 準
【間章肆】宝石(星)の系譜/停戦の誘いと銀の牙

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205/218

✮蒼き銀狼②

更新日を変更のお知らせ。

来週から

【毎週平日の月曜と金曜の朝6時】

次は24日月曜、28日金曜、31日月曜と更新していきます。

9月以降も週2話更新になります。

時間は変わらず、朝6時更新です。


今後ともよろしくお願いします。

◆崩壊都市外縁部・夜

 ――パンッ!!――パンッ!!

 銃声が夜の街へ響く。

 一体。また一体。

 青いハウンドが倒れていく。

 その中心にいたのはアリスベルだった。


 闇の中を駆ける。

 撃つ。

 倒す。

 止まらない。


 青いハウンドが飛び掛かる。

 だが。

 ――バンッ!!

 頭部を撃ち抜かれ、そのまま地面へ転がった。

 すでに周囲にはハウンドの残骸が幾つも転がっている。

 アリスベルは次の獲物へ向かった。


 その少し離れた場所。

 ――ブォォォォォォン!!

 二台のセグダが群れの中を駆け抜ける。

 テストとケイトだった。

 黒いハウンドが飛び掛かる。


 テストは身体を傾けながら拳銃を抜いた。

 ――バンッ!!

 頭部を撃ち抜く。


 同時に。

 ケイトの蹴りが赤いハウンドを吹き飛ばした。


「右だ!」

 テストが叫ぶ。


「命令するな!」

 ケイトも怒鳴る。


 しかし。

 文句を言いながらも、きっちり右へ進路を変えた。


 ハウンドの隊列が乱れる。

 連携が崩れる。

 二台のセグダは戦場を縦横無尽に切り裂いていた。


 一方。

 後方。

 サンチェスとアシュリーが射撃を続けていた。

 ――ダダダダダッ!!

 ――パンッ!!

 黒いハウンドが倒れる。

 赤いハウンドが転がる。

 青いハウンドの頭部が吹き飛んだ。

 サンチェスが息を吐く。

「かなり減ったな」

 一拍。


「残り四〇くらいか?」


 アシュリーが苦笑する。

「ほとんどアリスベルさんが倒してますけどね」


 サンチェスも苦笑した。

「違いねぇ」


 そして。

 サンチェスが反対側を見る。

「それより――」

 指を向けた。

「あのサイモンって異星人」

 一拍。


「怪物だな」


 サイモンは一人で二体の赤いレヴロストを相手にしていた。

 押されている。

 だが倒れない。

 拳を避け。

 蹴りを受け流し。

 反撃を繰り返している。

 普通ならとっくに死んでいる状況だった。


 アシュリーが別の方向に視線を向ける。

「レオさんは……銀狼と」


 サンチェスが顔をしかめた。

「あの銀狼野郎か」

 一拍。


「前線基地に来た時も、婆さまと睨み合ってたな」


◆崩壊都市外縁部・中央

 レオと銀狼。

 互いに動かない。

 視線だけが交差していた。


 その静寂を破ったのはレオだった。

「サイモン!」

 大声で叫ぶ。

「一人で大丈夫か!?」


 離れた場所から返事が来る。

「大丈夫じゃねぇ!」

 ――ガンッ!!

 サイモンがレヴロストの拳を受け流した。

「こいつら速すぎる!」

 一拍。


「二体同時は辛ぇぞ!!」


 レオは小さく笑う。

「喋れてるなら、まだ大丈夫だな」

 一拍。


「俺は少し時間がかかりそうだ」


 サイモンが叫ぶ。

「えー!?聞こえない!」

「今なんて言ったー!?」


 だが。

 レオは返事をしない。

 視線は銀狼から一瞬たりとも外していなかった。


 そして。

 拳銃を構える。

 ――パンッ!!

 銃声。


 銀狼は身体を少し傾ける。

 それだけ。

 弾丸は頬を掠めることすらできなかった。


 レオの目が細まる。

 続けて二発。

 ――パンッ!!

 ――パンッ!!

 銀狼は歩くように避ける。

 無駄がない。

 まるで最初から弾道を知っているかのようだった。


 そのまま。

 レオが距離を詰める。

 そして。

 ――ドォン!!

 鋭い蹴り。


 だが。

 銀狼は紙一重で回避した。


 レオが低く呟く。

「速いな」

 一拍。


「ダイヤと模擬戦してるみたいだ」


 再び踏み込む。

 拳。

 肘。

 蹴り。

 フェイント。

 連撃。


 しかし。

 当たらない。


 銀狼は全て避ける。

 最低限の動きだけで。


 そして。

 不意に。

 銀狼が動いた。

 ――ガッ!!

 牙が迫る。


「ッ!?」

 レオが反射的に身体を捻る。

 牙が腕の横を通り過ぎた。


 だが。

 足場が悪い。

 体勢が崩れる。

(まずい――)


 その瞬間。

 銀狼が目の前にいた。

 蒼い瞳。

 鋭い牙。

 完全な好機。


 だが。

 銀狼は噛みつかなかった。

 一歩。

 後ろへ下がる。


 その直後。

 ――パンッ!!

 ――パンッ!!

 二発の銃声。


 レオがいた場所へ弾丸が突き刺さった。

 後方。

 サンチェスとアシュリーだった。

「レオ!」

 サンチェスが叫ぶ。

「大丈夫か!?」


「ああ」

 レオは立ち上がる。

「助かった」


 そして。

 銀狼を見る。

(なんだ……)

 一拍。


(今の動き)

(援護射撃に気付いていたのか……?)


 普通のハウンドではない。

 そんなことは分かっていた。

 だが。

 今ので確信に変わった。

 こいつは。

 考えている。

 そのときだった。


 銀狼が顔を上げる。

 そして。

 遠吠え。

 ――オォォォォォォン!!

 

 夜の街へ響き渡った。

 直後。

 異変が起こる。


 アリスベルやテストたちと戦っていたハウンド。


 サンチェスたちへ向かっていたハウンド。


 それらが一斉に動きを変えた。

 方向転換。

 まるで命令を受けた兵士のように。

 全てが。

 レオへ向かう。


「なんだ!?」

 テストが目を見開く。

 群れが突然離れていく。


 ケイトも気付いた。

 そして叫ぶ。

「バカ!」

「狙いはあっちだ!!」

「追うぞ!!」


 二台のセグダが急旋回した。

 その頃。

 レオの背後。

 黒いハウンド。

 赤いハウンド。

 青いハウンド。

 合計三五体。

 凄まじい勢いで迫っていた。


 レオは振り返る。

 そして。

 再び銀狼を見る。


 銀狼は動かない。

 ただ見ている。

 まるで。

 指揮官のように。


 レオは眉をひそめた。

「そうか」

「お前は指揮官タイプか」


 その瞬間。

 別方向から凄まじい速度で駆ける影があった。


 アリスベルだった。


 銀狼も気付く。

 蒼い瞳がわずかに細められる。

 夜の戦場。

 新たな局面が始まろうとしていた――。



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