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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼14万PV達成】【平日月曜と金曜の朝6時更新】  作者: 準
【間章肆】宝石(星)の系譜/停戦の誘いと銀の牙

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203/218

✮蒼き銀狼①

更新


月曜〜土曜の朝6時に新エピソード1話


※日曜・祝日はお休みです。

◆崩壊都市外縁部・夜

 ――ウゥゥゥゥゥゥゥゥン!!

 サイレンが鳴り響く。

 闇に染まった街。


 そして。

 瓦礫の向こうから、無数の赤い光が灯った。

 ハウンド。

 ハウンド。

 ハウンド。

 群れだった。

 さらに後方。

 二体の赤いレヴロスト。

 そして銀色の毛並みが混じる異形のハウンド。


 サンチェスが顔を引きつらせる。

「おいおいおい……」

 一拍。


「数、多くねぇか?」


 アシュリーも思わず息を呑んだ。

「こんなの初めて見ました……」


 テストは周囲を見渡す。

「かなりの数だな」


 サイモンが肩を回した。

「アストラがいないと正確な数が分からねぇな」

 数秒後。


 アリスベルが静かに口を開く。

「黒いハウンド、三三」

「赤いハウンド、二八」

「青いハウンド、二六」

「銀混じりのハウンド、一」

「赤いレヴロスト、三」


 沈黙。


 サイモンが感心したように笑う。

「すげぇな、アストラみてぇだ」

「さすが人造人間」


 サンチェスが絶望した顔になる。

「待て待て待て」

「青が二六もいるのかよ」


 その瞬間。

 ケイトが叫んだ。

「青には気を付けろ!」

 一拍。


「噛まれたらウイルス感染だ!」

「絶対に噛まれるな!」


 アシュリーの表情が強張る。


 テストがケイトを見る。

「ハウンドは連携してくる」

 一拍。


「二台のセグダで群れをかき乱す」

「連携を崩すぞ」

 そして。

「ケイトもセグダに乗れ」


 ケイトの眉が跳ね上がった。

「私に命令するな!」

 即座に言い返す。

 だが。

 ケイトはそのままセグダへ跨った。

「勘違いするな」

「命令されたからじゃない」

 一拍。


「たまたま、お前と私の考えが一致しただけだ」


 テストは苦笑いをする。

「はいはい」

「分かりましたよ、刑事さん」


 ――バゴッ。

「痛っ!?」

 ケイトの蹴りがテストに容赦なく入った。

「また転んだりして迷惑かけるなよ、オジサン」


 テストが顔をしかめる。

「相変わらずだな……」


 だが。

 その空気を断ち切るように。

 アリスベルが前へ出た。

「配置を伝える」

 全員の視線が集まる。

「サンチェスとアシュリーは後方援護」

「ハウンドを優先的に排除しろ」


 二人が頷く。

「了解!」

「分かりました!」


「セグダ二台は群れへ突入」

「連携を崩せ」

 ケイトとテストが同時に頷く。


「異星人の二人」

 レオとサイモンを見る。

「後方の赤いレヴロスト二体と銀狼の担当を」

 一拍。


「蒼い銀狼には特に注意しろ」


 レオが静かに頷く。

「分かった」

 サイモンも頷く。


 そして。

 アリスベルは前方を見据える。

「私は前の赤いレヴロストを瞬殺する」

 一拍。


「その後、青いハウンドを優先的に処理する」


 サイモンが苦笑した。

「瞬殺って簡単に言うな」


 レオが低く呟く。

「それだけ自信があるんだろう」


 アリスベルは何も答えなかった。

 ただ。

 静かに歩き出す。

 赤いレヴロストへ向かって。

 そして――。

「行くぞ!」


 戦闘が始まった。

 アリスベルが加速する。

 ――ドンッ!!

 地面が砕けた。

 一瞬で距離を消す。


 赤いレヴロストが反応する。

 だが遅い。

 拳。

 肘。

 掌底。

 二発。

 三発。

 凄まじい打撃がヘルメットへ叩き込まれる。

 ――バキィィッ!!

 ヘルメットが砕けた。


 次の瞬間。

 アリスベルの拳銃が火を吹く。

 ――バンッ!!

 銃弾が頭部を撃ち抜いた。

 赤いレヴロストはその場へ崩れ落ちる。

 完全停止。


 文字通りの瞬殺だった。

「うわぁ……」

 アシュリーが思わず呟く。

「相変わらず無茶苦茶ですね……」


 サンチェスも苦笑する。

「瞬殺するって言ってたが」

 一拍。


「本当に瞬殺しやがった」


 その間にも。

 ――バシュッ!!

 ――ダダダダダッ!!

 二人の銃弾がハウンドを撃ち抜いていく。

 黒いハウンドが倒れる。

 青いハウンドが吹き飛ぶ。

 だが。

 数が多い。


「右です!」

 アシュリーが叫ぶ。


「分かってる!」

 サンチェスが即座に射撃。


 飛び掛かってきた赤いハウンドが倒れる。


 そして。

 別方向。

 一方。

 テストとケイトのセグダは、ハウンドの群れの中を縦横無尽に駆け抜けていた。

 ――ブォォォォォン!!

 二台のセグダが高速で走り回る。

 群れを横切り、隊列を切り裂き、連携を取ろうとしていたハウンドたちを次々と分断していく。


「左へ寄せろ!」

 テストが怒鳴った。


「命令するな!」

 ケイトも即座に怒鳴り返す。

 だが。

 文句を言いながらも、きっちり左へ進路を変えた。


 その様子を見て、テストが口元を吊り上げる。

「なんだ、意外と素直じゃねぇか」


 ケイトが鋭く睨みつけた。

「聞こえてるぞ!」


 そんなやり取りの直後だった。

 一体のハウンドが、横合いからケイトへ飛び掛かる。

 だが――。

 ――ドゴッ!!

 ケイトの蹴りが炸裂。

 ハウンドは悲鳴を上げる間もなく吹き飛び、地面を転がった。

 ケイトは振り返りもせず叫ぶ。

「テスト! お前、もっと働け!」


「十分働いてるだろ!」

 即座に返ってくる怒鳴り声。


 その間にも二台のセグダは走り続ける。

 ハウンドの群れをかき乱し、戦場を縦横に切り裂いていく。

 夜の戦場には、エンジン音と怒鳴り声が絶え間なく響いていた。


 二台のセグダが動く。

 ――ブォォォォォォン!!

 テストとケイトがハウンドの群れへ突入する。。


 そして。

 反対側。

 レオとサイモンも動き出した。

 レオが低く言う。

「銀狼もウイルスを保有している可能性がある」

 一拍。


「噛まれるなよ」


 サイモンは笑う。

「ああ」

 サイモンは視線を前方へ向けたまま続ける。

「さっきのアリスベル、見ただろ?」

 一拍。


「あれがレヴロスト攻略の基本だ」

 低く続ける。

「まずヘルメットを破壊する」


 レオも頷いた。

「ああ」

 そしてサイモンへ視線を向ける。

「サイモン、バトルスーツを起動しろ」

「今回は数が多い。気を抜くなよ」


 サイモンが口元を吊り上げる。

「ああ、わかってる」


 二人は同時にバトルスーツのスイッチを入れた。

 ――バチッ。

 青白い電流が全身を駆け巡る。

 

 サイモンは拳を握り締めた。

「行くぞ!」

 大声で叫ぶ。

「まずはレヴロストを一体減らす!」


 次の瞬間。

 サイモンは地面を強く蹴った。

 ――ドンッ!!

 アスファルトを砕きながら、一気にレヴロストとの距離を詰める。


 その後ろを、レオも迷いなく続いた。

そのときだった。

 もう一体の赤いレヴロストが腕を持ち上げる。


 嫌な予感。

 レオの目が細まった。

「サイモン!止まれ!」


 ――バシュゥゥゥゥゥッ!!

 赤い光線。

 腕部レーザー。


 一直線にサイモンへ向かう。

「ッ!!」

 サイモンが反射的に横へ飛んだ。


 レーザーが頬を掠めた。

 熱風。

 衝撃。

 背後の瓦礫が爆散する。

 ――ドゴォォォォォン!!


 サイモンは地面を転がりながら立ち上がった。

「危ねぇ!!」

 一拍。


「マジでヤバかったぞ今の!!」


 レオが低く言う。

「あっちは俺が引き付ける」

「サイモン」


「あ?」


「お前はもう一体の頭を攻撃しろ」


 サイモンが笑う。

「了解」

 拳を握る。


 そして。

 二人が同時に動こうとした――そのときだった。


 不意に。

 何かが降り立つ。


 ――ドスン。

 重い着地音。

 レオの進路を塞ぐように。

 蒼い瞳が闇に浮かんだ。

 青に銀色の毛並みが混じる巨大な体。

 異様な威圧感。

 普通のハウンドとは明らかに違う。

 蒼き銀狼だった。


 レオは足を止める。

 銀毛のハウンドも動かない。

 互いに見据える。

 数秒。


 静寂が流れた。


 やがて。

 銀狼がゆっくりと牙を見せる。

 ――グルルルルル……。


 レオは静かに銃を構えた。

「なるほど」

 一拍。


「お前が相手か」


 夜の闇の中。

 蒼き銀狼の瞳が妖しく輝いていた――。


 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!


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