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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼14万PV達成】【平日月曜と金曜の朝6時更新】  作者: 準
【間章肆】宝石(星)の系譜/停戦の誘いと銀の牙

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202/219

✮赤いレヴロスト

更新


月曜〜土曜の朝6時に新エピソード1話


※日曜・祝日はお休みです。

 ――B班。

◆荒野地帯

 ――ブォォォォォォン……。

 一台のセグダと三台のバイクが荒野を駆け抜ける。

 目指す先は前線基地。


 アイオーン・ゼロとの会談を終えたB班は、クレアの元へ向かっていた。


 先頭を走るアイダが言う。

「このまま順調なら――」

 その瞬間だった。


 ――パンッ!!

「ッ!?」


 アイダが咄嗟に身体を捻る。

 高エネルギー弾が頬を掠めた。

 背後の岩が爆散する。


「敵襲だ!」

 アイダが叫ぶ。

 全員が急停止した。

 砂埃が舞う。


 そして。

 瓦礫の上へ二つの影が降り立つ。

 赤い装甲。

 赤く輝く光学眼。

 レヴロスト。


 だが――。

 見たことのない個体だった。


「レヴロスト……?」

 結依が呟く。


 アイダの顔が険しくなる。

「ふざけるな」

 一拍。


「停戦じゃなかったのかよ!!」

 怒声と共に地面を蹴る。

 アイダが一直線に突撃した。

 ハンマーを握る。


 しかし。

 赤いレヴロストは消えた。


「なっ――」


 次の瞬間。

 アイダの横に。


 ――ドゴォォォン!!

 重い蹴りがアイダへ叩き込まれる。

 アイダの身体が吹き飛んだ。

 瓦礫を何枚も突き破る。


「アイダさん!」

 ルビィが叫ぶ。


 アストラが即座に駆け寄る。

『生体反応確認』

 一拍。


『生存しています』

『意識を喪失しているだけです』


 ダイヤが目を細めた。

「なかなか速いね」

 迫り来る二体の赤いレヴロストを見据えながら、素早く指示を飛ばす。

「アストラ、アイダとフェザーをお願い」


『了解しました』


 結依もレヴロストの動きを追いながら頷いた。

「普通のレヴロストじゃない……」


 ルビィたちは同時にバトルスーツのスイッチを入れる。

 ――バチッ。

 青白い電流が全身を駆け巡る。


 次の瞬間。

 戦闘が始まった。


 ダイヤが真剣な声で告げる。

「一体は私が引きつける!」

 一拍。


「その間に、ルビィと結依で確実にもう一体を仕留めて!」


「「了解!」」


 返事と同時に、それぞれが駆け出した。

 ダイヤは一体の赤いレヴロストへ。

 ルビィと結依は、もう一体へ向かって一直線に突っ込んでいく。

 赤い怪物たちもまた、迎え撃つように動き出した。


 赤い装甲が陽光を反射する。

 次の瞬間。

 ――ドンッ!!

 レヴロストが地面を砕きながら突進した。


「速い!」

 結依が叫ぶ。

 鋼鉄の拳が唸りを上げる。

 結依は身を捻って回避。

 拳は背後のコンクリート壁へ突き刺さった。

 ――爆砕。

 壁面が吹き飛ぶ。


 結依が苦く笑った。

「まともに食らったらヤバかった!」


 ルビィが駆け込む。

 電流を纏った拳。

 全体重を乗せた一撃。

 ――ドォン!!

 赤いレヴロストの胴へ直撃。

 だが。

 わずかによろめいただけ。


「硬いっ!?」

 ルビィの表情が歪む。


 その瞬間。

 レヴロストの肘打ち。

 ――ガンッ!!

 ルビィが吹き飛ばされた。


「ルビィ!」

 結依が飛び込む。

 回転しながら放つ跳び蹴り。

 ――バキィ!!

 頭部へ命中。


 しかしレヴロストは首を傾けただけだった。

 まるで効いていない。


「嘘でしょ……!」

 結依の顔が強張る。


 赤いレヴロストが腕を振るう。

 結依は後方へ飛ぶ。

 その直後。

 さっきまでいた場所の地面が砕け散った。


『レヴロストの装具を確認』

 アストラの声。

『電流対策が施されている可能性があります』

『バトルスーツの電撃攻撃の効果は限定的です』


 ルビィが立ち上がる。

 額から血が流れていた。


『対処法を提案します』

『頭部装具の破壊を推奨』


 結依が叫ぶ。

「アストラ!」

「アイダさんのハンマー!」


『了解』

 空中を黒い影が飛ぶ。

 アストラの投擲。

 ハンマーが一直線に飛来した。


 その間。

 結依が前へ出る。

「こっちだ!!」

 挑発。

 レヴロストが反応する。

 標的が結依へ切り替わった。


 拳。

 蹴り。

 赤いレヴロストの連続攻撃。


 結依は紙一重で回避し続ける。

 風圧が頬を裂く。

 少しでも遅れれば致命傷。


「結依!」

 ルビィが叫ぶ。

 飛来したハンマーを掴む。


 柔らかい柄が大きくしなる。

 ルビィは全身を捻った。

 遠心力。

 加速。

 さらに加速。


「これでぇぇぇぇぇぇっ!!」

 ――ゴォォォォン!!

 轟音。


 ハンマーがレヴロストの頭部へ叩き込まれる。

 装甲に亀裂。


 さらにもう一撃。

 ――バキィィィン!!

 ヘルメットが砕け散った。

 赤いレヴロストが初めて怯む。


「今!!」

 ルビィが叫ぶ。


 結依はすでに照準を合わせていた。

 呼吸。

 一つ。

 引き金を引く。

 ――パンッ!!

 銃声。


 弾丸が露出した頭部を貫く。

 一瞬の静寂。


 そして。

 赤いレヴロストの身体が力を失った。

 巨体がゆっくりと傾き――。

 ――ズシン。

 地面へ崩れ落ちる。


「やった!」

 ルビィが拳を握った。


 結依も息を吐く。

 そして、二人は振り返る。

 ダイヤを見る。


 驚いた。

 赤いレヴロストの攻撃が当たらない。


 拳。

 蹴り。

 突進。

 全てを紙一重で避けている。

 まるで未来が見えているようだった。


「なんで避けられるの……?」

 結依が呆然と呟く。


 ルビィも同意した。

「私なら三回くらいもらってるよ」


 その頃。

 アイダがゆっくりと目を開いた。

「……ぐっ」

 鈍い痛みに顔をしかめながら、上半身を起こす。


 その横で、アストラがフェザーを抱きかかえたまま立っていた。

『目を覚ましましたか』


 一拍。

『ご安心ください。うちの船長と副長が、赤いレヴロストを一体撃破しました』


 アイダが目を瞬かせる。


『それと――』


 アストラはアイダの腰のホルダーへ視線を向ける。

『緊急対応のため、腰部装備のハンマーをお借りしました』

『事後承諾になりますが、ご了承ください』


 フェザーが腕の中で「きゅっ」と小さく鳴いた。


 アイダはダイヤを見て呆然とする。

「は?」


 赤いレヴロストを翻弄している。


 アイダが苦笑した。

「なるほどな」

 一拍。


「あの婆さま化物だ」

「アイオーン・ゼロが興味持つのも分かる」


 そのとき。

 ――ウゥゥゥゥゥゥン!!

 空気を震わせるサイレンの音。

 全員が空を見上げた。


 夜の到来を告げる音だった。

 昼の光が消えていく。

 世界が急速に暗くなる。


 アストラの声が響く。

『警告』

『多数反応を確認』

 一拍。


『推定六〇』


 結依が叫ぶ。

「ハウンド!?」


『否』

『全長約四〇センチ』

『高速接近中』


 ダイヤの顔から血の気が引いた。

「……え?」


『虫型サイボーグと推定』


 ダイヤが叫ぶ。

「いやぁぁぁぁぁ!!」

「絶対あの虫だぁぁぁ!!」


 その一瞬。

 ダイヤの集中が切れた。

 赤いレヴロストは見逃さない。

 ――ドゴォォォン!!

 蹴りが腹部へ直撃。

 ダイヤが吹き飛んだ。

「きゃあああっ!!」

 ダイヤの身体が弾き飛ばされ、勢いよく地面を転がる。


「おばあちゃん!」

 ルビィが思わず叫んだ。


 その様子を見ていた結依が目を丸くする。

「えっ……」

 一拍。


「私、ダイヤさんがまともに攻撃を受けるの、初めて見たかもしれない……」


 それほどまでに、ダイヤは今まで敵の攻撃を寄せつけていなかった。


 そして。

 暗闇の向こうから。

 カサ……

 カサカサ……

 カサカサカサカサ……

 無数の足音が聞こえ始める。


 夜が来た。

 獣たちの時間が始まろうとしていた――。



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