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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼14万PV達成】【平日月曜と金曜の朝6時更新】  作者: 準
【間章肆】宝石(星)の系譜/停戦の誘いと銀の牙

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201/218

✮狩人たちの黄昏

更新


月曜〜土曜の朝6時に新エピソード1話


※日曜・祝日はお休みです。

 ――A班。

◆海へ続く街道

 ――ブォォォォォォン……。

 五台のセグダが荒れた道路を駆け抜ける。


 先頭を走るアリスベルの隣へ、ケイトが並んだ。

「そういえば」

 ケイトが後方へ声を飛ばす。

「お前らは、銀色のハウンドと戦ったのか?」


 テストが答えた。

「ああ」

 一拍。


「前線基地を襲撃したハウンドの群れのボスだった」


 サンチェスが続ける。

「ただな」

「あいつ自身は戦ってねぇ」

「おそらくだか、ハウンドの群に指示を出してたんだよ」

 サンチェスは顔をしかめた。

「しかも頭が切れる」

 一拍。


「ライフルの射線を理解してやがった」

「撃たれない場所を選んで立ってたんだ」


 アシュリーが驚く。

「そんなことまで……」


 ケイトは小さく息を吐いた。

「やっぱりか」


 今度はアシュリーが聞く。

「お姉ちゃんたちは?」

「その銀狼と戦ったんですか?」


 ケイトは首を横へ振った。

「いや」

「戦ってない」

 一拍。


「赤いレヴロスト二体と銀狼一体」

「その三体で、黒いレヴロストを狩っていた」


 テストが眉をひそめる。

「昼間にか?」


「ああ」

 ケイトが頷く。


 するとアリスベルが静かに言った。

「ネメシスによるアイオーン狩りが、昼間にも行われるようになったということだ」


 その言葉に空気が重くなる。

 今まで夜だけだった脅威。

 それが変わり始めている。


 そのときだった。

 レオが前方を見る。

「止まれ」

 一瞬で全員が警戒した。

 セグダが速度を落とす。


「どうした?」

 サイモンが聞く。


 レオは前方を指差した。

「あれを見ろ」


◆崩壊都市外縁部

 瓦礫の向こう。

 そこでは戦闘が起きていた。

 三体の黒いレヴロスト。


 そして。

 二体の赤いレヴロスト。


「……いたな」

 ケイトが呟く。


 全員はセグダを停める。

 少し離れた場所から様子を見る。


 黒いレヴロストの左腕から、レーザーが放たれる。


 だが。

 赤いレヴロストは、その光線を異常な速度で回避した。

 ――ズガァァァン!!

 地面が爆ぜる。


 次の瞬間には、赤いレヴロストは懐へ飛び込んでいた。

 そして――。


 黒いレヴロストの首が宙を舞う。


 さらにもう一体へ向き直る。

 わずかな隙。

 ヘルメットのヒビ割れへ、正確無比な銃弾が叩き込まれた。


 黒いレヴロストは力を失い、その場へ崩れ落ちる。


 残る一体。

 赤いレヴロストは間髪入れず踏み込んだ。


 拳。

 肘。

 蹴り。

 凄まじい連撃が叩き込まれる。

 防御する暇すら与えない。

 最後の一撃が胸部を貫き、黒いレヴロストは吹き飛ばされた。

 そのまま動かなくなる。


 圧倒的だった。

 わずか数分。

 三体の黒いレヴロストは、すべて地面へ転がっていた。


 そこにあったのは戦いではない。

 ――戦闘というより、処理に近かった。


「強ぇな……」

 サンチェスが思わず呟く。


 だが。

 そのときだった。

 戦闘を終えた赤いレヴロストがこちらを見る。

 正確には。

 アリスベルを。


 沈黙。


 奇妙な緊張が走る。

 そして。

 倒れたはずの黒いレヴロストが動いた。


「ッ!!」

 レオの目が見開かれる。


 黒いレヴロストが最後の力で少し変わった形の銃を腰から引き抜いた。


 狙いは。

 赤いレヴロストの頭部。

 ――バシュゥゥゥゥッ!!


 赤いレヴロストが反応する。

 間一髪。

 身を捻って回避。

 だが避け切れない。

 ヘルメットの一部が熱で溶けた。


 レーザーはそのまま後方へ。

 廃墟ビルへ直撃する。

 一秒後。

 ――ドゴォォォォォォォォン!!

 巨大な爆発。

 次の瞬間、ビルの上層部が吹き飛んだ。

 爆発的な衝撃波が周囲へ広がり、瓦礫と粉塵を巻き上げる。


「えっ!?」

 アシュリーが目を見開いた。


「うそだろ……!?」

 サンチェスも思わず絶句する。


「おいおい……」

 ケイトの表情も険しくなった。

 あまりにも桁違いの破壊力。


 だが。

 アリスベルとレオだけは冷静だった。


 レオは舞い上がる粉塵の向こうを見つめながら言う。

「あの銃か」

 一拍。


「前に来たとき、威嚇で使っていたやつだな」


 サイモンも頷く。

「ああ、間違いない」

 崩れ落ちるビルを見上げながら、低く続けた。

「改めて見ると、とんでもねぇ威力だな……」


 爆風の中。

 もう一体の赤いレヴロストが動く。

 ――バシュッ!!

 短い銃声。

 黒いレヴロストの頭部が吹き飛んだ。


 完全停止。

 戦闘終了だった。


 ケイトがアシュリーを見る。

「アシュリー」


「はい!」


「少し下がって」

「サンチェスと援護射撃に回って」


 アシュリーが頷く。

「分かりました」


 そして。

 ケイトは前を見る。

「アリスベル」

 一拍。


「殺るよ」


 アリスベルは何も言わない。

 静かにセグダを降りた。

 そのまま赤いレヴロストへ向かう。


 ケイトも続く。


 レオが振り返った。

「サイモン」


「おう」


「サンチェスとアシュリーの盾になれ」


「任せろ」


 レオは視線をテストへ向けた。

「テスト」


「ああ」


 二人の間に、余計な言葉は必要なかった。

「俺たちで一体を抑える」


 テストは無言で頷く。


 だが――。

 そのときだった。

 ヘルメットの一部が溶解していた赤いレヴロストが、不意に後退する。

 一歩。

 二歩。

 そして次の瞬間。

 ――消えた。

 凄まじい速度で、その場から離脱したのである。


「逃げた……?」

 アシュリーが呆然と呟く。


 レオは視線を追いながら答えた。

「ヘルメットが損傷していた」

「戦闘継続は不利と判断したんだろう。撤退だ」


 サイモンが肩を回しながら息を吐く。

「一体は逃がしたか」

 そう言って、残されたもう一体の赤いレヴロストへ目を向ける。

「だが……あいつは違うみたいだな」

「一体で、俺たち七人を相手にするつもりか?」


 その瞬間だった。

 ――ウゥゥゥゥゥゥゥゥン!!

 サイレンが鳴り響く。


 全員の表情が変わる。

 世界が一瞬で闇へ染まる。


 そして。

 前方の瓦礫の向こうから。

 無数の赤い光が灯った。

 ハウンド。

 ハウンド。

 ハウンド。

 大量のハウンド。

 群れだった。


 さらに。

 別方向。

 今まで尾行していた二体の赤いレヴロスト。

 そして。

 銀色が混じった青いハウンド。


 その姿が現れる。

 夜が始まる。

 狩りの時間だった――。


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