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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼15万PV達成】【平日月曜の朝6時更新】  作者: 準
【間章参】宝石(星)の系譜/別々の空の下で

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197/220

✮進化する獣たち

更新


月曜〜土曜の朝6時に新エピソード1話


※日曜・祝日はお休みです。

 ――A班。

◆崩壊都市・昼区域

 ケイトが腕を組む。

「それで?」

「帰還コードをキャッチしたんだけど、理由は何?」


 テストは少しだけ考えた。

「簡単に言うと」

 一拍。


「俺たちは長年、勘違いしていたらしい」


「は?」

 ケイトが眉をひそめる。


 サンチェスが頭を掻いた。

「俺も最初は意味分からなかったんだけどな」


 レオが続ける。

「この星の夜」

「実はアイオーンが作ってるわけじゃない」


 アシュリーが目を丸くする。

「え?」


 サイモンが苦笑した。

「普通そうなるよな」

 

 テストが続ける。

「俺たちもそうだった」

「正確には逆だ」

「アイオーンは昼を維持している」


 沈黙。


 ケイトが固まる。

「……何を言ってる?」


 レオが説明する。

「そういう反応になるよな」

「でも、うちのアンドロイドの解析だ」

 一拍。


「昼の光は、アイオーンがナノマシンで恒星エネルギーを強めて散布して作っている可能性が高い」


 アリスベルの瞳がわずかに細くなる。

「恒星エネルギー……」


 テストが頷いた。

「そのエネルギーがネメシスのサイボーグに効くらしい」

「だからサイボーグは昼を避ける」


 ケイトの表情が変わる。

「待て」

「じゃあ夜は?」


 サンチェスが苦い顔をした。

「充電時間だとよ」

「昼を維持するためのな」


 アシュリーが呆然と呟く。

「じゃあ……」

「今まで私たち」

「夜が本来の姿だと思ってたのに……」


 レオが静かに言った。

「アイオーンがネメシスを倒す為にやっていることになるな」


 アリスベルはしばらく黙っていた。

 蒼い瞳が、何かを計算するように細められる。

「……なら」

 一拍。


「ネメシスも、対策を始めたということになる」


 レオが聞く。

「対策?」


 アリスベルは頷いた。

「恒星エネルギーへの耐性だ」

「昼間に活動できるサイボーグを作り始めた可能性が高い」


 サンチェスが顔をしかめる。

「あ……」

「赤いレヴロストか」

「あれなら説明がつく」


 ケイトも頷いた。

「それもそうだけど」

 一拍。


「あの銀色が混じったハウンドが出たのも夜じゃなかった」


 その言葉に。

 アリスベルの瞳がわずかに細くなった。

「ああ」

「私も同じことを考えていた」


 アシュリーが驚く。

「ハウンドが昼間に?」


「普通の個体は無理だ」

 アリスベルは即答した。

「だが――」


 ケイトが続ける。

「その銀色の個体だけは別よ」

 一拍。


「私も昼間に確認してる」


 サンチェスが腕を組む。

「前線基地の近くにも現れたし」

「動きも判断力も」

「別物だったな」


 アリスベルは静かに言う。

「ネメシス製サイボーグは進化を続けている」

「赤いレヴロスト」

「銀色のハウンド」


 一拍。

「そして、まだ確認されていない次の個体」


 誰も口を開かない。

 冷たい風が吹いた。

 アリスベルは遠くの廃墟を見つめる。

「ネメシスも焦っているのかもしれないな」

「アイオーンの優位を覆すために」


 ケイトが端末を操作しながら言った。

「帰還コードの理由も分かったし、クレアに作戦続行コードを送っとく」


 テストが頷く。

「なら、アリスベルたちと合流したまま進むぞ」

 一拍。


「ネメシスの本拠地があると言われている離れ孤島を偵察する」


 アシュリーが首を傾げた。

「どうやって海を渡るんですか?」


 アリスベルが当然のように答える。

「孤島へ行くなら船だろう」


 サイモンが思わず突っ込んだ。

「いやいや、船で行ったらバレバレじゃねぇのか?」


 アリスベルは平然としている。

「孤島へ行く以上、隠れるのは無理だ」

 一拍。


「正面から行く」


「堂々としてんなぁ……」

 サンチェスが呆れたように頭を掻いた。


 その横で、レオが静かに口を開く。

「だが、逆に考えれば合理的かもしれない」

 全員の視線が向く。

「本拠地が本当にあるなら、周辺は常に監視されているはずだ」

「何かしらアクションはあるだろう」


 アリスベルが小さく頷く。

「その通りだ」


 だが、サンチェスは納得していなかった。

「いやいや、それ以前の問題だろ」

 一拍。


「本拠地の近くなら、アビスモウが警備してるんじゃねぇのか?」

「船なんか沈められるぞ」


 ケイトがサンチェスを睨む。

「そのときはアビスモウを排除してから行くんだよ」


「え?」

 サンチェスが固まった。

「え、あれと戦うの?」

 一拍。


「本拠地の周りなら一匹二匹じゃねぇだろ?」


 レオも眉をひそめる。

「海中戦は、こちらに分が悪いと思うが」


 アリスベルは冷静だった。

「今回は偵察だ」

 一拍。


「まず、本当にネメシスの本拠地なのか確認する必要がある」

「決戦はその後だ」

 静かな声だった。

 だが、その言葉には確かな重みがあった。


 遠くの海の向こう。

 ネメシスの中枢があると噂される孤島。

 A班は、その未知の領域へ向かおうとしていた――。


◆少し離れた高層廃墟

 崩れた外壁の陰。

 銀色の体毛が風に揺れていた。

 青い瞳が、遠くのA班を見つめている。


 その背後には。

 二体の赤いレヴロスト。

 だが、誰も声を発しない。


 静寂。


 そして――。

(目標を確認)

 頭の中へ直接響くような信号。

 発信源は銀色のハウンドだった。

(対象・アリスベル)

(対象・異星人二名)

(対象・ラストライト四名)


 赤いレヴロストの光学眼が淡く明滅する。

(排除しますか)


(否)

 ハウンドは即答。

(夜まで待機)

 一拍。


(夜動けるハウンド群を呼ぶ)


 赤いレヴロストが問い返す。

(対象は危険です)

(特にアリスベル)


 銀色の瞳が細くなる。

(理解している)

(だからこそ、夜だ)


 風が吹く。

 瓦礫が転がる。


(監視を継続)

(ネメシス様へ報告を送信)


(了解)

(了解)

 三つの意識が静かに接続されている。


 そして。

 銀色のハウンドは再び腰を下ろした。

 まるで狩人のように。

 ただ静かに。

 夜の訪れを待ちながら――。


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