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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼15万PV達成】【平日月曜の朝6時更新】  作者: 準
【間章参】宝石(星)の系譜/別々の空の下で

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193/221

✮旧式のレヴロスト

更新


月曜〜土曜の朝6時に新エピソード1話


※日曜・祝日はお休みです。

 ――B班。

◆旧管理区域・崩壊ビル前・外周道路

 ――ガァァァァァッ!!

 赤いハウンドが、闇の中から飛び掛かる。

 だが次の瞬間。

 ――バチィィィィィッ!!

 結依の拳が、真正面からハウンドの頭部へ叩き込まれた。

 凄まじい電撃。

 赤いハウンドの身体が痙攣し、そのまま吹き飛ぶ。


 さらに。

 ――バババババッ!!

 ルビィのライフルが火を吹いた。

 正確な連射。

 赤いハウンドの頭部を次々と撃ち抜いていく。


 ルビィが叫ぶ。

「右から来るよ!」


「分かってるッ!」

 結依が即座に反応。


 バトルスーツを纏った身体が、凄まじい速度で地面を蹴る。


 ――ドゴォッ!!

 蹴り。電流。火花。

 赤いハウンドが宙を舞う。


 その光景を少し離れた場所から見ていたアストラが、淡々と分析を続けていた。

『結依さんの身体能力が急上昇しています』

 一拍。


『通常時の約三・一倍を確認』


 ルビィが叫ぶ。

「三倍ッ!?」


『バトルスーツとの相乗効果も発生しています』


 その瞬間。

 結依が、飛び掛かってきた二体のハウンドを同時に回避。

 ――ガガガッ!!

 片方へ肘打ち。

 もう片方へ回し蹴り。

 電流が連続で炸裂する。


 アストラが、わずかに沈黙し――そして珍しく感情の混じった声で呟いた。

『……うちの船長と副長、暴れ過ぎでは?』


 フェザーが「きゅう……」と鳴いた。


 そして数分後。

 最後の赤いハウンドが、ルビィの射撃で崩れ落ちる。


 静寂。


 だが。

『アストラです』

 通信。

『周辺生体反応を再確認』

 一拍。


『……青いハウンド三三体』


 結依の目が変わる。

「来たか!青っ!!」


◆旧管理区域・崩壊ビル内部

 一方。

 スティングとの戦闘を終えたヴェイル四体は、崩れたスティングの残骸を調査していた。


 細い機械針。

 赤いスキャン光。

 内部解析。


 ダイヤが、その様子を見ながら普通に話しかける。

「何してるの?」

 一瞬だけ沈黙。


 だが。

 レヴロスト・ヴェイルは普通に答えた。

「ネメシス個体の解析」

「最近、ネメシス側のサイボーグ技術向上が著しい」


 アイダが目を細める。

「技術向上?」


 ヴェイルが続ける。

「ネメシスは、我々レヴロストを何体か回収している」

 一拍。


「技術解析を受けた可能性が高い」


 ダイヤが少し驚く。

「へぇ……」


 すると。アイダが怪訝そうに口を開いた。

「……レヴロストって、こんなに喋ったか?」


 ヴェイルは少し沈黙し――。

 ゆっくりダイヤを見る。

「ダイヤ」

「反応速度、異常値」

 一拍。


「人造人間ではないにも関わらず」


 アイダが苦笑した。

「だから言っただろ」

「婆さまは普通じゃない」


 ダイヤが少し笑う。

「その呼び方やめてよ」


 だが。ヴェイルは続けた。

「お前と会うのは二回目だ」


 ダイヤが首を傾げる。

「……え?」


 ヴェイルはスティングの解析をしたまま話し続ける。

「港で戦闘したのは私だ」


 そして。

 ヴェイルは腰部ユニットから、小型装置を取り出した。

「忘れ物だ」


 ダイヤが目を丸くする。

「あっ……発信機!?」

「気づいてたの!?」


 ヴェイルは淡々と答える。

「装着時は認識できなかった」

「だが、基地ゲート通過時に異常反応を検知した」

 一拍。


「お前の速度は異常だった」

「再接触の可能性を考慮し、放置していた」


 アイダが小さく吹き出した。

「完全に観察対象じゃねぇか」


 ダイヤは、以前の戦いを思い出すように首を傾げた。

「前回来たときに会ったレヴロストなんだ」

 一拍。


「あのとき威嚇で使ってたレーザーガン。どうして今回は使わないの?」


 ヴェイルが淡々と答える。

「アイオーン・ゼロの命令だ」

「あの兵器は威力が高すぎる。人間に対する使用は制限されている」

 そして続けた。

「本来はネメシス製兵器との戦闘を想定した、対ネメシス用装備だ」


 ダイヤが小さく眉を上げる。

「へぇ……」


 ヴェイルは感情のない声で言った。

「アイオーンの基本方針は、人類の殲滅ではない」

 一拍。


「捕獲し、管理することが最優先だ」


 ダイヤは苦笑混じりに肩をすくめる。

「本当に、人間を管理したくて仕方ないのね。アイオーンは」


 ヴェイルは何も答えなかった。

 肯定も否定もせず、ただ前を見据えたままだった。

 その沈黙こそが、答えのようにも思えた。


 そのときだった。

『アストラです』

 通信。

『赤いハウンド群は全滅しました』

 一拍。


『ですが、さらに奥から青いハウンド三三体を確認』

『応援をお願いします』


 アイダの表情が曇る。

「……また青か」


 すると。

 ヴェイルが静かに言った。

「今回は、手を貸してやる」


 アイダが目を細める。

「条件は?」


 ヴェイルが答える。

「アイオーンの総合知性体」

「アイオーン・ゼロと異星人、そして人類との交渉の場を要求する」


 ダイヤがアイダを見る。

 アイダが眉をひそめて言う。

「私に決定権ない」

「クレアに確認を取らないと」


 ヴェイルは頷いた。

「返答は今でなくていい」

 一拍。


「またコンタクトを取る」


 そして。

 ヴェイルは青白い短剣を展開し、静かに言った。

「まずは、青犬を排除する」


 次の瞬間。

 ――ギュンッ!!

 四体のヴェイルが、窓から外へ飛び出した。


「待って待って、速っ」

 ダイヤも慌てて後を追う。

 その途中。

「あ、私もバトルスーツ使ってみよ」

 ――ギュィィィン!!

 ダイヤが起動スイッチを押した。


 アイダが呆れる。

「今かよっ」


◆旧管理区域・崩壊ビル前・外周道路

 夜の廃墟。

 そこでは既に、ルビィと結依が青いハウンド群と交戦していた。


 そして。

 ――ギュンッ!!

 黒い影が、ハウンドの群れへ突っ込む。

 青白い閃光。


 次の瞬間。

 ――ズバァァァッ!!

 青いハウンド三体が同時に切断された。


「……え?」

 ルビィが目を見開く。


 レヴロスト・ヴェイルだった。

 さらに別個体。

 尾による拘束。

 レーザー射撃。

 完全な連携。

 青いハウンドを次々と仕留めていく。


 結依が動揺する。

「レヴロストが……助けてる?」


 そこへ。

 アイダが合流した。

「今は味方だ!」

「青を殺るぞ!」


「「了解ッ!!」」


 次の瞬間。

 ルビィたちも再び突撃した。

 電撃。レーザー。銃撃。


 青い牙と黒い兵器が、夜の廃墟で激突する。


 そして数分後。

 最後の青いハウンドが、動かなくなった。


 静寂。


 ダイヤが周囲を見回す。

「……こないだ睨んできた青いの、いなかったねぇ」


 その瞬間。

 ヴェイルの光学眼が、わずかに発光した。

「……もう、あの個体と遭遇していたのか」


 ダイヤが振り返る。

「うん、何か知ってる?」


 ヴェイルが即答える。

「現在調査中」

 一拍。


「明るくなるまで、先程のビル内へ戻れ」

「夜間は、ネメシス個体が増加する」


 アイダが再び怪訝そうに聞いた。

「レヴロストって、こんなに会話するのか?」


 ヴェイルは静かに答えた。

「通常個体は、ここまで会話しない」

 一拍。


「ヴェイルでも、私のような旧式のみだ」

「アリスベルの離反以降に製造された個体は、感情制御が強化されている」


 アイダとダイヤの表情が変わる。


 ヴェイルは続けた。

「また接触する」


 そして。

 四体の黒い機影は、夜の廃墟へ静かに消えていった。


 残されたのは。

 ルビィ。結依。ダイヤ。アイダ。アストラ。そしてフェザー。


 遠くでは、今もネメシスの咆哮が響いている。


 B班は再び崩壊ビル内部へ戻り、夜が明けるのを待つ事となった――。




 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!


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これからも彼らの物語を届けていきますので、**【ブックマーク】**での応援もぜひよろしくお願いいたします!


断章壱、ここで終わりです。次から断章弐です、断章弐以降の物語は作ってて楽しかったので、その楽しさが読者にも伝わるといいなと思います。

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