✮赤の脅威……そして。
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月曜〜土曜の朝6時に新エピソード1話
※日曜・祝日はお休みです。
◆ラストライト前線基地・第一ゲート前
黒いハウンドの群れは、既に統率を失い始めていた。
クレアとテストのセグダが、戦場を縦横無尽に駆け抜ける。重装甲タイヤが瓦礫を砕き、機銃掃射が黒い群れを吹き飛ばしていく。
「右側散開!」
クレアが叫ぶ。
――ダダダダダダッ!!
黒いハウンド数体が道路脇へ弾き飛ばされた。
その隙を逃さない。
高所。
狙撃位置の結依が、静かに呼吸を整える。
「右側、二体」
――バン! バン!
正確な二連射。
飛び掛かろうとしていた黒いハウンドが、地面へ転がる。
隣でサンチェスが笑った。 「やっぱ上手ぇな、お嬢ちゃん!」
結依は照れる余裕もなく、次の標的へ照準を向ける。
一方。前線ではアイダたちが黒い群れを押し返していた。
「船長!左から来るぞッ!」
アイダが撃ちながらルビィに叫ぶ。
ルビィは即座に反応した。
突進してきた黒いハウンドへ照準を合わせ、頭部へ正確に銃弾を叩き込む。
黒い巨体が地面を滑るように倒れた。
その様子を見たアイダが、ニヤッと口元を吊り上げる。
「へぇ……船長、銃もかなり上手いじゃん」
レオは冷静に間合いを管理しながら射撃。無駄のない動きで一体ずつ処理していく。
サイモンは笑いながら真正面から蹴り飛ばした。
「うおっ!!」
黒いハウンドが吹き飛ぶ。
「硬ぇなコイツら!」
だが。 数は確実に減っていた。
そのときだった。
――――ワォオオオオオォォォン……。
夜の街へ、長く低い遠吠えが響き渡る。
一瞬。
全員の動きが止まった。
そして。
崩壊したビルの影。横転した車両の裏。暗い路地。
そこから、赤い眼光が次々と浮かび上がる。
赤い装甲。
大型の四肢。
黒よりも明らかに大きいハウンドたちだった。
アイダの表情が変わる。
「……多いな」
その直後。
上方からサンチェスの声が飛ぶ。
「赤はざっと六〇!!」
「まだ黒も二〇くらい残ってる!!」
〇七部隊の兵士たちに緊張が走った。
クレアはセグダを急旋回させながら叫ぶ。
「テスト!」
「赤も連携させるな!」
テストが即座に応じる。
「了解」
二台のセグダが再び加速。
赤い群れへ向かって突撃した。
アイダは振り返り、〇七部隊へ命令を飛ばす。
「〇七部隊は少し後退!」
「お前たちじゃ赤は無理だ!」
一拍。
「援護射撃に徹しろ!」
「味方を撃つなよ!」
「「「りょ、了解!!」」」
兵士たちが後退を始める。
そしてアイダは、ルビィたちへ視線を向けた。
「さて――始めるぞ!」
ニヤリと笑う。
「お前たちの港での力を見せる時だ」
次の瞬間。
赤いハウンドたちが、一斉に地面を蹴った。
――ガァァァァァァァッ!!
「速いっ!?」
ルビィが目を見開く。
黒とは別格だった。
一瞬で距離を詰め。
重い爪撃が振り下ろされる。
ルビィはギリギリで回避。
爪が地面を砕く。
レオも後方へ跳びながら呟く。 「黒より……かなり速い……!」
アイダは横へ滑り込みながら銃撃。
「チッ!」
赤いハウンドは、黒より遥かに機動力が高い。しかも、一撃が重い。
サイモンは正面から受け止めた。
――グィッ!!
衝撃で靴が地面を削る。
それでも笑う。
「パワー勝負なら嫌いじゃねぇ!」
だが。その横で。
ダイヤだけは別だった。
「よっと」
赤いハウンドの突進を、紙一重で回避。さらに。相手の勢いを利用し、そのまま身体を流す。
――ドゴォッ!!
赤い巨体が地面へ叩き付けられた。
「えっ」
ルビィが目を丸くする。
次。さらに二体。
ダイヤは軽やかに身を捻り、かわし、流し、投げ飛ばしていく。
まるで踊るような動きだった。
それを見ていたアイダが、思わず笑う。
「……凄いな」
ルビィへ視線を向ける。
「アンタの婆ちゃん、人造人間なのか?」
一拍。
「あの速さ、アリスベルみたいだな」
ルビィは苦笑する。
「いや、多分普通の人です……多分……」
一方。戦場中央。
クレアとテストは、赤い群れの中をセグダで駆け抜けていた。
――ガガガガガッ!!
機銃掃射。
赤いハウンドが跳び掛かる。
だが、テストは急旋回。
大型タイヤで横から弾き飛ばす。
「左側包囲傾向あり」
淡々と告げる。
クレアは笑った。
「なら崩すだけだ!」
二台のセグダが、赤い群れの隊列を裂いていく。
さらに。防壁上から援護射撃。
結依の狙撃。
サンチェスの連射。
〇七部隊の援護。
戦場は、完全な乱戦になっていた。
そして。
拮抗した時間が続く。
そのときだった。
結依の後ろで、突然アストラの警告音が鳴り響いた。
――ピピピピピッ!!
「「「え……?」」」
一瞬。周囲の視線がアストラへ集まる。
アストラが前へ出る。
そして叫んだ。
『扇形陣形を確認!!』
『三二匹のハウンドに囲まれています!!』
『気をつけてください!!』
空気が変わる。
クレアとテストが同時に周囲を見回した。
そして。
テストの視線が、崩壊した建物の陰へ止まる。
そこにいた。
暗闇の中。
青く光る眼。
そして――青い装甲。
テストの声が響く。
「ヤバい――青いハウンドだ!!」
――三二匹の青きハウンド。
その牙には、噛まれれば死に至る致死性ウイルスが宿っている。
逃げ場のない包囲網が、静かに狭まり始めていた。
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