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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼15万PV達成】【平日月曜の朝6時更新】  作者: 準
【間章弐】宝石(星)の系譜/ラストライト前線基地

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185/221

✮赤の脅威……そして。

更新


月曜〜土曜の朝6時に新エピソード1話


※日曜・祝日はお休みです。

◆ラストライト前線基地・第一ゲート前

 黒いハウンドの群れは、既に統率を失い始めていた。


 クレアとテストのセグダが、戦場を縦横無尽に駆け抜ける。重装甲タイヤが瓦礫を砕き、機銃掃射が黒い群れを吹き飛ばしていく。


「右側散開!」

 クレアが叫ぶ。


 ――ダダダダダダッ!!

 黒いハウンド数体が道路脇へ弾き飛ばされた。


 その隙を逃さない。

 高所。

 狙撃位置の結依が、静かに呼吸を整える。

「右側、二体」

 ――バン! バン!

 正確な二連射。

 飛び掛かろうとしていた黒いハウンドが、地面へ転がる。


 隣でサンチェスが笑った。 「やっぱ上手ぇな、お嬢ちゃん!」


 結依は照れる余裕もなく、次の標的へ照準を向ける。


 一方。前線ではアイダたちが黒い群れを押し返していた。


「船長!左から来るぞッ!」

 アイダが撃ちながらルビィに叫ぶ。


 ルビィは即座に反応した。

 突進してきた黒いハウンドへ照準を合わせ、頭部へ正確に銃弾を叩き込む。

 黒い巨体が地面を滑るように倒れた。


 その様子を見たアイダが、ニヤッと口元を吊り上げる。

「へぇ……船長、銃もかなり上手いじゃん」


 レオは冷静に間合いを管理しながら射撃。無駄のない動きで一体ずつ処理していく。


 サイモンは笑いながら真正面から蹴り飛ばした。

「うおっ!!」

 黒いハウンドが吹き飛ぶ。

「硬ぇなコイツら!」


 だが。  数は確実に減っていた。


 そのときだった。

 ――――ワォオオオオオォォォン……。

 夜の街へ、長く低い遠吠えが響き渡る。


 一瞬。

 全員の動きが止まった。


 そして。

 崩壊したビルの影。横転した車両の裏。暗い路地。

 そこから、赤い眼光が次々と浮かび上がる。


 赤い装甲。

 大型の四肢。

 黒よりも明らかに大きいハウンドたちだった。


 アイダの表情が変わる。

「……多いな」


 その直後。

 上方からサンチェスの声が飛ぶ。

「赤はざっと六〇!!」

「まだ黒も二〇くらい残ってる!!」


 〇七部隊の兵士たちに緊張が走った。


 クレアはセグダを急旋回させながら叫ぶ。

「テスト!」

「赤も連携させるな!」


 テストが即座に応じる。

「了解」

 二台のセグダが再び加速。

 赤い群れへ向かって突撃した。


 アイダは振り返り、〇七部隊へ命令を飛ばす。

「〇七部隊は少し後退!」

「お前たちじゃ赤は無理だ!」

 一拍。


「援護射撃に徹しろ!」

「味方を撃つなよ!」


「「「りょ、了解!!」」」

 兵士たちが後退を始める。


 そしてアイダは、ルビィたちへ視線を向けた。

「さて――始めるぞ!」

 ニヤリと笑う。

「お前たちの港での力を見せる時だ」


 次の瞬間。

 赤いハウンドたちが、一斉に地面を蹴った。

 ――ガァァァァァァァッ!!


「速いっ!?」

 ルビィが目を見開く。


 黒とは別格だった。

 一瞬で距離を詰め。

 重い爪撃が振り下ろされる。


 ルビィはギリギリで回避。

 爪が地面を砕く。


 レオも後方へ跳びながら呟く。 「黒より……かなり速い……!」


 アイダは横へ滑り込みながら銃撃。

「チッ!」


 赤いハウンドは、黒より遥かに機動力が高い。しかも、一撃が重い。


 サイモンは正面から受け止めた。

 ――グィッ!!

 衝撃で靴が地面を削る。


 それでも笑う。

「パワー勝負なら嫌いじゃねぇ!」


 だが。その横で。

 ダイヤだけは別だった。

「よっと」

 赤いハウンドの突進を、紙一重で回避。さらに。相手の勢いを利用し、そのまま身体を流す。


 ――ドゴォッ!!

 赤い巨体が地面へ叩き付けられた。


「えっ」

 ルビィが目を丸くする。


 次。さらに二体。

 ダイヤは軽やかに身を捻り、かわし、流し、投げ飛ばしていく。

 まるで踊るような動きだった。


 それを見ていたアイダが、思わず笑う。

「……凄いな」

 ルビィへ視線を向ける。

「アンタの婆ちゃん、人造人間なのか?」

 一拍。


「あの速さ、アリスベルみたいだな」


 ルビィは苦笑する。

「いや、多分普通の人です……多分……」


 一方。戦場中央。

 クレアとテストは、赤い群れの中をセグダで駆け抜けていた。

 ――ガガガガガッ!!

 機銃掃射。


 赤いハウンドが跳び掛かる。

 だが、テストは急旋回。

 大型タイヤで横から弾き飛ばす。

「左側包囲傾向あり」

 淡々と告げる。


 クレアは笑った。

「なら崩すだけだ!」


 二台のセグダが、赤い群れの隊列を裂いていく。


 さらに。防壁上から援護射撃。

 結依の狙撃。

 サンチェスの連射。

 〇七部隊の援護。


 戦場は、完全な乱戦になっていた。


 そして。

 拮抗した時間が続く。


 そのときだった。

 結依の後ろで、突然アストラの警告音が鳴り響いた。

 ――ピピピピピッ!!


「「「え……?」」」


 一瞬。周囲の視線がアストラへ集まる。

 アストラが前へ出る。

 そして叫んだ。

『扇形陣形を確認!!』

『三二匹のハウンドに囲まれています!!』

『気をつけてください!!』


 空気が変わる。

 クレアとテストが同時に周囲を見回した。


 そして。

 テストの視線が、崩壊した建物の陰へ止まる。


 そこにいた。

 暗闇の中。

 

 青く光る眼。

 そして――青い装甲。


 テストの声が響く。

「ヤバい――青いハウンドだ!!」


 ――三二匹の青きハウンド。

 その牙には、噛まれれば死に至る致死性ウイルスが宿っている。

 逃げ場のない包囲網が、静かに狭まり始めていた。


 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!


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