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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼15万PV達成】【平日月曜の朝6時更新】  作者: 準
【間章弐】宝石(星)の系譜/ラストライト前線基地

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184/221

✮黒と赤の群れ(後編)

更新


月曜〜土曜の朝6時に新エピソード1話


※日曜・祝日はお休みです。

◆ラストライト前線基地・第一ゲート前

 重厚な外門が開ききる。

 冷たい夜風。崩壊した街並み。


 そして、闇の中で無数に揺れる赤い眼。

 ――グルルルル……。

 低いうなり声が響く。

 黒い装甲を纏った野犬型サイボーグ――ハウンド。

 その群れが、道路を埋め尽くすように集結していた。

 さらに後方には、ひと回り大型の赤い個体も見える。


 兵士たちの間に、緊張が走った。

 そのときだった。

 サンチェスがライフルを肩に担ぎながら、ニヤリと笑う。

「じゃ、俺は射撃班に回るわ」

 そのままアイダへ視線を向けた。

「なぁアイダ。その新メンバーの黒髪の嬢ちゃん、借りていいか?」

 一拍。


「射撃上手いんだろ?」

「早速、どっちが上か実戦で勝負だ」


 結依が少し目を丸くする。

「え、わ、私ですか?」

 隣でルビィが結依を見る。そして、ルビィは小さく頷いた。


 その反応を見たアイダが笑う。

「いいわ、サンチェスと行って!」


「はい!」

 結依が頷く。


 アイダは残る四人へ視線を向けた。

「船長たち四人は、銃持って私について来い」

 ダイヤがぎょっとする。

「え?」

「いきなり前線?」


 サイモンが苦笑した。

「人使い荒い隊長だな」


 その横で、クレアがテストへ声を掛ける。

「テスト」


 テストがクレアを見る。

 クレアは基地脇へ視線を向けた。そこには二台の大型セグダが待機していた。


 大型タイヤ。 重装甲。 前部には機銃まで搭載されているバイクだ。


 クレアが低く言う。

「私とお前で群れを拡散する」 「連携を取らせるな」


 テストは無表情のまま頷いた。

「了解した」


 アイダは振り返り、〇七部隊へ向けて声を張る。

「聞け!」

 兵士たちが一斉に顔を向けた。

「私とこの四人が先頭でハウンドを押し込む!」

 一拍。


「〇七部隊は私たちの援護!」

「命を優先しろ!」

「怪我人はすぐ後退!」


「「「了解!!」」」

 兵士たちの声が重なる。


 ルビィが小さく呟いた。

「私たち、新入りなのに……」


 レオが静かに前を見る。

「それだけ、我々の力を信用しているんだろう」


 その会話を聞いていたアイダが、ニヤリと笑った。

「あの港での、お前らの戦闘スキルを見たからだ」

 一拍。


「でも――自分の命は優先しろよ」


 ダイヤが苦笑する。

「それ、先に言われると逆に怖いんだけど」


 サイモンが銃を構えた。

「まあ、派手に行こうぜ」


 そして。

 ハウンドの群れが、一斉に動いた。

 ――ガァァァァァッ!!

 黒い群れが、道路を蹴って突進してくる。


 アイダの声が響く。

「撃てぇぇぇッ!!」


 瞬間。

 防壁上の機銃が火を吹いた。

 ――ダダダダダダダダ!!

 閃光。轟音。薬莢が雨のように飛び散る。


 先頭の黒いハウンド数体が吹き飛ぶ。

 だが。

 ハウンドの群れは止まらない。

 左右へ分散。瓦礫を利用しながら高速接近。統率された動きだった。


 レオが低く呟く。

「連携している……」

 次の瞬間。

 二体のハウンドが左右から同時に飛び掛かった。


「チッ!」

 アイダが即座に片方を撃ち抜く。


 だが、もう一体がダイヤへ迫る。

「うわっ!?」


 その瞬間。

 ――バン!!

 頭部が撃ち抜かれた。


 後方高所。

 狙撃位置についた結依が、ライフルを構えたまま言う。

「左クリア!」


 サンチェスが隣で笑う。

「やるじゃねぇか!」


 結依は真剣な顔のまま次弾を装填する。


 黒い群れが、今度は三方向へ展開。明らかに役割分担されていた。

 前衛が注意を引き。側面が回り込み。後方の個体が飛び掛かる。

 まるで訓練された兵士のようだった。


 〇七部隊の兵士が叫ぶ。

「右から回り込まれる!」


「援護する!」

 ルビィが即座に射撃。


 サイモンも笑いながら撃ちまくる。

「おいおい、犬ってレベルじゃねぇぞ!」


 しかし。

 ハウンドの連携は鋭かった。

 兵士一人へ三体が同時に襲い掛かる。

「ぐあぁぁっ!!」

 兵士が吹き飛ばされる。


「後退だ!後退しろ!」

 アイダが叫ぶ。


 そのときだった。

 ――ブオォォォォォン!!

 重低音が戦場へ響いた。


 クレアだ。

 大型セグダに乗ったクレアが、道路脇から一気に加速する。

「どけぇぇぇぇッ!!」

 機銃掃射。

 ――ダダダダダダ!!

 黒い群れが吹き飛ぶ。


 その反対側から、もう一台。

 テストのセグダが高速突入した。

「進路確保」

 淡々とした声。

 だが動きは異常なほど正確だった。


 ハウンドの群れの中央へ突っ込み、強引に隊列を引き裂いていく。

 ――ガガガガガッ!!

 大型タイヤがハウンドを跳ね飛ばす。


 クレアが叫ぶ。

「散らせ!」

「連携を崩せ!」


 セグダ二台が、群れの中を縦横無尽に駆け回る。


 そして。

 ハウンドたちの動きが変わった。

 統率が乱れる。

 左右から同時に来ていた攻撃が、バラバラになった。

 回り込みも止まる。

 

 レオが目を細めた。

「……連携が崩れた」


 アイダが笑う。

「今だ!一気に押し返すぞ!」


「「「おおおおおッ!!」」」

 兵士たちが前進する。


 先ほどまで脅威だった黒い群れは、完全に統率を失っていた。


 そして。

 その後方。

 赤い装甲を持つ大型ハウンド数体が、静かにこちらを見つめていた――。


7月25日26日27日は更新をお休みします。

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