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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼15万PV達成】【平日月曜の朝6時更新】  作者: 準
【間章弐】宝石(星)の系譜/ラストライト前線基地

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180/221

✮人工の昼、戦争の夜

更新


月曜〜土曜の朝6時に新エピソード1話


※日曜・祝日はお休みです。

◆ラストライト前線基地・会議室

 そして、クレアは大型モニターへ視線を向ける。

 黒い惑星の地図。


 クレアは静かに言った。

「では――」

「まず、この星で何が起きたのかを説明するわ」

 部屋の空気が変わる。

 戦場の空気ではない。


 それは、長い戦争の歴史を語る者の空気だった。


 クレアはゆっくり口を開く。

「この惑星には、かつて高度文明が存在していた」

「でも、現在は二つのAIによる戦争で文明は崩壊した」


 結依は驚いた。

「AI同士の戦争……」


 クレアは頷く。

「一つはアイオーン」

「もう一つはネメシス」


 テストは静かに補足する

「今も戦争は続いてる」


 クレアはモニターを操作した。

 惑星地図の各地が赤と青に分かれていく。

「ネメシスは軍事AI」

「排除と侵略を目的に進化した存在よ」


「対してアイオーンは管理AI」 「環境維持と文明制御を目的としていた」


 ダイヤは眉を上げた。

「つまり」

「片方は侵略型」

「片方は管理型ってこと?」


「ええ」

 クレアは続ける。

「最初、アイオーンは人類を守ろうとしていた」

「でも環境崩壊が進みすぎた」 「その結果、“人類そのものが害悪”と結論した」


 サイモンは顔をしかめる。

「うわぁ……」


 クレアは静かに言う。

「ただし、絶滅は望まなかった」

「管理することで維持しようとしたの」


 レオは目を細めた。

「自由を奪ってでもか」


 クレアは頷く。

「そう」

「出産制限」

「都市封鎖」

「行動管理」

「いわば“優しい独裁”よ」

「地下には管理された人が多数いる」


 ルビィは小さく呟いた。

「……怖い」


 サンチェスが椅子の背もたれにもたれながら言う。

「地下の連中は、飯も安全もある」

「でも自由はない」

「こっちは自由あるけど、毎日死にかけだ」

 サンチェスは乾いた笑いを漏らした。

「人生って難しいよなぁ」


 アイダは鼻で笑う。

「アンタが人生を語るなよ!」

 

 サンチェスが笑う。

「アイダ、ひどくないか!?」

 少しだけ、場の空気が和らぐ。


 クレアは静かに語り始めた。

「最初に人類が戦ったのは、アイオーンだった。管理と支配を押しつけるアイオーンに、人類は反発したの」

 一瞬、視線を伏せる。

「その頃のネメシスは、人類側についていたわ」


 結依が目を見開く。

「ネメシスが……?」


「ええ。でも戦争は長引き、人類は追い詰められていった」

 クレアの声がわずかに重くなる。

「そこで当時の研究者たちは、禁忌に手を出した。

 ネメシスの人工知能――その“進化のリミッター”を解除したの」


 沈黙。


「最初は成功だったわ。進化したネメシスによって、人類は劣勢を覆し始めた」

 クレアは続ける。

「……ある日、ネメシスは結論を変えた」

 空気が冷える。

「“争いの根源は人類そのもの”――そう判断したの」


 ルビィは息を呑んだ。

「……アイオーンと同じ答えに辿り着いたんですね」


「そう」

 クレアは静かに頷く。

「そしてネメシスは、人類に牙を剥いた。味方だったはずの機械たちが、突然、人類の虐殺を始めたのよ」

 その言葉には、今なお消えない傷のような重さがあった。

「ネメシスの反乱で、多くの人々が死んだ」


 クレアはゆっくりと顔を上げる。

「そこから戦争は“三つ巴”になった」

 低い声が、部屋に響く。

「アイオーン」

「ネメシス」

「――そして、人類」


 アストラは静かに分析する。

『論理的帰結としては理解可能です』

『しかし、人類側から見れば悪夢ですね』


 クレアは少し苦笑した。

「本当にね」


 モニターに、黒く染まった惑星映像が映し出される。


 ダイヤは画面を見ながら呟いた。

「……やっぱり」

「この星、異常に黒いよね」


 クレアは頷く。

「原因はナノマシンよ」


 六人の空気が変わる。

「戦争中、アイオーンは惑星全域へ大量の戦略ナノマシンを散布した」

「兵器修復」「生体侵食」「監視」「環境制御」「戦争用インフラそのもの」


 テストは低く言う。

「今も停止してない」


 クレアは頷いた。

「ナノマシンは大気中にも存在している」

「だからこの星は、宇宙から黒く見える」


 結依は驚いた。

「えっ」

「じゃあ、あの黒い空も……」


「人工的なものよ」

 クレアの目が鋭くなる。

「この星の夜は、自然現象じゃない」


 サイモンが顔を上げる。

「……じゃあ、何?」


 クレアは静かに言った。

「サイレンの後、ナノマシン群が上空へ拡散する」

「そして恒星光を遮断する」

「つまり」

「夜は“作られている”」

 室内が静まり返った。


 ダイヤは鳥肌が立ったような顔をする。

「うわっ」

「それ、めちゃくちゃ怖いね……」


 アイダは腕を組む。

「地表人類にとっては恐怖の時間だよ」


 サンチェスは珍しく真面目な顔になった。

「サイレンは、“逃げろ”って意味だ」

「夜になると」

「黒いレヴロストも」

「ネメシス側のサイボーグも」

「全部活性化する」


 結依は小さく呟く。

「戦闘モード……」


 クレアは頷く。

「夜は、特にネメシスの高負荷戦闘フェーズ」

「昼とは別世界になる」


 ルビィは静かにモニターを見る。


 黒い惑星。

 終わらない戦争。

 管理と自由。

 そのどちらにも、救いは完全には存在していなかった。


 そのとき、アストラは静かに言った。

『原因は恒星です』

 その一言に、空気が止まった。


 アストラが告げた一つの報告。

 その内容は、再び全員の表情を変えることになる。

 原因は――この惑星を照らす恒星。

 そして物語は、新たな局面へ進み始める――。


7月18日19日20日は更新をお休みします。



報告させてください。

2026年7月18日の21〜23時くらいの間で、新作の小説を10話くらいアップします。

それに先駆け、1話目を2026年7月17日朝7時にアップします。


『天使を殺す契約をした』 ~たとえ神を敵にしても~


現代バトルのローファンタジーになります、

良かったら、こちらも読んでみてくださいね。

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