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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼15万PV達成】【平日月曜の朝6時更新】  作者: 準
【間章壱】宝石(星)の系譜/黒き兵士と夜の獣

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176/221

✮人類の敵

更新


月曜〜土曜の朝6時に新エピソード1話


※日曜・祝日はお休みです。

◆港湾跡地

 翻訳デバイスによる会話が可能になったことで、港の空気は少しだけ変わっていた。


 それでも。互いの警戒が消えたわけではない。


 テストは、なおもルミナス号の六人を観察している。特に、ルビィを見る視線は鋭かった。


 ルビィも負けじと見返す。

「……まだ、納得したわけじゃないから」


 テストは静かに頷いた。

「……だろうな」

 短い沈黙。


 彼はルビィに視線を向ける。

「おい、娘。名前は?」

 一歩前へ出て、自ら名乗った。

「俺はテスト。こっちはアイダだ」


 すると、ダイヤが割って入るように口を開く。

「私はダイヤ。隣がレオ」

 そのままサイモンを見て、少し口元を緩めた。

「あっちの大きいのがゴリ……じゃなくて、サイモン」


「誰がゴリラだ」

 サイモンが即座に返し、場の空気がわずかに緩む。


 ルビィも続けた。

「横の黒髪が結依。あっちの男性はアンドロイドのアストラ」

 そして小さく微笑む。

「それで、私はルビィ」


 その横で、結依がほっとしたように息を吐いた。

「でも、ちゃんと会話できるようになったのは大きいよね」


 アストラが淡々と補足する。

『完全翻訳ではありません』

『現在の誤変換率、一二パーセント。専門用語の翻訳精度には注意してください』


 結依が苦笑した。

「そこは頑張ってよ、アストラ」


 すると、アイダがニヤッと笑って結依へ視線を向ける。

「アンタ、結依っていうんだね」

 一拍。


「久しぶりに、素手で戦って楽しかったよ。かなり強いじゃん」


 結依も少しだけ笑みを返した。

「アイダさんこそ。スピードもパワーも凄かったですよ」


 そのとき。

 ルビィが改めて口を開く。

「……レヴロスト」

「さっき、そう呼んでたよね?」


 テストの表情がわずかに硬くなる。

「あれは、人類の敵だ」

 その言葉には迷いが無かった。


 アイダが補足する。

「私たちは、黒兵をレヴロストと呼んでいる」


 ルビィは反射的に言い返す。 「でも、あの人……怪我してた!」


「怪我?」

 アイダが低く呟く。

「レヴロストは、その程度じゃ止まらない」


「レヴロストの殺し方は」

 一拍。


「ヘルメットを壊すか、無理やり外す。そして――頭を撃ち抜く」


 結依が眉をひそめる。

「ヘルメットって、防具なんですか?」


 その問いに、テストが低く答えた。

「違う」

 テストは自分の額を軽く指で叩く。

「被ってるわけじゃない。頭部と一体化してる」

 一拍。


「だから、まず打撃で破壊する必要がある」


 サイモンが腕を組みながら唸る。

「つまり、頭が弱点ってことか?」


 すると、ダイヤが吹き出すように笑った。

「ゴリにぃ、頭を撃たれたら大抵の生き物は死ぬのよ?」

「それを“弱点”とは言わないわ」


 レオが静かに補足した。

「……正確には、“唯一の倒し方”だな」


 テストは続ける。

「奴らは戦闘兵器だ」

「身体が壊れても戦い続ける」


 レオが静かに聞く。

「元は人間なのか?」

 一拍。


「……人の遺伝子を使ってるだけだ」

 テストは短く答えた。

 空気が少し重くなる。


 ルビィは視線を落とした。 「じゃあ……助けられないの?」


 アイダが静かに首を横へ振る。

「少なくとも、私たちは助けた経験もないし、助けたという報告も受けてない」


 結依も真面目な顔になる。

「レヴロストって、見つけた人間を片っ端から襲うわけじゃないんだよね?」


 テストは頷いた。

「武器を持つ者を優先して攻撃する」


「え?」

 サイモンが目を瞬かせる。

「じゃあ俺たちが最初に襲われなかったのって……」


「武装していなかったからだ」   テストが答える。


 ルミナス号を出たとき。

 六人は調査目的だったため、武器を持っていなかった。


 レオが腕を組む。

「なるほど。戦闘対象として認識されなかったわけか」


 だが。サイモンが首を傾げる。

「いや、待て」

「前回、俺とレオとダイヤで来た時は攻撃されたぞ」

「あの時も、武器なんか持ってなかった」


 テストは静かに言った。

「あの時、お前たちは港の旧ゲートへ近づいた」


 アイダが続ける。

「レヴロストには巡回区域と防衛区域がある」

「あそこは警戒レベルが高い場所だった」


 結依が顔をしかめた。

「縄張りみたいな感じか……」


「そんなところ」

 アイダが答える。

「あの時も、私たちはお前たちを見ていた」


 ダイヤ、レオ、サイモンの三人が一斉に反応した。

「え?」


「接触しようと思った頃には、船が飛び立ってしまったが……」

 アイダは淡々と言う。


 ダイヤが小さく笑う

「へぇ。こっちが観察してるつもりだったのにね」


 そのとき、テストが海へ視線を向けた。

「それより」

 一拍。


「アビスモウを撤退させたのは驚いた」


 サイモンが目を丸くする。

「アビスモウ?」


「さっきの海の化物だよ」

 アイダが説明した。


 結依が顔をしかめる。

「うわ、ちゃんと名前あるんだ……」


 テストは続ける。

「あれは、俺たちでも手を焼いている」


 アイダも頷く。

「レヴロストですら、アビスモウの活動海域には近づきたがらない」


 ダイヤが感心したように口笛を吹く。

「へぇ。そんな危険生物だったんだ」


 レオは静かに海を見る。

「確かに、異常なサイズだった」


 ルビィも小さく呟いた。

「結依の狙撃が無かったら危なかったかも」


 結依が少し照れ臭そうに笑う。

「いやー、あれは結構ギリギリだったよ」


 そのときだった。

 ――――ウゥゥゥゥゥゥゥン……!!

 突然。港全体へ、低いサイレン音が響き渡った。


 全員が顔を上げる。

 次の瞬間。遠くの廃墟都市で、巨大な照明群が次々と消灯した。


 そして、太陽の日が差す。

 暗黒だった街に、白い光が走っていく。


 結依が目を見開く。

「うわ……」


 サイモンも低く呟いた。

「街が……生きてる」


 テストが振り返る。

「明るい時間の移動の方が良い」

「行くぞ!」


 レオが聞く。

「どこへ?」


 テストは短く答えた。

「我々のリーダーに会わせる」


 冷たい海風が吹き抜ける。

 光を取り戻し始めた黒き惑星の都市を前にして。

 ルミナス号の六人は、静かに顔を見合わせた。


 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!


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これからも彼らの物語を届けていきますので、**【ブックマーク】**での応援もぜひよろしくお願いいたします!


間章壱、ここで終わりです。次から断章弐です、断章弐以降の物語は作ってて楽しかったので、その楽しさが読者にも伝わるといいなと思います。

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