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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼15万PV達成】【平日月曜の朝6時更新】  作者: 準
【間章壱】宝石(星)の系譜/黒き兵士と夜の獣

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172/221

✮海魔浮上

更新


月曜〜土曜の朝6時に新エピソード1話


※日曜・祝日はお休みです。

◆黒き惑星・港湾跡地

 ――ゴボォォォ……

 青白く発光する海面が、大きく盛り上がる。その下を、巨大すぎる影がゆっくりと移動していた。


 野犬型サイボーグ群が、一斉に動きを止める。

 野犬群な赤い眼光が、海へ向いた。

 次の瞬間。群れはまるで見えない境界線を引くように、ゆっくりと後退を始めた。


 結依が目を見開く。

「え……?」


 サイモンが低く呟く。

「逃げてる……?」


 いや、違う。完全には離れない。

 野犬たちは一定距離を保ちながら、瓦礫の陰へ散開していく。  だが、その赤い眼だけは、こちらと海を見続けていた。


 レオが静かに言う。

「警戒行動だな」


 ダイヤが小さく息を吐く。 「“喰われる距離”を分かってる感じだね」


 その瞬間だった。

 目の前の黒い兵士二体が、同時に動く。

 尾が低く揺れ、腰部の武装が展開。蒼白い光が銃口へ集束していく。


 そして――

 ドォン!!

 轟音。  夜の港を、白い閃光が切り裂いた。


 超高出力の一撃が、海面から伸びた巨大触手へ直撃する。

 触手が大きく弾け飛ぶ。

 青白い液体が飛散し、海面へ降り注いだ。


 結依が叫ぶ。

「うわぁっ!?」


 だが。

 海中の巨大影は、止まらない。

 むしろ。

 ――ゴボボボボ……

 海面下で、さらに巨大な何かが動く。


 サイモンの顔が険しくなる。 「おいおい……効いてねぇのかよ」


 黒い兵士たちは、次々と砲撃を放つ。

 ドン!!  ドォン!!  衝撃波が港のコンテナを吹き飛ばす。


 しかし。  巨大触手は引かない。傷ついている。だが、止まらない。


 海面が、さらに大きく膨れ上がる。

 そして。

 ゆっくりと。海の中から、“頭部”らしきものが姿を現した。


 ルビィが息を呑む。

「……っ」

 巨大だった。


 白緑色の外殻。めるような皮膚。片側だけ赤く発光する巨大な眼。


 頭部だけで、港の巨大コンテナの倍はある。

 触手が、海面を這うように広がっていく。


 結依の声が引きつる。

「……いやいやいや」

「デカすぎでしょ……」


 ダイヤも苦笑する。

「これはちょっと想像以上だね」


 だが。目の前の黒兵二体は、一歩も下がらなかった。


 高速移動。左右へ散開しながら砲撃を続ける。

 戦っている。

 あの怪物と。


 ルビィが黒兵たちを見つめる。 「……どうします?」 

 誰もすぐに答えなかった。


 ルミナス号のハッチ前。今なら、まだ離脱できる。

 この混乱に紛れて飛び立つことも可能だ。


 サイモンが低く言う。

「今のうちに移動する手もあるぞ」


 結依が頷く。

「う、うん……」

「正直、あれとは戦いたくない」


 だが、ダイヤは海を見たまま呟く。

「でもさ」

 一拍。


「黒いやつらがやられたら、次は私たちじゃない?」


 静寂。


 レオが静かに頷く。

「可能性は高いな」


 その間も。港では戦闘が続いていた。

 黒兵の砲撃。巨大触手。砕け散るコンテナ。


 そして遠方。

◆港湾倉庫跡

 崩れた倉庫の陰。

 テストはスコープ越しに戦闘を見ていた。


「あの怪物……」

 低く呟く。

「黒兵二体じゃ止めきれない」

 アイダが顔をしかめる。

「どうする?」

「手を貸す?」


 テストは即答しない。

 黒兵も敵。本来なら、潰し合ってくれる方が都合はいい。


 だが。

 彼の視線は、ルミナス号へ向いていた。

「あの異星船の連中とは接触したい」

 一拍。


「ここで全滅されるのは困る」

 アイダが腰ポーチから細長い弾体を取り出す。淡く発光する特殊弾。

「発光弾、二発あるけど」


 テストが視線を向ける。

「それがあれなら、怪物が下がる可能性はある」


 テストは少し考え――小さく息を吐いた。

「最悪の保険だな」


◆港湾跡地

 その瞬間だった。

 海の怪物が、大きく口を開く。

 口の奥。青白い光が脈動した。


 レオが即座に反応する。

「来るぞ!」


 次の瞬間。

 ドバァァッ!!

 大量の粘液が、黒兵の一体へ直撃した。

 黒兵が吹き飛ばされる。


 結依が声を上げた。

「うわっ!?」


 粘液は黒兵の全身へ絡みつき、地面へ縫い止めるように固着していく。


 黒兵が動けない。


 もう一体が即座に援護射撃を行う。だが、怪物は止まらない。


 巨大触手が、拘束された黒兵へ迫る。

 ルビィが強く言った。

「助けましょう!」

 全員の視線が向く。


 ルビィは真っ直ぐ海を見据えていた。

「助ければ、交渉できるかもしれません!」


 サイモンが眉を寄せる

「相手は敵かもしれねぇぞ」


「でも!」

ルビィは言い返す。

「今は、あの怪物の方が危険です!」


 短い沈黙。


 そして。

 ダイヤが、小さく笑った。

「……そうだね」

 一拍。


「何もしないよりはいい」


 レオが即座に判断する。

「戦闘行動へ移行」

 その声で空気が変わった。

 レオは周囲を見渡し、指示を飛ばす。

「野犬群も警戒対象だ」 「サイモン、七八」

 サイモンが頷く。

「了解」


 アストラの瞳が淡く発光した。

『援護行動へ移行します』  


 レオは続ける。

「二人で野犬群を牽制しろ」

 一拍。


「残り四名で、黒兵を援護する」


 巨大な海の怪物が、港へ触手を叩きつける。

 轟音。崩壊。飛び散る海水。


 その地獄の中へ。

 ルビィたちは、駆け出した。


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