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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼15万PV達成】【平日月曜の朝6時更新】  作者: 準
【間章零】宝石(星)の伝説/黒い惑星と黒い兵士

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★夜を越える者たち



◆黒い惑星―海岸

 触手からの一撃を避けた直後、三人はほぼ同時に駆け出していた。


「戻るぞ!ここはダメだ!」

 レオの声に、ダイヤとサイモンが頷く。


 背後では、海から伸びる触手が地面を叩き続けている。

 だが、それ以上追ってくる様子はない。


「……助かった、のか?」

 サイモンが振り返りながら呟く。


 レオは首を振る。

「分からん。ただ、“ここまで”って感じだな」


 ダイヤは息を整えながら言う。 「じゃあ、別の意味で縄張りってことか……」


 そのまま三人は、廃墟の奥へと走り込んだ。

 やがて、崩れかけた建物の一つにたどり着く。

 入口は半壊し、内部は暗い。

 だが――


「……入れるな」

 レオが周囲を確認しながら言う。


 ダイヤが不安げに覗き込む。 「中、なんかいそうじゃない?」


 サイモンが軽く笑う。

「外よりマシだろ」


 短く判断し、三人は建物の中へ滑り込んだ。

 ――静かだった。

 外の気配が、嘘のように遠い。


 ダイヤが小さく呟く。

「……来ないね」


 レオも頷く。

「少なくとも、さっきの連中はな」


 そのとき、サイモンが足元を見て止まる。

「……おい」

 二人が振り向く。


 床に、何かが転がっていた。

 白い――

「……骨?」

 ダイヤが声をひそめる。

 人の形をしていた。

 完全ではないが、腕、肋骨、頭蓋の一部。


「人型だな……」

 レオがしゃがみ込み、静かに観察する。


 そのすぐ近くに、もう一つ。

 黒い物体。

 ひび割れ、半分ほど砕けている。

 サイモンが拾い上げる。

「……これ」


 ダイヤが覗き込む。

「ヘルメット……?」


 レオが低く言う。

「間違いないな。黒いやつらの頭部と一致する」


 ダイヤが目を細める。

「じゃあ……やっぱり装備なんだ」


 サイモンがぽつりと呟く。

「中身は……どうなんだろうな」


 一瞬、沈黙が落ちた。


 外で、何かが擦れる音。

 三人は同時に顔を上げる。

 カサ……カサ……

 遠くで、まだ“何か”が動いている。


 レオが立ち上がる。

「ここで夜をやり過ごす」


 ダイヤが頷く。

「うん……あの数は無理」


 サイモンも同意する。

「交代で見張りだな」


 簡単な配置を決め、三人はその場に腰を下ろした。

 長い夜が始まる。

 ――

 どれくらい時間が経ったのか。

 レオは一人、入口付近で外を見張っていた。

 闇は相変わらず濃い。


 だが、あの触手も、虫も、獣も、ここには近づいてこない。

「……避難場所、ってとこか」


 小さく呟いた、そのとき。

 ――ウゥゥゥゥン……

 サイレンが鳴った。


 レオの目が細くなる。

 そして――

 空が、戻った。

 さっきとは逆に、一瞬で明るさが差し込む。


「……切り替わったか」

 レオはすぐに振り返る。

「起きろ」

 ダイヤとサイモンを軽く揺する。

「朝だ」


 ダイヤがぼんやり目を開ける。 「……はや」


 サイモンも体を起こす。

「助かったな……」


 外を見ると、もう夜の気配はない。

 静かな廃墟の朝。


 ダイヤが立ち上がる。

「……じゃあ、これ持って帰ろう」

 指差したのは、骨とヘルメット。

 そして――

 入口付近に転がっていた、小さな虫の死骸。


「え、これも?」

 サイモンが眉をひそめる。


 ダイヤは真剣な顔で頷く。

「重要なサンプル!」

 一拍。


 そして、ダイヤが顔をしかめる。

「……うわ、私は無理だけど」


 レオが小さく笑う。

「じゃあやめるか?」


「やるよ!!」

 ダイヤは半泣きで回収する。

「やっぱ無理ぃぃぃ!」

「ゴリにぃ……持ってって……」

「必要だから!」


 サイモンも嫌な顔しながら。

「わかった、持ってくよ」

 嫌がりながらも、しっかり確保するあたりはさすがだった。


 準備を終え、三人は建物を出る。

 ルミナス号へ向けて、歩き出す。

 しばらく進んだところで――

 サイモンが足を止めた。

「……なぁ」

 二人も止まる。

「気づいてるか」


 レオが静かに答える。

「……ああ」


 ダイヤが振り返る。

 遠く。

 瓦礫の影。

 黒い影が、一つ。

 こちらを見ている。

「……尾行してるね」

 ダイヤが小さく言う。


 レオが目を細める。

「距離を保ってる」


 サイモンが低く笑う。

「見張られてるってことか」


 影は、それ以上近づいてこない。

 だが、確実に“いる”。


 ダイヤが少し不安そうに言う。 「……ルミナス号、大丈夫かな」


 レオは前を向いたまま答える。 「行って確かめるしかない」


 三人は、歩みを早めた。

 背後からの視線を感じながら。

 ルミナス号を目指して――。


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