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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼14万PV達成】【平日月曜と金曜の朝6時更新】  作者: 準
【第一章】 宝石(星)の系譜/継がれる名、選ばれし者

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☆怒りのトリガー



 湿った空気が、肌にまとわりつく。

 水の惑星の地表とは違い、洞窟の内部は重く、息苦しいほどの圧を帯びていた。

 岩壁には、ぬらりとした光沢。

 そして――そこに張り付くようにしていた。

 両生類族。


 ルビィたちが一歩足を踏み入れた瞬間、その空気が変わる。


「来たぞ、魚人どもだ!」

 若い戦士の叫び。

 次の瞬間、十数体の両生類族が一斉に武器を構え、こちらへにじり寄ってくる。

 骨のような槍。湿った刃。

 敵意は明確だった。


 結依が小さく息を吐く。

「……歓迎されてないね」


 ルビィは手を軽く上げ、制止の意を示す。

「まだ戦わない。まずは話す」


 その横で、アストラが一歩前へ出る。

『翻訳を開始します』


 若い戦士の一人が、吐き捨てるように言葉を発した。

 ――ぐるぁ、らあ、しゃら!

 アストラが即座に訳す。

『侵入者。ここは我らの領域。立ち去れ』


 結依が眉をひそめる。

「いきなりそれ?」


 ルビィは落ち着いた声で言う。

「私たちは敵じゃない。話し合いに来ただけ」

 アストラが通訳する。


 だが――

 返ってきたのは、明確な拒絶だった。

『弱い魚人を連れている時点で信用できない、とのことです』


 結依が小さく舌打ちする。

「完全に見下してるわね」


 若い戦士たちは、じりじりと距離を詰める。

 その中の一体が、魚人族の方へ視線を向け――

 鼻で笑った。

 そして。

 近くにいた小さな魚人の子供を、無造作に突き飛ばした。


 ――ドンッ。

 軽い音。


 だが、その一瞬で空気が凍る。

 子供は地面に転がり、震えた。

 母親が慌てて駆け寄る。


 結依の目が、ゆっくりと細くなる。

「……今、何した?」

 低い声。


 だが、ルビィは気づいていた。

(まずい……)

 ルビィが一歩前に出る。

「結依、まだ――」

 その言葉が終わる前に。


 若い戦士がさらに挑発するように言葉を吐いた。

 ――ぐるる、らあ!

『弱いものは踏みつける。それが我らの――』

 アストラの翻訳が終わる前だった。


 結依の足が、わずかに動く。

 止まる。

 そして――


 結依の覇気で空気が変わった。

「はっ!!」

 次の瞬間。


 ――消えた。

 いや、違う。


 速すぎて、誰の目にも捉えられなかった。


 若い戦士の一体が、気づく。

「な――」


 ――ドンッ!!!

 衝撃。

 その個体が、壁に叩きつけられた。

 だが、それは始まりに過ぎなかった。


 ――バキッ!

 ――ゴシャァ!

 ――ドンッ!


 音だけが連続する。

 視界が追いつかない。


 気づいた時には――

 十五体の戦士が、地面に転がっていた。


 ルビィは、呆然とする。

「……え?」


 アストラが淡々と告げる。

『清水結依、戦闘スキルが通常時の最大で約二・七倍に上昇しました』


 ルビィが思わず叫ぶ。

「キレるとそんなに強くなるって、どういう事!?」


 結依は何も言わない。

 ただ、倒れた戦士たちを見下ろしていた。

 その目は、まだ冷えていない。


 洞窟の奥。

 さらに強い気配が、ゆっくりと動き出していた。


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― 新着の感想 ―
子どもが突き飛ばされた瞬間に結依の空気が変わる場面、すごく分かりやすくて格好良かったです。 青くなりますよね、そういう状況…… 普段の軽いやり取りとの落差も効いていて、怒ると戦闘力が跳ね上がる設定に…
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