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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼15万PV達成】【平日月曜の朝6時更新】  作者: 準
【間章零】宝石(星)の伝説/黒い惑星と黒い兵士

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★黒影との初交戦

◆黒い惑星――港 

 空気が張り詰めたまま、動いたのは――同時だった。


 三つの黒い影が、音もなく地面を蹴る。

 一直線に、サイモンへ。

「ちっ……来るか!」

 サイモンが踏み込み、真正面から迎え撃つ。

 振りかぶられた拳を、あえて受け止める。  

 ――ドンッ!! 鈍い衝撃が腕に走る。

「……重っ!」

 だが、そのまま腕を掴み――

「返すぞ!」

 力任せに、一本背負いのように叩きつける。

 地面が砕け、砂埃が舞う。

 その間に、残り二体が左右へ展開。


「サイモン、囲まれる!」

 レオが低く告げると同時に、前へ出る。


 一体が踏み込んできた瞬間――

 スッ、と半歩下がる。

 拳がレオの頬をかすめる。

「遅い」

 そのまま、腹へワンツー。

 ――ドッ、ドッ!

 衝撃は入るが、手応えが軽い。

「……硬いな」


 直後、黒い脚が跳ね上がる。

 レオは体をひねって回避。

 すれ違いざま――

「これでどうだ」

 レオの左足がしなる。

 ――バシィッ!!

 完璧な軌道の左ハイキックが、側頭部を捉える。

 だが――

「……っ!?」

 吹き飛ばない。

 わずかに揺れただけで、黒い個体は体勢を保つ。

 レオもすぐさま距離を取る。

「効いてはいるが……浅いか」


 一方。

「よっと……!」

 ダイヤは、三体目の攻撃を紙一重でかわし続けていた。


 踏み込み。  

 横薙ぎの腕。  

 追撃の蹴り。

 すべてを、最小限の動きで外す。

「速いけど……見える!」

 跳んでくる拳をスウェイで避け、身体をひねり――

 背後へ回る。

「今っ」

 首元へ掌打。

 ――コンッ!

 しかし、金属のような感触。

「……やっぱり硬い!」


 直後、黒い尾が唸りを上げる。

「っ!?」

 とっさに身を引くが、

 ――ブンッ!!

 風圧だけでバランスを崩しかける。

「なにそれ……尻尾、反則じゃない!?」


 戦場が、一気に混線する。

 サイモンは一体を押さえつけながら、もう一体の蹴りを肩で受ける。

「ぐっ……!」

 そのまま首を掴み、

「お前ら……軽くねぇな!」

 力任せに地面へ叩きつける。

 だが、

 もう一体が背後から回り込む。


「サイモン!」

 レオが踏み込み、割り込む。

 拳と拳がぶつかる。

 ――ガンッ!!

「っ……!」

 レオの顔が歪む。

「……威力、上がってるな」


 その瞬間。

 黒い影が、わずかに踏み込みを変えた。

「……っ?」

 違和感。

 次の一撃。

 レオが焦る!

 軌道が――読めない。


 ――ドゴッ!!

「がっ……!」

 レオの頭部に、クリーンヒット。

 視界が一瞬、白く飛ぶ。

 膝がわずかに沈む。


「レオ!」

 ダイヤの声。


 だが、その隙を逃さない。

 尾が、再び振り抜かれる。


「……くっ!」

 レオは咄嗟に腕でガード。

 ――バキンッ!!

 骨に響く衝撃。

「……ちっ、重い……!」


 ダイヤが横から滑り込む。

「離れて!」


 相手の腕をかわし、足払い。

 わずかに体勢を崩させる。


 その隙に、レオが引く。

「大丈夫!?」

「……問題ない。少しもらっただけだ」

 だが、その目は鋭いまま。

「こいつら……」

 呼吸を整えながら呟く。

「動きを学習してる」


 サイモンが一体を抑え込みながら叫ぶ。

「野生じゃねぇな、これ!」


 ダイヤも息を吐く。

「ねぇ……これ、“兵隊”じゃない?」


 一瞬の静寂。


 次の瞬間――

 三体が、同時に構え直す。

 さっきまでより、無駄がない。


 距離。  角度。  連携。

 すべてが、洗練されていく。


「……来るぞ」

 レオが低く言う。

 再び激突――


 その直前だった。

 ――ウゥゥゥゥン……

 遠くで、低いサイレンのような音が鳴る。


 三人の動きが止まる。

 黒い三体も、同時に動きを止めた。


「……なんだ?」

 サイモンが眉をひそめる。


 音は、一定のリズムで響いている。


 そのとき。

 黒い個体の一体が、わずかに空を見た。

 次の瞬間――

 三体すべてが、後退。


「は?」

 ダイヤが声を漏らす。


 さらに距離を取り、

 まるで最初から戦う気などなかったかのように、

 影の中へ溶けるように消えていった。


 静寂が戻る。

 残されたのは、荒れた地面と、三人の荒い呼吸だけ。


「……逃げた?」

 サイモンが呟く。


 レオはゆっくりと立ち上がる。

「違うな」

 一拍置いて。


「“戻った”んだ」


 ダイヤが、黒い影が消えた方向を見つめる。

「……ねぇ」

 小さく言う。

「やっぱり、この星……普通じゃないよ」


 ――三人の間に、重い沈黙が落ちた。


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