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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼15万PV達成】【平日月曜の朝6時更新】  作者: 準
【間章零】宝石(星)の伝説/黒い惑星と黒い兵士

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★黒き星の影と追跡者



◆黒い惑星――廃墟街

 先ほどの接触――いや、“観察”とも言える出来事のあと。

 三人の間に、言葉にしづらい違和感が残っていた。


 ダイヤが小さく息を吐く。

「……なんか、気持ち悪いね」


 サイモンが肩越しに後方を見る。

「見られてる感じ、ずっとあるな」


 レオが淡々と言う。

「だが姿は見せない。意図的だ」

 一拍。


 ダイヤが軽く手を叩く。

「よし、とりあえず海行こっか」


 サイモンが呆れたように言う。

「切り替え早ぇな」


 ダイヤは笑う。

「だって、調査が仕事でしょ?」


 レオも短く頷く。

「優先順位は変わらん」


 そうして三人は、かつて港だったと思われる場所へ向かうことにした。

 廃墟の街を抜ける。

 崩れた建物の影、ひび割れた地面、風に削られた構造物。


 そのどこからでも、“視線”を感じる。


 サイモンが小声で言う。

「……いるな」


 ダイヤも視線を動かさずに答える。

「うん、いるね」


 レオが続ける。

「距離を保っている。追跡だ」


 サイモンがニヤッとする。

「何人くらいだ?」


 レオがわずかに間を置く。

「……三」


 ダイヤが小さく笑う。

「私も三人かなって思った」


 サイモンが言う。

「じゃあ決まりだな、三名様ご案内中だ」


 ダイヤが肩を揺らして笑う。

「じゃあさ」

 一拍。


「知らないふりしよ」


 サイモンが吹き出す。

「いい性格してんな」


 レオが短く言う。

「悪くない判断だ」


 三人は、あえて気づいていないように振る舞いながら歩き続ける。

 背後の“気配”は、一定の距離を保ったまま、ついてくる。


 やがて、視界が開ける。

 そこには――かつて港だったであろう場所が広がっていた。

 崩れた桟橋、傾いたクレーン、半分沈んだ船体。

 だが、海そのものは静かで、異常は感じられない。


 ダイヤが少し安心したように言う。

「……ここは普通だね」


 サイモンが海を覗き込む。

「水もきれいだな」


 レオが端末を操作する。

「成分分析開始」


 三人は分散して、調査を始める。

 ダイヤは海水を採取し、サンプル容器に移す。

 サイモンは岸辺の構造物を確認し、素材を調べる。

 レオは周囲の環境データをまとめていく。


 その間も――

 “視線”は消えない。


 ダイヤが小声で言う。

「ちゃんとついてきてるね」


 サイモンが答える。

「距離も変わらねぇ」


 レオが短く言う。

「監視だな」


 ダイヤがくすっと笑う。

「なんか、逆に安心してきた」


 サイモンが言う。

「慣れるな」


 そのとき。

「おい、二人とも」

 サイモンの声。

 ダイヤとレオが振り向く。


 サイモンは、港の端にある崩れた構造物の前に立っていた。

「これ、見てみろ」


 二人は近づく。

 そこにあったのは――

 半分埋もれた、何かの装置。

 金属質で、だがこの星の廃墟よりも“新しい”。

 ダイヤが目を細める。

「……それ、最近のものじゃない?」


 レオが遠目で確認する。

「劣化が浅そうだな。数十年以内……いや、もっと短い可能性もある」


 サイモンが低く言う。

「ってことは――」


 その瞬間。

 ――ガッ!!

 衝撃。


「ぐっ……!」

 サイモンの体が横に弾かれた。


 ダイヤが叫ぶ。

「ゴリにぃ!」


 黒い影が、サイモンに覆いかぶさる。


 レオが即座に動く。

「離れろ!」


 一瞬の交錯。

 影は跳び退いた。


 サイモンが地面に手をつき、顔を歪める。

「……くそ、いてぇな」

 ダイヤとレオが駆け寄る。


 ダイヤが言う。

「大丈夫!?」


 サイモンが歯を食いしばる。

「骨はいってねぇ……が、いいのもらったな」


 レオが前方を見る。

 そこに――三つの影。

 ゆっくりと姿を現す。

 全身が黒い。

 光を吸い込むような質感。


 頭部はヘルメットのように見えるが、境界が分からない。

 腕は二本、やや長い。

 脚も二本。だが、その背後には細長い尾のようなものが揺れている。


 肩と腕には、プロテクターのような構造。

 だがそれが装備なのか、肉体の一部なのか――判別できない。


 腰にはベルト。

 ホルスターらしきもの。

 手首には、小型の装置。

 “装備している”のか、“そういう生物”なのか。

 判断がつかない。


 ダイヤが小さく呟く。

「……なに、あれ」


 サイモンが立ち上がる。

「さっきの連中か」


 レオが低く言う。

「間違いない」


 一体が、一歩前に出る。

 その動きに、無駄がない。


 ダイヤが前に出る。

「ねぇ」

 一拍。


「話、できる?」


 反応は――ない。

 ただ、かすかな“呼吸音”のようなものが聞こえるだけ。


 サイモンが言う。

「言葉、通じてねぇな」


 レオが短く言う。

「あるいは、応じる気がない」


 黒い三体は、じりじりと距離を詰める。

 包囲するように。


 ダイヤが小さく息を吐く。

「……これ、やる流れ?」


 サイモンが口の端を上げる。

「最初からそのつもりだろ、あいつら」


 レオが構える。

「警戒を最大に」


 一触即発。

 静かな海の音だけが、かすかに響く。

 そして――

 黒い影が、同時に動こうとしていた。



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