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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼15万PV達成】【平日月曜の朝6時更新】  作者: 準
【第八章】宝石(星)の系譜/因果の果て

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☆護る者たち

◆中央コロニー広場上空

 ドローンからの衝撃波が二つ――零間二射。


 フェザーが跳ぶ。

 腕から滑るように宙へ。白い軌跡が弾道へ割り込み、硬質な衝突音。


 一発は防ぐ。

 もう一発は、わずかに逸れる。

 アクアが倒れる。

 悲鳴が響いた。


 上空、ドローン上。

『……手応えがない』

 ノアが舌打ちを混ぜる。

『標的、倒れたが貫通感なし。追射したいが、あの動物が邪魔だ』


『俺がやる』

 エリオが静かに割り込む。


 そのときだった。

結依は瞬時にスコープを上げ、瞳が細くなる。

「――よし」

 心拍は落ち着き、指先は冷たく硬い。全神経が標的へ吸い込まれる。

 息を整え、狙いを定める。

 一発の閃光と小さな反動。


 高層塔のエリオの肩へ正確に弾丸が当たり、ライフルが傾く。


 更にもう一発、ドローン側スナイパーの肩を貫く。


「両名の利き腕を潰した」

 結依の声は小さいが、冷徹。動揺も恐怖もない。


 焦りを見せるエリオの肩越しに、結依は、更に弾丸を連続で送り込む。

 銃身、照準、トリガーガード――すべて正確に破壊され、エリオはほぼ丸腰に。


 それでも抵抗するエリオ。

 左腕で撃とうとするが、またしても結依の一撃で止められる。

 金属が弾け、武器は落下。


「まだ抵抗するのか……?」

 結依は目を細め、呼吸一つ乱さず次の攻撃を見据える。


 そのとき、エリオの背後からレオが近づく。

 影が差した刹那。

 振り向くより早く、顎に重い一撃。


 妻のアクアを殺そうとしたエリオに容赦なし。

 エリオは抵抗しつつも、レオの連撃でバランスを崩す。

 ジャブ、フック、膝蹴り。レオの体がしなやかに流れる。


 最後に、エリオの視界の外から跳んできた左ハイキック。

 ――閃光が、エリオのテンプルを直撃……意識を奪われる。


レオは無言で拘束具をかけ、エリオを確保。


『レオさんがエリオを確保しました。ノアも右肩損傷確認』

アストラが淡々と報告。


 上空ドローンのノアは、肩を撃たれながらも高度を下げる。

 半自動モードへ移行。機体は暴走気味に旋回する。

「エリオが……確保? くそ……だが、まだ終わってねぇ!」


 結依が、静かに呼吸を整える。

 スコープの中で世界が止まる。

 ――そして、三発。


 もはや零間三射だった。


 一発目、エンジン。

 二発目、センサー。

 三発目、推進部。


 乾いた衝撃が連なり、機体が痙攣する。

 バランスを失ったドローンは火花を散らしながら高度を失い、

そのまま中央広場脇へと墜落した。

 爆ぜる音。煙が噴き上がる。


 ルビィとダイヤはすでに走り出していた。

 少年姿のダイヤが先行し、ルビィがわずか後ろを取る。


 煙の中――倒れたはずのノアが、ゆらりと立ち上がる。

 左手で拳銃を引き抜き、発砲。


 ルビィは横へ流れるように弾丸を外す。

 その隙に、少年姿のダイヤがあえて一歩、ノアへ近づき誘う。

 銃口が、迷いなくダイヤへ向く。

 引き金が引かれる。

 ダイヤは体を、わずかに横へ滑らせる。

 弾丸は空を裂くだけ。


 次の瞬間――

 ルビィの一発。

 乾いた銃声。


 ノアの拳銃が、火花を散らして弾き飛ばされた。


「もう、終わりよ」

 ルビィは静かに告げ、そのまま銃口をノアへ向け続ける。


 ノアは動かない。

 武器を失ったはずだった。

 ――そのはずだった。


 しかしノアは懐に手を入れた次の瞬間、レーザーナイフを展開し、そのまま突進した。

 刃が――伸びる。

 瞬きの間に、細長い刀身へと変形。

 それはすでに、ナイフではない。レーザーブレードだった。


 ノアはダイヤへ突進。

 だが――

 ダイヤは全く慌てない。

 体を半歩ずらし、刃を紙一重でかわす。

 二撃、三撃、四撃。

 すべて空を切る。


 ダイヤは落ち着いて一歩を引き、ブレードを更に紙一重でかわす。

「遅いよ」


 何度も振り下ろされる左腕を、軽く右腕で払い、瞬時に左手で関節を押さえる。


 続いて、ノアの左脚を腕で払って重心を崩し、合気道のように宙を舞わせ、地面に叩きつけた。


 そのとき、アストラが駆けつけ、すぐに光の拘束具で確保。


 息が詰まる音。


 その首元に、光の拘束具。

『ノアの確保完了』

 アストラの通信が全員の耳に届いた。


 煙の名残が、まだわずかに空気に残っていた。

 張り詰めていた緊張が、少しずつほどけていく。


 ダイヤが軽く息を吐き、ルビィの方へ視線を向ける。

 口元に、いたずらっぽい笑みが浮かんだ。

「いやー……見た見た」

「ルビィのあの射撃」

 一歩近づき、肩越しに覗き込むように。

「正直さ」

「私より上手いよ」

 一拍。


 少しだけ間を置いて、ニヤッとする。

「もしかしたら――レオより上手いかもね」


 通信で聞いていたレオの眉が、わずかに動く。


 ルビィが目を瞬かせる。

 そして、少しだけ困ったように笑った。

「それは言いすぎですよ」

 だが、すぐに視線をダイヤへ向け直す。

「でも――」

 ダイヤの動きを思い出すように、軽く息を吸う。

「おばあちゃんの方こそ、すごかったよ」

 両手で小さく動きをなぞるように。

「あのレーザーブレード……」

 少し笑う。

「まるで子どもを相手にしてるみたいに、スイスイかわしてて」


 ダイヤが肩を揺らして笑う。

「子ども扱いはさすがに失礼じゃない?」


 ルビィもつられて笑う。

「だって、本当にそんな感じだったんです」

 少し真面目な表情に戻る。

「最後も、力で押さえたんじゃなくて」

 手で円を描くように。

「バランスを崩して、そのまま……すっと」


 ダイヤが軽く頷く。

「流しただけだよ」

 何でもないことのように言う。


 ルビィが小さく息を吐く。

「……すごいです」


 その会話を通信で聞いてた、サイモンがくすっと笑う。

『褒め合い大会か?』


 ダイヤが笑う。

「いいじゃん、たまには」


 レオの声も通信から聞こえる。

『浮かれるな』

 だが、その声はどこか柔らかかった。


 ダイヤがすぐに返す。

「はいはい、厳しいねぇ司令官様は」

 軽口に、空気がさらに和らぐ。


 ほんのひととき。

 戦いの余韻の中に、穏やかな空気が流れた。


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