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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼15万PV達成】【平日月曜の朝6時更新】  作者: 準
【第八章】宝石(星)の系譜/因果の果て

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☆蒼き標的と零間の弾道

 ――アクア暗殺の日

 ホログラムの光が静かに揺れる。

 決戦は、すぐそこまで来ていた。

 ◆中央コロニー・外縁監視ポイント

 空は澄み切っていた。

 風は弱い。視界良好。

 だが――静かすぎた。


 結依が高所でスコープを覗いたまま、小さく息を吐く。

「風、ほぼゼロ……やりやすいけど」

 わずかに眉を寄せる。

「逆に、嫌な感じする」


『同意します』

 アストラの声が即座に応じる。

『気流、音響、振動――いずれも異常なし』

『ですが、不自然な静穏状態です』


 別の高所。

 レオが都市全体を見下ろしている。

 視線は動かない。

「嵐の前ってやつか」

 短く吐き出す。


 少し離れた位置で、ダイヤが軽く指を動かしながら通信を開く。

「ルビィ、そっちどう?」


『問題なし』

 ルビィの声は落ち着いていた。

『配置完了。いつでもいける』


 ダイヤが小さく笑う。

「頼もしいね」


◆移動車両内部

 アクアが窓の外を見ている。

 群衆が遠くに見え始めていた。

 その腕の中で、フェザーが小さく身じろぐ。

「もうすぐね」

 アクアが静かにフェザーに話しかける。

 その隣で、アリエスがモニターを確認している。

「通信、すべて正常」

「裏の回線も、問題なし」


 サイモンが軽く息を吐いた。

「完璧すぎて怖いな」


 アリエスが視線を上げる。

「だからよ」

 一拍。


「“何かある”前提で動く」


 ――そして。

『全員へ』

 アストラの声が全回線に響く。

 『最終確認フェーズに移行します』


 ホログラムが各自の視界に展開される。

 『ターゲット――アクア・ミラノ』

 『防護優先順位、最上位』

 『同時に、カストル組織の指揮系統を露出させ、証拠を確定させます』


 レオが低く応じる。

 「了解」

 結依が短く言葉を返す。

 「了解」

 ルビィ。

 「了解」

 ダイヤが軽く笑う。

 「了解っと」


 アクアが目を閉じ、ゆっくり開く。

 「始めましょう」


 アリエスが頷く。

 「ええ」


 サイモンが小さく呟く。

 「派手にいくか」


 フェザーが小さく鳴いた。

 「きゅぅ」


 アストラが最後に告げる。

 『暗殺予定時間まで』

 一拍。


 『五分』


 静寂。


 誰も、もう余計な言葉を発しない。

 それぞれが、自分の役割へと沈み込む。


 そして――

 運命の時間が、動き出した。


◆中央コロニー広場

【星間平和協定一〇周年記念式典】

 各コロニー代表が集まり、未来協定の再締結を宣言する象徴的な日。

 アクアは主賓。民衆の期待を一身に集める存在。

 広場は人で埋め尽くされている。花束を持つ子ども。旗を振る群衆。報道ドローンが空を舞う。


 アナウンスが響く。

「これより、特別顧問アクア氏が会場入りします!」

 歓声。


 車列が到着し、ドアが開く。アクアが姿を現し、笑顔で手を振る。壇上へ向かう赤い導線。


 空は雲ひとつない。

 それが、不吉だった。


 アクアはフェザーを腕に抱き、ゆっくりと広場へ向かって歩く。

人々は距離を保ち、祝福と敬意の視線を向けている。


 一四時一七分、暗殺予定三分前。

 高所、四カ所。

 レオ、結依、ルビィ、ダイヤ。それぞれが配置につく。


『対象エリア、異常なし』

 アストラの声は冷静だ。だが次の瞬間――

『……待ってください。変です』

『容疑者二名、所在不明。顔認証、動体解析ともに該当なし』


 全員の息が止まる。視界の外――予想外の位置からの射撃の気配。


「見落としはないのか?」

 低く押し出すように、レオが問う。


『ありません。ですが、私のセンサーの外にいると推測されます』

 つまり、視界の外。


 ――想定外。残り、一分。


 アクアは足を止めない。フェザーが小さく鳴いた、その瞬間。

《上空、高速移動体を検出》


 アストラの声が一段低くなる。

『ウォー・ホークです』

『軍事用の人がひとり乗れるドローンです』


「え?ドローン?」

 結依が即座にスコープを上げる。

「……あれに違いない」


ドローンは音を殺し、死角から滑り込む。


『さらに上方』

 報告が重なる。

『高層軌道塔、最上部。熱源反応。狙撃手、もう一名確認しました』


 呼吸が止まる。

 四カ所の高所より、さらに上。完全な盲点。


「二重構えか……」

 レオの声が沈む。


『歴史通りの入射角なら、ドローンからの零間二射と想定されます』


 ――その時間が来る。

 一四時二〇分。風が止んだ。

 アクアは踏み込む。

 結依の指が引き金に触れる。


 ルビィが息を整え、ダイヤが視線を上げ、レオが通信を絞る。


『アクアさん、ドローンのスナイパーに気をつけて』

 アストラの声が通信内で響く。


 一瞬。

 全員の神経が研ぎ澄まされる。


『発射予兆――きます!』

 閃光が二つ。

 


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