↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼15万PV達成】【平日月曜の朝6時更新】  作者: 準
【第八章】宝石(星)の系譜/因果の果て

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
128/222

☆偽りの死と救出作戦

◆アリエス邸

 静かな部屋に、全員が集まっていた。

 張り詰めた空気の中、作戦はアストラの情報を軸に組み立てられていく。


 アクアが、意外にも柔らかな笑みを浮かべた。

「私が暗殺される七月一九日の一四時は、【星間平和協定一〇周年記念式典】の日ね」

 一拍置き、視線を全員に巡らせる。


「射殺場所は壇上ではなく、会場入りの時。車から降りて間もなく、中央コロニー広場ね」

 そのまま、迷いなく言葉を重ねた。

「……なら、私はここで囮になるべきね」

 静かな声だった。だが、その奥には揺るがぬ決意があった。


 レオの喉がわずかに詰まる。

「アクア……」


 アクアは小さく首を振る。

「大丈夫よ」

 穏やかな微笑み。

「歴史では、私はこの日に死んでる。だったら――使えるものは使わないと」


 ルビィが強く拳を握る。

「ただし、完全な無防備にはしません」


 アストラが静かに頷いた。

『警護を増やせば、暗殺者は警戒します。よって、同行者は私一名のみ』


 結依が前に出る。

「撃たれた瞬間、どこから撃たれたか。角度、距離、弾道……」

 一度、言葉を区切る。

「アストラが一番、正確に判断できる」


『その通りです』

 アストラが即応する。

『私のセンサーで、射撃位置を即時特定します』


 ダイヤが腕を組んだ。

「で、アクアさんの“本当のボディガード”は」

 その瞬間。

 テーブルの下から、もぞ、と柔らかな気配。

「きゅっ」

 白い毛玉が顔を出す。


 ダイヤが苦笑した。

「フェザーでいいの?」


 アストラが淡々と説明する。

『地下都市ルナストンで、正式に護衛訓練を受けています。皮膚強度は通常ライフル弾を無効化可能』

『ペットを抱いて歩いている科学者を、警戒対象とする者はいません』


 結依がフェザーを見つめる。

「完璧すぎない?」

 フェザーは誇らしげに胸を張った。


 ルビィがホログラムを操作する。

 淡い光の中に、四つのポイントが浮かび上がる。

「射撃可能地点は、四カ所」

 視線を鋭く前へ向けた。

「そこに――レオさん、ダイヤさん、結依、私がそれぞれ配置につきます」


 レオが低く頷く。

「フェザーのボディガードを信用して」

 わずかに目を細める。

「撃った瞬間、確保する」


「逃がさない」

 ダイヤの声が短く落ちる。


 結依の拳が静かに握られる。

「……零間二射」


 アリエスが手を上げる。

「私は?」


『サイモンさんと一緒に待機です』

 アストラが即答する。

『アクアさんが撃たれた後、“死亡偽装”が必要になります』


 サイモンが小さく息を吐いた。

「やっぱり、そこは俺の出番か」


 レオはしばらく黙っていた。

 やがて、ゆっくりと口を開く。

「……アクアの死は、歴史通りに扱う」


 空気がわずかに張り詰める。

 アクアが静かに目を伏せた。

「だから……」

 レオの声が続く。

「その日以降、オリオンとは会えない」


 重い沈黙。


「オリオンは、歴史通りアリエスが育てる」

 妹へ視線を向ける。

「その未来があるからこそ、七八が生まれた」


『補足します』

 アストラが静かに言葉を重ねる。

『オリオン博士の人格形成、研究分野、アンドロイド開発――いずれも、アリエス博士の影響が決定的です』


 結依がそっと問いかけた。

「……じゃあ、アクアさんは、その後どうするの?」


 レオは迷わなかった。

「俺たちと一緒に行く」

 一拍。


「五〇年先の未来へ」


 アクアは、ゆっくりと微笑む。

「……ええ。生きれる場所があるなら、そっちを選ぶわ」


 ルビィが深く頷いた。

「では、決まりです」


 ホログラムが展開される。

《アクア・ミラノは、歴史通り暗殺予定日に行動し、囮となる》


《同行者はアストラ一名のみとし、警護の増強は行わない》


《真の護衛としてフェザーが常にアクアの傍につき、射撃時フェザーは弾道上に割り込み防弾する。アクアは血糊を使用し倒れる》


《射撃可能と想定される四地点に、レオ、ルビィ、ダイヤ、結依が配置。発砲と同時に暗殺者を確保》


《アリエスとサイモンは現場外で待機し、射撃後、アクア死亡の偽装処理を実行》


《暗殺実行後、歴史上アクアは死亡扱いとなり、本人はルミナール号と共に未来へ移動》


 さらに、行動計画が分割される。

 実行日までの行動は三班に分かれる。

①レオ、アリエス、アクア、アストラ、ダイヤ。

 暗殺計画を主導した犯罪組織の摘発に向け、裏から行動。


②結依とフェザー。

 零間二射を想定した護衛訓練を実施。


③ルビィとサイモン。

 暗殺者の有力容疑者二名の徹底調査。

 すべてが、定まった。

 あとは――

 運命の日を、迎えるだけだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。