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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼15万PV達成】【平日月曜の朝6時更新】  作者: 準
【第八章】宝石(星)の系譜/因果の果て

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☆増えた家族、増えた問題

 艦内の緊張が、わずかにほどけたとき。

 突然、ルビィがレオとダイヤを見て、ぽつりと言った。


 ルビィが、言葉を探すように視線を泳がせる。指先でコンソールの縁をなぞりながら、少しだけ迷って――それでも口を開いた。

「……あのさ」


 何気ない一言なのに、その場の空気がふっと静まる。自然と、全員の視線がルビィへ集まった。


 ルビィは小さく肩で息をしてから、照れくさそうに笑う。

「こうして並ぶとさ」

 少し間を置いて、言葉を選ぶように続ける。

「レオさんって……私のおじいちゃん、だよね?」

 一瞬。

 時間が、ぴたりと止まったみたいな沈黙。


 レオはまばたきを忘れたように固まり、それからわずかに眉を動かす。

「……は?」

 返事というより、思考が追いつかないまま零れた音だった。


 数秒遅れて、レオはゆっくり息を吐く。腕を組み直し、頭の中で関係をなぞるように視線を落とした。

「……ああ」

 低く納得した声。

「確かに、そういうことになるな」


 結依が勢いよく身を乗り出す。椅子がわずかに軋んだ。

「あ、じゃあ……サイモンさんも?」


 指をさされたサイモンは、まるで不意打ちでも食らったみたいに目を見開く。

「え、俺も!?」

 一拍置いて、天井を仰ぐ。


「そっか……」

 苦笑が滲む。

「ダイヤが“おばあちゃん”って呼ばれてんの、他人事だと思って笑ってたのにさ」

 肩を揺らしながら、ぼやくように続ける。

「まさか自分も同じ枠に入るとはなぁ……」


 ダイヤがくすっと笑った。柔らかく、どこか嬉しそうな響き。

「私たち、ちゃんと家族だったんだね」

 そのまま視線をアストラへ向ける。

「アストラだって、オリオンの子供みたいなものだし」


 サイモンがレオの横顔を覗き込むようにして、にやっと笑う。

「ってことはさ」

「アストラも含めて、レオの“孫枠”って感じじゃないか?」

 少し茶化すように言いながらも、どこか楽しそうだった。


 レオは露骨に嫌そうな顔をしかけて、途中で諦めたように小さく息をつく。

「……増えたな、家族」

 その一言に、空気がふっと緩む。


 アストラはわずかに視線を伏せ、それから顔を上げた。ほんの少しだけ口元が動く。

 無機質なはずの表情に、かすかな“照れ”のようなものが混じる。

『……定義上は、近い関係性と判断できます』

 言葉は相変わらず淡々としているのに、どこか人間らしい温度があった。


 その空気に、誰かが小さく笑う。

 気づけば、さっきまでの緊張はすっかりほどけていた。


 ダイヤが結依へ視線を向ける。

「そういえばさ、結依って感情が動くと身体能力が上がるよね」


 結依が一瞬、言葉に詰まる。

「……え、あ……うん、たぶん」


 アストラが間を置かず補足する。

『サイモンさんは、常に力のリミッターが解除された状態です』


 レオの口元がわずかに緩む。

「それ、普通に危険人物だろ」


 サイモンが短く返す。

「違う。ちゃんと制御している」


 ダイヤがもう一度、結依を見る。

「そういう所――遺伝なのかもね」


 結依は言葉を失い、視線が揺れる。

 サイモンは何も言わない。

 ただ、ほんのわずかに――結依へと視線を向けた。

 その一瞬だけ、ふたりの目が合った。


 フェザーが、小さく鳴いた。

 「きゅ」

 小さな鳴き声が、静かに余韻のように残る。

 その場に流れたのは、どこか柔らかい沈黙だった。

 だが――それは長くは続かない。


 ルミナール号の外、無音の宇宙の向こう側には、すでに目的地がある。

 巨大な円環構造。幾重もの防衛網と監視システムに守られた中枢拠点。

 アクア第一宇宙ステーション。


 六人と一体は、そこへ向かわなければならない。

 だが、正面から入ることはできるのか?


 過去に消えた船。

 存在してはいけない人間たち。


 そして――未来の技術を持つアンドロイド。

 すべてが、この時代にとって“異物”だった。


 沈黙の中で、誰もが同じことを考えていた。

 どうやって侵入するか。

 どうやって正体を隠すか。

 どうやって、この時代を欺くか。


 アストラの瞳に、淡い光が宿る。

 作戦は、これから組み上がる。


 宇宙は静かだ。

 だが、その静けさの裏で――

 新たな動きが、始まろうとしていた。


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