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宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼15万PV達成】【平日月曜の朝6時更新】  作者: 準
【第八章】宝石(星)の系譜/因果の果て

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☆ミラノ家暗殺の真実(前編)

◆ルミナール艦内・メインラウンジ

 レオは、指先が、わずかに震えている。

 静かな声ではっきりと言った。

「みんな、手を貸してくれないか?」

 全員の視線が集まる中、レオは顔を上げる。

「俺の妻、アクア・ミラノ」

 一拍。


 その名に、ルビィが息を呑んだ。

「オリオン博士の……お母さん」


 レオは小さくうなずく。

「ルミナス号が出航して、約一一ヶ月後」

 レオは淡々と、だが噛みしめるように続ける。

「アクアは……射撃による暗殺で亡くなっている」


 胸の奥に沈めてきた事実だった。

 レオは静かに続ける。

「俺は七八の記録で知った。暗殺事件は五〇年も前の出来事だ。過去は変えられない……そう思って、受け入れるしかなかった」

 そこで、言葉を区切る。


「でも、今は違う」

 はっきりと前を見る。

「俺たちは――まだ、その“前”にいる」

「助けたい」


 沈黙。


 そのとき、サイモンが思い出したように口を開いた。

「……なあ」

 視線を泳がせながら。

「ルミナス号、設計したの…アクアさんだったよな?」


 レオが頷く。

「ああ、アクアが総責任者だ」


 サイモンは遠い記憶を手繰るように言う。

「出航のカウントダウンの時さ、通信で声かけてきたの……あれも、アクアさんだった?」

 一瞬、場の空気が柔らぐ。


「……そうだ」

 レオは小さく笑った。

「最後に聞いた声だ」


 その空気を、静かに切ったのはアストラだった。

『補足します』

『アクア・ミラノ、享年二八歳』

 全員がアストラを見る。

『アクア・ミラノ暗殺事件』

 淡々とした声。

『発生日時――L.C.四二八年七月一九日、午後一四時二〇分』

 一拍。


『現在時点から、二八日後です』

 数字が、現実として落ちてくる。

『犯行に関与した組織は、L.C.四三一年一月二九日に摘発されることになります』

『原因は、アリエス・ミラノ博士への二度目の暗殺未遂が、逮捕の決定打となりました』


『ただし』

 アストラは続ける。

『アクア暗殺の“実行犯”は、特定されていません』


 ホログラムに、事件の一覧が浮かぶ。

 《暗殺・アクア・ミラノ》

 《暗殺未遂・アリエス・ミラノ》

 《暗殺未遂・バルゴ・ミラノ》

 《暗殺未遂・リブラ・ミラノ》

 《暗殺未遂・アリエス・ミラノ》

『アクアさん以外の三人は、すべて失敗、警戒の強化もありますが――』

 一拍置いて。


『使用された射撃技術が、異なります』


 結依の眉が、わずかに動く。


『アクア暗殺時の手口は、“二射撃ち”』

『極めて短時間――〇点数秒以内に二発。命中部位は、頭部と胸部』


 沈黙。


『確実に仕留めるための、プロの技術で、“零間二射”と呼ばれる修得困難な技術です』


 その言葉を聞いた瞬間だった。

 結依の表情が、凍りついたように止まる。

「……零間二射?……」

 喉が、かすれる。

「それ……」

 視線が、無意識に自分の手を見る。

「私……知ってる」

 全員が結依を見る。


「その撃ち方…零間二射…」

 結依の声が、わずかに震える。

「私、父から教わった」

「もしかしたら、私の父が…」

 空気が、更に重くなる。


 即座に、アストラが言い切った。

『否定します』

『結依さんの父親が関与する可能性はありえません』

 結依が顔を上げる。


『時間軸が一致しない』

『我々の時代から五〇年前の現在、結依さんの父親はまだ誕生していません』

 少しだけ、間を置いて。


『しかし、同一系統の射撃技術が使われた可能性は高いです』


 結依は、ゆっくり息を吐いた。

「じゃあ、父が学んだ“元”が……?」


 アストラがわずかに頷く。

『そのスキルを持つスナイパー、もしくは同じ系譜の訓練を受けた人物が、アクア暗殺の実行犯である可能性があります』

 静まり返る艦内。


 レオは、拳を握り、低く言う。

「止めたい。助けたい」


 その足元で、フェザーが小さく鳴いた。

「きゅ」

 まるで、決意に応えるように。


 六人は、避けられない“一ヶ月後”へ向かって、動き出した。



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