↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宝石(星)の系譜 〜50年前に遭難した伝説の探査船を救助したら、17歳の祖母が船長として居座っていた件。未知の惑星を巡る異世界航海録~【御礼15万PV達成】【平日月曜の朝6時更新】  作者: 準
【第八章】宝石(星)の系譜/因果の果て

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
120/223

☆ふたりの子供(後編)



◆ルミナール艦内・メインラウンジ

 ――少しの間、沈黙が流れる。

 ルビィは無意識に胸元のエンブレムを握る。

 艦内には、告白の余韻が重く残っていた。


 その空気を破ったのは、サイモンだった。

「……じゃあさ」

 サイモンがゆっくりと顔を上げる。

「この時代の宇宙ステーションに、俺たちは帰っていいのか?」


 アストラは即答する。

『いいえ。できません』

 サイモンの肩がわずかに落ちる。

 アストラが続ける。

『オリオン博士の指示は明確です』

『ルミナス号の三名を無事に救出していた場合、ルミナール号のワープ制御部には“裏側に隠された操作区画”が存在します』


 結依が目を見開く。

「隠し……ドア?」


『はい、そこで、タイムマシーン機能を操作できます』

 一拍。


『行き先の時代は、ルミナール号が出航した五週間後に設定されています』

『三名を伴い、今から五〇年後の未来の時代へ戻るよう指示されています』


 ルビィが眉を寄せる。

「……この時代に三人を戻すのは?」


『不可です』

 アストラの声は冷たいほど正確だった。

『行方不明、ならびに死亡推定となっている三名を、この時代の宇宙ステーションへ帰還させた場合、歴史改変が発生します』

『それは、タイムパラドックス条約違反です。重罪に該当します』


 ルビィが小さく息を吸う。

「……許可なくタイムマシーンを使ってる時点でも、重罪だよね?」


『はい』

 アストラは否定しなかった。


 ダイヤが苦く笑う。

「オリオンもサファイアも条約違反は気にしないってことね」


 レオが低く吐き捨てる。

「……オリオンのやつ……」


 そのとき。

 もぞ、と小さな音。

 ダイヤの足元から、ふわふわした毛玉が顔を出す。

 「……きゅ?」

 状況など知る由もなく、ブーツに体をこすりつける。


 ダイヤが一瞬きょとんとし、ふっと笑う。

「……ああ、フェザー」

 しゃがみ込み、やさしく撫でる。

「この空気、さすがに重すぎたよね」


 張り詰めていた空気が、わずかにほどける。


 アストラが話を戻す。

『続けます』


 フェザーがダイヤの腕の中で丸くなる。


 そのまま、言葉が続く。

『オリオン博士のデータによれば、ルミナス号は出航から三ヶ月後、信号が完全に途絶えています』


 サイモンが息を呑む。


『なお、本部との通信には、別銀河の為、長距離量子リンク通信――通称リンクが使用されていました』

『リンクには約一ヶ月の遅延が発生しますが、最後の通信も記録として残されています』


 アストラは淡々と続ける。

『当時は原因不明。しかし現在の知見では、惑星アークス周辺に存在した、あの恒星の影響で信号が遮断された可能性が高いです』

 一拍。


『つまり、リンク通信・船体信号ともに、同時期に遮断されたと考えられます』

『そして三年間、行方不明。その後、死亡認定』

 静かな声が、現実を突きつける。


『オリオン博士は成人後、無人探索機によりアデーロス第三銀河を調査しました』

『そこで、第三銀河の恒星の一つが爆発した痕跡を発見し、爆発時期や影響など調査しました』


 結依が、かすれた声を漏らす。

「じゃあ……」


 アストラが続ける。

『博士の仮説では、ルミナス号の三名は、信号が途絶えた後も、約三ヶ月から六ヶ月は生存していた』


 ダイヤの表情がわずかに曇る。

『そして、恒星爆発に巻き込まれ、死亡したと結論づけています』


 沈黙。


『つまり、恒星が爆発する前に救出することが、二人の博士の目的でした』


 フェザーが、くぃ、とダイヤの顎をつつく。

 ダイヤが小さく息を吐く。

「……なるほどね」

 そして、空気を切り替えるように笑う。

「完全にやられたねぇ、レオくん」

 レオの肩に軽く手を置く。

「私たちの子供は二人そろって、用意周到すぎるよ」


 レオは苦い顔のまま、黙っている。


 ダイヤが続ける。

「つまりさ」

 全員を見渡す。

「私たち三人は、この時代で生き続けることはできない」

 一拍。


「でも」

「ルビィたちの時代――五〇年後なら、話は別ってことだね」

「そこでは、私たちが生きてても歴史の改変にはならない」

「もう五〇年前に死んでるわけだから、新しいID用意してもらわないとね」

 ダイヤがニヤッと笑う。

「いいじゃん、それで」

 サイモンを見る。

「ゴリにぃもさ、五〇年先の未来に行っても、すぐ慣れるよ」


 サイモンが苦笑する。

「そう簡単に言うなよ……」


 ダイヤが、少しだけ声を落とす。

「でもね、オリオンやサファイアの気持ちは、わかるよ」

 フェザーを胸に抱いたまま、静かに言う。

「助けたいって気持ち。それだけで、時代を越える理由になる」


 その言葉に、レオはしばらく黙り込む。

 やがて、深く息を吸う。

 レオが視線を落としたまま、ゆっくりと口を開く。

「……俺」

 一拍。


「五〇年後の未来に行く前に……」

 さらに言葉を選ぶように間を置く。

「この時代に、どうしても助けたい人がいる」


 フェザーが、小さく鳴いた。

 その声が合図のように、物語は次の選択へと進み始めていく。



 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!


 この物語が少しでも気に入っていただけましたら、ページ下部の星【☆☆☆☆☆】をタップして、あなたの評価を教えてください!


「全然面白くなかった」なら星1つ【★☆☆☆☆】、


「続きが気になる!」なら星5つ【★★★★★】。

 どんな評価でも、反応をいただけることが一番の喜びです。

これからも彼らの物語を届けていきますので、**【ブックマーク】**での応援もぜひよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。