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☆危険と共存の狭間で

一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。

完結してる作品なので、完結は必ずします。


「」人のセリフ

()心の声

『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。


※私の小説のルールです。


今夜も20時に1話あげます。

 ――恐竜生態特別報告会議

◆ジュラシックアース・統合評議会ホール


 ホールは、静まり返っていた。

 中央のホログラムには、ダイヤと恐竜の距離、動作ログ、行動同期の映像。

 そして、恐竜が攻撃しなかった決定的瞬間が、繰り返し再生されている。


 フェザーが淡々と締めくくった。

「以上が、現地調査の結果です」


 ダイヤが一歩前に出る。

 そして、まっすぐに前を見据え、静かに話し始める。

「恐竜には、仲間か否かを判断する“行動言語”が存在する可能性が高い」

 ざわり、と。

 見えない水面に石を投げ込んだように、空気が揺れた。


 アーク大統領が低く言う。

「……つまり?」


 ダイヤが一歩踏み出し、言葉を重ねる。

「恐竜は、言葉じゃなくて“振る舞い”で会話してます」

「距離、順序、動作、間」

「それを守った相手を――仲間として扱う」

「人間も、そこに入れる」


 次の瞬間。

 軍部代表の男が立ち上がり、声を荒げた。

「――ふざけるな!」

 鋭い声がホールに響く。


「それは、危険すぎる仮説だ!」

「相手は、数十トンの生物だぞ!

 一つ間違えば、取り返しがつかない!」

「“仲間ごっこ”で、二一億人の命を賭ける気か!」

 空気が、一気に張り詰める。


 別の代表が口を開く。

「賛成できない」

「知性を確認したわけでもない」

「偶然の可能性は?」

「再現性はあるのか?」


 次々に、反対意見が投げ込まれる。


「恐竜は、野生だ」

「制御できない」

「失敗したら終わりだ」


 ダイヤは、何も言わずに聞いていた。


 フェザーが静かに口を開く。

「“制御”という言葉が、すでにズレています」

「恐竜は、支配される前提の存在ではない」

 言葉を続けようとした瞬間――

「理想論だっ」

 別の声が、即座に遮る。


 技術部門の代表が前に出る。

「感情や直感に頼りすぎている」

「再現不能なら、科学じゃない」

「データは、まだ少ない」


 クラウドが、たまらず声を上げた。

「でも! 攻撃は、止まったんだよぉ〜!」

「映像、見たでしょぉ〜!? あれが偶然に見えるぅってぇ〜のぉ〜!?」


 軍部代表が吐き捨てる。

「一度きりだ」

「二度目は、保証されない」


 その瞬間。

 ダイヤが、ゆっくりと顔を上げ、静かに言う。

「保証は、ありません」

 会場が、すっと静まる。

「でも」

 ダイヤは、一歩も引かずに続けた。

「今までのやり方にも、保証はなかった」

「縄張りを避ける」

「距離を取る」

「触れない」

 一つ一つ、言葉を置くように。

「それで、増え続ける恐竜と、狭まる人類の土地を、どうするつもりなんですか?」

 沈黙が落ちる。


 ダイヤが続ける。

「恐竜は、仲間同士では戦わない」

「少なくとも、彼らの世界では」

「なら、“仲間かどうか”が、すべてなんです」


 誰かが、小さく呟いた。

「危険すぎる」


 ダイヤは頷いた。

「うん。危険、だから……」

 一歩、前に出る。

「私がやりました」

 空気が揺れる。


「プロトコルを、一番最初に使ったのは、私です」

 会場がどよめく。


 別の代表が声を上げる。

「実験段階での実行を許可もなくしたのか?」

「それは、禁止行為だろう?」


 ダイヤが即座に返す。

「知ってます」

 そして、遮るように続けた。

「でも、誰かがやらなきゃ“存在証明”はできなかった」

「恐竜は応えた。それが結果です」


 フェザーが静かに補足する。

「再現性は、確認可能です」

「プロトコルは、“学習型”です。繰り返すほど、精度が上がる」


 サイモンの声が後方から飛ぶ。

「人間側も、学ばなきゃいけないってことだよね」

「義務教育レベルで」

 再び、ざわめき。


 アーク大統領が長く息を吐いた。

 アーク大統領が低く言う。

「賛成派と、反対派……どちらも、正しい」

 一拍。


「だが」

 視線をダイヤへ向ける。

「選択を先延ばしにすると、状況は悪化していく」


 ダイヤが静かに答える。

「恐竜は、すでに“待っている”」

 一拍。


 アーク大統領が決断する。

「共存プロトコルの段階的試験運用を、検討する」


 反対派がすぐに声を上げる。

「条件付きでだ!」

「監視下で!」

「失敗時の即時中断を!」


 フェザーが即答する。

「当然です」


 ダイヤが、ほんの少しだけ笑い穏やかに言う。

「“人間側の練習”も必要になります」


 誰かが、冗談めかして言った。

「恐竜語、必修科目か?」


 ダイヤがきっぱりと言う。

「ううん、違います。仲間になるための、マナーです」

 会場は、再び静まった。


 それは――

 人類が初めて、他者の星で。

 “生き残る”ではなく、“対等”を学ぼうとした、最初の瞬間だった。


私からのお願い。

もしも、気にっていただけたら

★★★★★の評価と、ブックマークなどお願い致します。

感想などもお待ちしてます。


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