☆はじめての“人間側テスト”
一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。
完結してる作品なので、完結は必ずします。
「」人のセリフ
()心の声
『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。
※私の小説のルールです。
◆ジュラシックアース・統合評議会ホール(会議終了後)
重苦しい空気が、まだホールに残っていた。
代表たちが三々五々に散っていく中、ダイヤはその場に立ったままだった。
フェザーが横に並び、静かに言う。
「……ずいぶん派手にやったわね」
ダイヤは小さく息を吐いた。
「うん。ちょっと怒られるくらいかなって思ってた」
フェザーが即座に返す。
「“ちょっと”で済んでないわよ」
そこへクラウドが、ひょこっと顔を出す。
「いやぁ〜でもぉ〜、結果オーライじゃないのぉ〜?」
「全然オーライじゃない」
フェザーがぴしゃりと言う。
クラウドは口を尖らせる。
「えぇ〜……だって通じたんですよぉ〜?」
そのとき。
後ろから、わざとらしい咳払いが聞こえた。
振り返ると、サイモン、ガスト、アンデル、シロッコたちが壁際に並んでいる。
ガストがニヤリと笑う。
「で? 結局やるんだろ、“人間側の練習”」
ダイヤが目を瞬かせる。
「え、今から?」
「…………今から」シロッコが即断する。
アンデルが腕をぶん回す。
「よーし来た! 恐竜プロトコル実技試験だな!」
フェザーが額に手を当てた。
「……嫌な予感しかしない」
サイモンが手を叩く。
「じゃあまずは基本からいこうか。距離、姿勢、呼吸、だよな?」
ダイヤは一瞬きょとんとしたあと、ふっと笑った。
「うん。じゃあやってみよう」
その場に、簡易的な“訓練空間”が作られる。
――数分後。
「……なんでこうなるのよ」
フェザーが低く呟く。
目の前では――
アンデルが全力で地面を踏み鳴らしていた。
――ドン! ドン! ドン!
「どうだこれぇ?」
床が微妙に震える。
「……やりすぎ!」
シロッコが怒鳴る。
ガストは両手を広げてぐるぐる回っていた。
「これが威圧ゼロのポーズだぁ!」
「それただの変な踊りだよぉ〜」
クラウドが素で言う。
サイモンは真面目に呼吸を合わせているが――
「……あれ? これ、誰の呼吸に合わせればいいだぁ?」
「ゴリにぃ、まず自分自身だよ」
ダイヤが苦笑する。
ゼンが小声で言う。
「……これ、恐竜見てたら逃げるっすよね」
「逃げるだすな」
アンが頷く。
フェザーが深く息を吐いた。
「……先が思いやられるわね」
そのとき。
ダイヤが、ゆっくりと一歩前に出た。
そして、全員を見渡す。
「ねえ、みんな」
自然と、動きが止まる。
「恐竜はね、“完璧な動き”を求めてるわけじゃない」
ダイヤが、ゆっくり呼吸する。
「ちゃんと見てるか」
「ちゃんと伝えようとしてるか」
一つずつ、言葉を置く。
「それだけなんだよ」
場の空気が、少し変わる。
サイモンが静かに頷く。
「……なるほど」
ガストが頭をかく。
「じゃあ、今の俺らは?」
「うるさいだけ」
フェザーが即答する。
「ひどくね!?」
ガストが叫ぶ。
ダイヤがくすっと笑った。
「でも、大丈夫」
そして、少しだけ真剣な声になる。
「ここからが、“人間側の一歩目”だから」
誰も、もうふざけなかった。
さっきまでの騒がしさが嘘みたいに、静かになる。
クラウドが小さく呟く。
「……練習、必要ですねぇ〜」
「ホントに義務教育レベルでな」
サイモンが苦笑する。
フェザーが腕を組み直す。
「……ほんとに導入する気?」
ダイヤは迷わず頷いた。
「うん。本気だよ」
その言葉に、誰も笑わなかった。
それは、さっきの会議で決まった“方針”じゃない。
ここで、今、確かに始まった。
――その場の空気が少し落ち着いたころ。
レオが一歩前に出て、ダイヤを呼び止めた。
「ダイヤ、少しいいか」
ダイヤが振り向く。
「どうしたの?」
レオは一瞬だけ言葉を選び、それから静かに切り出した。
「……さっき、ヴェルデ大統領から正式に要請を受けた」
フェザーが視線を向ける。
「要請?」
「恐竜対策チームからは外れることになる」
レオが続ける。
クラウドが目を丸くする。
「えぇ〜!? なんでなのぉ〜?」
レオは淡々と答える。
「政治基盤の整備だ。統治体制、法整備、各大臣の選考と連携……」
「この星を“回す仕組み”を作れ、と」
サイモンが腕を組む。
「なるほどね。裏側を固める役か」
ガストがニヤリと笑う。
「似合いすぎだろ、それ」
ダイヤはレオをじっと見た。
「……レオは、それでいいの?」
少しだけ間が空く。
レオは、わずかに息を吐いた。
「本音を言えば、現場に残りたい」
「だが――」
一度、周囲を見渡す。
「今のこの状況で、一番足りていないのは“仕組み”だ」
「誰かがやらなければ、いずれ崩れる」
フェザーが小さく頷く。
「……正しい判断ね」
クラウドがしょんぼりする。
「なんか、一気に堅い話になったねぇ〜……」
ガストが肩を回しながら言う。
「まぁでもよ、レオさんがいるなら安心だな」
サイモンも笑う。
「だな。現場は俺たちに任せとけってやつだ」
ダイヤは少しだけ笑った。
「そっか」
一歩、レオに近づく。
「じゃあ、こっちは任せて」
「恐竜側との橋渡しは、ちゃんとやる」
レオも、わずかに口元を緩めた。
「ああ、頼む」
一瞬だけ、視線が交わる。
それだけで、十分だった。
それぞれの役割が、はっきりと分かれる。
同じ場所にはいない。
けれど――同じ方向を向いている。
私からのお願い。
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