☆ジュラシックアース・街づくり現場②
一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。
完結してる作品なので、完結は必ずします。
「」人のセリフ
()心の声
『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。
※私の小説のルールです。
仮設住宅群の電力が不安定で、作業灯は点いたり消えたりを繰り返していた。
暗くなったかと思えば一瞬で明るくなり、またすぐに落ちる。まるで誰かがスイッチで遊んでいるかのような、不安定極まりない状態だった。
住民たちは不安げに空を見上げ、建設チームは作業の手を止めるたびに舌打ちをする。
電気が安定しないというだけで、現場のリズムは簡単に崩れる。
そして案の定――
現場は、揉めていた。
グリムが腕を振り上げ、大声で叫ぶ。
「住民用電力より、まず発電所の建設を優先すべきです!」
その声にかぶせるように、結依が前に出る。
「いやいや、住宅ブロックでの作業は電力が必要、機械が動かいと仕事も進まないでしょう!」
結依は両手を広げ、現場全体を指し示す。
「人が動けなきゃ、発電所だって完成しないんですよ!」
グリムが眉をひそめる。
「順序というものが――」
シロッコが考え込みながら呟く。
「順序なら、今まさに崩れてるでしょ!」
結依が即突っ込む。
そのやり取りを少し離れた場所で見ていたガストは、頭をかきながら苦笑いを浮かべる。
ガストが工具をぶらぶらさせながら言う。
「まあまあ、どっちも点けちゃえばいいんじゃね?」
軽口のつもりだった。
――だが。
誰も笑わない。
むしろ、一瞬だけ空気が冷えた。
ガストは小さく咳払いをした。
「……あれ?」
気まずい沈黙が落ちる。
そのとき――
ルビィが一歩前に出た。
黒髪のルビィが腕を組み、現場全体をゆっくり見渡す。
点滅する灯り、止まりかけの作業、苛立ちの混ざった声。
全部を一度、受け止めるように。
そして、静かに口を開いた。
ルビィが落ち着いた声で言う。
「落ち着いて。順番を決めるのは簡単」
その一言で、不思議と全員の視線が集まる。
ルビィは指で空中に簡単な流れを描いた。
「まず住宅ブロックと作業現場を、交互に優先する」
一拍置く。
「電力が必要な作業班は最低限の電力を確保」
「発電所の建設は、その間に段階的に進めるの」
グリムが腕を組み直す。
「交互……?」
ルビィが頷く。
「全部一気にやろうとするから崩れるの」
「あっ」
結依小さく声を漏らす。
ルビィは続ける。
「“止めないこと”を優先するの。完全じゃなくていい」
その言葉に、現場の空気が少しだけ変わる。
ルビィがすぐに次の指示を出す。
「サイモンさん!」
サイモンが勢いよく振り向く。
「おう!」
ルビィがケーブルの山を指差す。
「発電機のケーブルを住宅と作業現場の間で振り分けて!」
サイモンが目を輝かせる。
「任せろ!」
そして――
信じられない量のケーブルをまとめて持ち上げる。
周囲が一瞬ざわつく。
ガストが目を丸くする。
「いや、それ一人で持つ量じゃねぇだろ……」
サイモンはそのまま走り出した。
ケーブルを引きずりながら、妙に楽しそうに。
「おおおお、ここ迷路みたいだな!」
「遊ぶな!」
結依が即突っ込む。
その横で、アストラが静かに操作を開始する。
アストラが淡々と告げる。
『電力供給状況、リアルタイム表示開始』
ホログラムに、電力の流れが線となって浮かび上がる。
どこに電気が通り、どこが不足しているかが一目で分かる。
ルビィがその表示を確認しながら言う。
「これで、誰も困らないわ」
結依が腕を組み、深く頷く。
「うん……これは分かりやすい」
ガストが工具を肩に担ぎながら笑う。
「おお、なるほど、ルビィ女史マジ天才!」
今度は、少しだけ笑いが起きた。
グリムも半笑いで頷く。
「う〜む、理にかなってる」
シロッコも関心の眼差しで呟く。
「……ルビィさん、さすがです」
サイモンがケーブルを固定しながら振り返る。
「ルビィちゃん、やっぱり凄い」
そして、電力が安定し始める。
点滅していた灯りが、ゆっくりと一定の明るさを保つようになる。
作業員たちが顔を見合わせ、機械を動かし始める。
止まっていた流れが、再び動き出した。
こうして、街の電力トラブルはスムーズに解決した。
黒髪のルビィの判断は、現場の混乱を収めただけでなく、後に建設の優先順位や電力配分の公式――“ジュラシックアース都市ルール”として採用されることになる。
そしてその裏で――
サイモンが絡まったケーブルに足を取られ、盛大に転びかけていた。
「うおっ!?」
「だから遊ぶなって言ったでしょ!」
結依が叫ぶ。
小さな笑いが、現場のあちこちで弾けた。
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今夜も20時に1話あげます。




