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『迷惑王』

 世界を手に入れた男は言った。

 

「この地球はワシのものだ。ワシが死ねば、この星も消える」

 

 虚勢ではない。


 王は自らの生命と惑星の存続を結びつける“絶滅装置”を完成させていた。

 

 ゆえに、誰も王を殺せない。

 

 対策は尽くされた。


 最後の手段は――

 

 王を、死なせないこと。

 

 王は地下深くで眠らされた。

 

 心臓は止められない。


 止めれば、この星が終わる。

 

 王は永遠を得た。


 ただし、それは眠りという形だった。


 


  

 やがて人類は地球を離れた。

 

 かつて、「世界のすべて」だった星は、数ある惑星のひとつへと価値を落とす。


 それでも地下で、王は眠り続けている。

 

 王は世界を手に入れた。

 

 そして世界に、置いていかれた。


 


  

 さらに時が流れた。

 

 この星に新たな支配者が現れた。

 

 サルに似た生き物が、地球の支配者となった。

 

 やがてその中から、また一人の独裁者が生まれる。

 

 「永遠」を求め、地中の遺構へとたどり着いた。

 

 眠る男。かすかな呼吸。確かな鼓動。

 

 死んでいない。

 

「これが、永遠か」

 

 独裁者は笑い、その身体を押しのけ、装置に触れた。

 

 その瞬間――

 

 かつての王は死んだ。

 

 この星もまた、静かに終わった。


 

■おわり■

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