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『迷惑王』
世界を手に入れた男は言った。
「この地球はワシのものだ。ワシが死ねば、この星も消える」
虚勢ではない。
王は自らの生命と惑星の存続を結びつける“絶滅装置”を完成させていた。
ゆえに、誰も王を殺せない。
対策は尽くされた。
最後の手段は――
王を、死なせないこと。
王は地下深くで眠らされた。
心臓は止められない。
止めれば、この星が終わる。
王は永遠を得た。
ただし、それは眠りという形だった。
◆
やがて人類は地球を離れた。
かつて、「世界のすべて」だった星は、数ある惑星のひとつへと価値を落とす。
それでも地下で、王は眠り続けている。
王は世界を手に入れた。
そして世界に、置いていかれた。
◆
さらに時が流れた。
この星に新たな支配者が現れた。
サルに似た生き物が、地球の支配者となった。
やがてその中から、また一人の独裁者が生まれる。
「永遠」を求め、地中の遺構へとたどり着いた。
眠る男。かすかな呼吸。確かな鼓動。
死んでいない。
「これが、永遠か」
独裁者は笑い、その身体を押しのけ、装置に触れた。
その瞬間――
かつての王は死んだ。
この星もまた、静かに終わった。
■おわり■




